12話 ボス戦アンコール!
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進化について嬉しそうにしている二人を見ていると、アインが念話をかけてくる。
『マスター、これからの予定についてお話したいのですが』
「ああ、うん。お願いするね」
『では。まずローズさんと名づけによって友誼を結んだため彼女はダンジョン所属からは外れています。これによってダンジョン外に連れ出すことが可能になります』
「うん。元々そういう話だったもんね」
『しかし、ダンジョンはローズさんが倒されたとは認識せずに所属が変わった、つまりこのままでは私たちはダンジョンを攻略したとみなされず外に出ることができないのです』
「ええ!?それって大変じゃないの!?」
『まあ、落ち着いてください。こういときの対処法もダンジョンには組み込まれています。もしも、最終階層のボスモンスター兼ダンジョンの守護者がテイムなどによって所属を外れた場合、新たに魔物を用意します。それを改めて討伐することで攻略とみなされるわけです。ちなみにその次の魔物も仲間にしてしまった場合は、また新しい魔物が出現します』
「……てことは、これからまたボスモンスターが出現するからそれを倒せと?」
『その通りです』
「おおぅ……」
ようやく攻略も終わりかなと思ったところにまた……
体の調子はローズが作ってくれたリンゴ風味の青汁?で良くなっているし、むしろ戦う前よりも調子がいいぐらいに。
ただ、心配なのが……ちょっとお腹が空いてきたんだよね。
『マスターの懸念は当たっていますよ。現在マスターの残っているカロリーはもうほとんど残っていません。どうやら<姫の鎧>の例のフォームが相当に消耗したらしく、現在マスターが溜め込むことのできるカロリーは5000万kcalなのですが残量は1万kcalです』
「う~ん、それだとどのぐらい戦える?」
『全力戦闘は無理ですね。今の変換効率では1000kcalで出力1%を10秒維持できます。ですので、今の残量ですと10%も出したら10秒でダウンですね』
「でもここに出てくるってことは、ローズと同じぐらい強いってことだよね?そうなるとかなり、というか勝ち目がないと思うんだけど?」
「それについては私たちにまかせてください~」
「……(私たちが戦うから龍希は休んでなさい)」
「ルビー、ローズも!」
「……(せっかく進化して、何より戦うのにちょうどいい相手がでてくるんだからどう変わったのか確認しておきたいのよ)」
「う~ん、でも相手もかなり強いんだよ?確か非常食がまだ少し残っていたはずだし、それでボクが少し回復してからでもいいんじゃない?」
「……(私達だって自分の力がどうなているのか楽しみなのよ。龍希だって新しいおもちゃもたらったらすぐに使いたいでしょう?せっかくの楽しみなんだかおとなしく見ててちょうだい)」
「私もさっきの情けない姿をみせたままじゃ恥ずかしいので、龍希さんにいいところ見せたいんです~」
「う~ん……それじゃあ、お願いしちゃおうかな?」
二人とも気合い十分で、殺る気、もといやる気満々だ。
アイン曰く時間的にもうそろそろ新しいボスモンスターが出現するそうだ。
ボクと眼鏡ちゃんはひとまず部屋の端の方に避難しておき、中央付近にルビーとローズが待機している。
ローズなんか拳をつくってパンパンやっているし、ルビーも跳ねて宙がえりとかひねりを加えてたりして飛び跳ねている。
……準備運動なのか知らないけど、気合い入れすぎじゃない?
逆に心配になってきたよ。
『おや、来ましたね』
アインの言葉通り、部屋の中央の床に魔法陣が出現する。それは、下から上へと上がっていきボスモンスターの姿が足元から明らかになっていく。
足は4本で、そのどれもがボクと同じぐらいの太さを持っている。
魔法陣が天井まで届くころには、その全体像も明らかになった。
見た目は大きなトカゲっぽいが、背中からは申し訳程度の小さな翼が見えるし、頭には大きな角が額に一本生えている。
「あれは……?」
『レッサーアースドラゴン。地を走るドラゴンです。全長はおおよそ20mぐらいですかね。個体としては割かし小さい方です』
「え“っ、あれで小さいの!?」
『ええ、あれはまだ成体ではないようですね。このダンジョンのスペックですとあれが限界だったのでしょう。しかし、まさかドラゴンを出してくるとは思いませんでしたが』
「そ、そうだよ!?ドラゴンなんて絶対に強いよ!?ボク達も加勢しないと!」
『落ち着いてださいマスター。確かにあれもドラゴン種に間違いありませんが、魔物の中での強さは精々初心者卒業レベルです。まあ、レッサーではなく生体が出てきたら危なかったですが……あれなら、あの2人で問題ないでしょう』
「……本当に?」
『はい。それに信じて待つのも信頼、というものですよ。あの2人を信じてあげてください』
「……分かった。2人とも無理しないでね!!頑張って!!」
それに応えるようにルビーは触手を、ローズは片手を上げてみせる。
うわぁ、カッコいいな~。
「……(まずは私からでいいかしら?)」
「はい~構いませんよ~。先輩にお譲りします~。ただ、私の分も残しておいてくださいね~?」
「……(分かってるわよ)」
そう言うと、ルビーはレッサーアースドラゴンと対峙するように一歩前に出る。レッサーアースドラゴン、長いから地竜(劣)でいいや。
その地竜(劣)は目の前にに出てきたルビーにちらっと視線を向けるが、用はないとばかりにボクの方にその大きな目を向けてきた。
「……(私は眼中にないってことかしら?……<宝石生成>)」
ルビーがスキルを発動すると、一瞬全身が光を放ち、収まるとコロッと何かを吐き出した。
出てきたのは黄色というか、金色?っぽい色の宝石だった。シトリンとかに近い感じがする。ただ、宝石の中に何かバチバチしている物が見える気がするんだけど何だろう?
『宝石生成。ルビーの新しいスキルですね。魔力を対価に文字通りに宝石を創りだすスキルのようですね』
「ああ、だからジュエルスライムなのか」
『そうですね。確かに宝石のような見た目からもあるのでしょうが、宝石を生み出すことができる能力もその名前の由来の一つです。しかし……本領はここからのと言ったところでしょうか』
「……?」
すると、地竜(劣)もボクのことを敵と認識してその巨体をこっちに向けると、ボク達の方に歩を進めようとする。
しかし、そこでルビーが動いた。
直前まで自分で創った宝石を色々な角度から眺めていたルビーだったが、何かに納得したように一つ頷くと宝石を地竜(劣)に向かって投げたのだ。
そして、その宝石がちょうど地竜(劣)に頭上に来た時。
「……(<宝石魔法>……解放)」
ルビーの言葉に反応して宝石が弾ける。
「……(力量差も分からない駄竜が。調子に乗るんじゃないわよ)」
次の瞬間、地竜(劣)に向かって何かが落ちた。遅れて凄まじい轟音が部屋中に響く。
光った瞬間に視界が真っ暗になってしまい薄っすらとしか見えなかったけれど……多分、雷、かな?
『マスターの目を保護するためにレンズで光量を押さえましたが、やるなら最初に言って欲しかったですね。あとで注意しなければいけません』
「ああ、だからいきなり暗くなったんだね。ありがとうアイン。それにしてもあれって……」
『マスターのご想像通りかと。雷でしたね』
「やっぱりそうだよね……でも、あれっておかしくない?」
『……?なぜですか?』
「だってルビーって水魔法以外は使えないって言ってたでしょ?氷はまだ分かるけど、雷って水に全然関係ないじゃん」
『確かにそうですが……それを可能にしたのが<宝石魔法>なのでしょうね』
そういえばルビーが、宝石が弾ける前に宝石魔法がどうのって言ってたような気がするけどあれがそうだったのかな?
地竜(劣)は全身から煙を立ち上らせていて、硬そうだったあちこち砕けているしこっちまで焦げ臭いにおいがしてくる。
「……(なるほど。こんな感じなのね……うん、戦闘の幅が広がりそうでいいわね。ローズ!私はこれで満足だから後は適当に片付けちゃって)」
「……もう虫の息なんですが~。まあ、お疲れ様です~。じゃあ、とどめは私がさしておきますね~」
ルビーは地竜(劣)に背を向けてローズとバトンタッチすると、こっちに戻ってくる。いつもよりもぴょんぴょん跳ねて機嫌がよさそうだ。
「お疲れ様!さっきの凄かったね!」
「……(ただいま。そうね、私も思っていた以上に威力があってびっくりよ)」
「それにしても宝石を生み出したかと思ったらそれを投げたり、弾けて雷が起こったりして何が起こったのかよくわからなかったよ」
「……(そうね、じゃあちょっと解説しようかしら。まず、宝石生成なんだけどこれはいいわね?ただ単に宝石を創るスキルよ)」
「うん。それは大丈夫」
「……(よろしい。じゃあ、次に宝石魔法。さっきの現象はこれが原因ね。宝石魔法にできることは主に2つよ……宝石に力を宿すことと、宝石の力を引き出すこと)」
「……?」
「……(さっきの戦いを例に挙げると、私は最初に創った宝石に雷の力を宿したの。そしてその力を解放してあのレッサーアースドラゴンに雷を叩き込んだって感じね)」
……なるほど。何となく分かった気がする。
確か、宝石の中にビリビリしたようなものが見えたのは、中に雷が閉じ込められたからなんだ。
『しかし、なぜ自分の属性と異なる属性の力を宿すことができたのですか?』
「……(宝石魔法だと自分の属性は関係ないのよ。ある程度は自由が利くの。でもまだレベルが低いから色々制限があるけれどね。宿せる力の大きさだったり、種類だったり、個数だったり)」
『……なるほど。宝石魔法、面白いですね』
「あ、なんか見覚えあると思ったらあれだ。ポ〇モンのかみなりのいしだ」
『いえ、マスター。確かに似ていますがその例えはどうかと……』
「?どうして?」
『……いえいいです。それよりもそろそろ地竜が動き出しそうですよ』
よくわからなかったけれど、アインに促されて地竜(劣)の方を見るとさっきまでピクリとも動かなかったが、目を開いてこっちを凄い形相で睨んできている。
どうやら気絶していたようで、やっと目が覚めたようだ。
「それでは今度は私の番ですね~。精霊としての力を見せてあげます~」
今度はローズが立ちはだかる。
しかし、さっきの攻撃がルビーからのものだと分かっているのか視線が完全にルビーに固定されている。
「何となくだけどあの地竜(劣)ってあまり頭良くないよね?ルビーにぼこぼこにされて、一緒にいたローズが弱い訳ないのに一切気にしてないし。なんか……本能に忠実というか、何というか」
『そうですね。ドラゴンは比較的頭が良い魔物で中には人の言葉を理解し、話す個体もいます。しかし、レッサーの内は獣並みの知能しか持ちませんし、さらにレベルが低いとなおのことその傾向がありますからね』
「そう考えたらルビーもローズも頭がいいよね。ローズは何となく人型っぽいから分からなくもないけど、ルビーは出会ったときからボクの言葉を理解してたし」
「……(私はあのダンジョンでレベルをたくさん上げたし、そもそも最初からある程度は意識あったのよね)」
ルビーも話を聞いてどうしてなのかしら?と首を傾げるかのような動作をする。まあ、首とか無いから頭のてっぺんが傾いたのをそうなんじゃないのかって勝手に思ってるだけなんだけど。
『ルビーは特殊な例ですから、何故かは分からないですが特異的な個体だったのでしょう。ローズなどの精霊に近い種族は総じて知能は高い傾向にあるので言葉を理解することあは多いですね』
などと話しているとローズと地竜(劣)の方の展開が動き出す。
足を引きずってでもこちらに来ようとする地竜(劣)を周りににあった植物を操作して足止めする。足に、体にと全身に蔦をロープの様にしてぐるぐる巻きにしている。
「それでは私も新しいスキルの試し打ちをさせていただきますね~」
そう言うと右手を地竜(劣)に向ける。
「まずは花を咲かせましょう~♪」
地竜(劣)を縛っている蔦のあちこちに蕾ができ、それが凄い速さで開花していく。
咲いた花は――白薔薇。
一つ一つが赤ちゃんと同じぐらいの大きさの白薔薇。
花が咲く度に地竜(劣)が悲鳴を上げる。
何が起こっているの?
「次は花束を作りましょう~♪」
美しく咲いた白薔薇はローズが手を振ると蔦から離れて、ローズの元に集まっていく。
集まってきた花達はローズを囲むように宙に舞い、本当に花束の様になっている。
「それでは……<精霊魔法>……花束の光」
宙を舞っていた花達は光となってローズの手元に収束していく。
花が集まっていく度に光が強くなっていき、すべての花が集まったとき――
――閃光が走った。
地竜を飲み込むほどの閃光となって貫いていく。
そして、その光が収まった時には抉られた地面があるだけで地竜(劣)の姿はどこにもなかった。
「あら~結構威力が出てしまいましたね~。消し飛んでしまいました~」
跡地にはすぐに宝箱が出現する。
それを見届けるとローズがこちらに戻ってくる。
「ちょっと魔力を消耗してしまいましたが、何とか終わりました~」
「……(お疲れ様ね)」
『なかなかの威力の攻撃でした。これは期待できますね』
「そんなに褒められると照れてしまいますね~」
……いや、現実でレーザーとか初めて見たんだけど。すんごいね。
あと、アイン。あの破壊力に何を期待しているの?変なこと考えるのはやめようね?
「うん、お疲れ様ローズ。何というか凄かったよ!」
「ありがとうございます~!ちょっと張り切ってしまいました~」
『まあ、何はともあれこれでダンジョン攻略完了ですね。宝箱も帰還用の魔法陣も出現しましたよ』
確かに宝箱の他に魔法陣が出現していた。
ああ~やっと帰れるよ~!
いかがでしたでしょうか?
今日は進化による変化の確認と、それに付き合わされてしまったかわいそうなドラゴンさんの話でした!
最近年末でちょっと忙しくなってきてしまっているので、3日に一回投稿になるかもしれません。というかなると思います。申し訳ありません>< 応援して下さい”~~
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