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ソウル・リファイン  作者: 弥生丸
チート炸裂編
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霊園

少しづつですが、そろそろ再開しようかと思います。

まずは地球サイドのちょっとしたお話です。



霊園


とある都営霊園の一角を五十代半ばの女性と七十歳前後に見えるともに黒を基調とした服装の女性が花束や水桶を手に歩いていた。


二人の容姿はどことなく似通っており、親子か姉妹、もしくはそれに近い血の繋がりを見る者に感じさせた。


「葉月ちゃん、忙しいのに付き合わせてしまってごめんなさいね」

年重の女性がしっかりとした声音で連れの女性へと声を掛けると、葉月と呼ばれた女性は静かに首を横に振りつつ、


「いいえ、私の弟のお墓参りですもの。春夏伯母さんこそお参りして下さってありがとうございます」

とにっこり微笑んだ。


葉月の弟であり春夏の甥である山野弘樹が失踪してから7年以上の歳月が経過した。


自宅近くの保護樹林で乗り捨てられた弘樹の車が発見され、それ以降誰一人として弘樹の痕跡は途絶え警察の調べでも何一つ発見されなかった。


それは同じ日、同じ保護樹林で行方不明になった5人の高校生たちも同様だった。


弘樹の車の近くに6つの自転車が発見された為、当初は弘樹が何かしら犯罪行為をしたのでは?という憶測も流れ、兄弟である葉月や兄の一樹へ心無い視線が向けられる事すらあった。


しかしその後、放置された自転車の持ち主の一人、行方不明になった高校生たちと同じサークルに所属する生徒でもある白鳥千尋が近くの稲荷社で気を失っているのが発見され、その証言により弘樹は彼ら同様何かしらの被害者である可能性が高いと発表された。


千尋曰く、オカルト研究会の仲間6人で最近噂の心霊スポットへ肝試しへ向かったという。

倒木で道が塞がれ、立ち往生していた弘樹とはそこで出会った。

その後濃い霧が辺りを包み方向すら分からなくなったのだそうだ。


何処かスマホの電波は皆圏外となり、しばらくは車の近くでやり過ごそうという話になったが、千尋や弘樹たちが引き止めるのも聞かず、先走った生徒、加藤誠二、田中マリ、川岸聡の三人が森の中へと入って行きはぐれてしまった。


弘樹は残る生徒、渡来貴彦と佐倉小春、そして千尋と共にしばらくの間過ごしたが、霧の向こうから聞こえてきた大きな物音や獣の鳴き声に千尋は怖くなり、方角も分からないまま一人走り出したと言う。

背後に友人たちの声も聞こえたが、彼女は耐えられず走り続けた。 

そして気が付くと稲荷社の前で目を覚ましたのだそうだ。


多数の警察官や警察犬、時にはマスコミすらも保護樹林へと分け入り隅々まで調べたが、消息不明になった6人の行方や獣の声の正体等何一つ分からないまま、月日が経ち捜査は打ち切られた。

その前後に白鳥家は転居していた。

ただ一人の生還者とその家族が未解決事件の現場近くに住むのは辛いものがあったのだろう。


そしてその後何の進展もないままに、7年以上の月日が流れた。

高校生たちの親族はビラ配りやネットでの呼びかけなどを行ったが、目撃情報はほぼデマや勘違いであり、本人達へと繋がる情報は何一つ見つからないままだった。


勿論葉月も伯母の春夏や、弘樹の兄でもある一樹と共に失踪事件当初は弟の行方を探したが、早い段階で打ち切る事となった。


葉月も一樹も既に家庭を持っており、仕事や家族の世話を全て投げ売ってまで疎遠となった弟を探す余裕などなかった事もあるが、何故か本人が探すのを望んでいないような、そんな感覚を三人共が感じていたからだった。


「あれから七年以上…あっという間でしたよね。

警察から電話が来た時には驚きましたけど、でも何故だがあぁそうかって。

あの子が昔から変わっていたからかしら?

何となく〈こういう事もある〉って、妙に納得してしまって」


葉月の言葉に春夏は大きく頷いた。


「そうね、同じ日に消えた子供たちは今でも出来たら見つけてあげたいし、帰ってきて欲しいと思うのだけれど、不思議よね。

あの子は何処か別の世界で元気にやっているような、そんな感じさえしているわ」


春夏は右手を翳して日陰を作りつつ光り輝く太陽を見上げた。


その光の向こう側で弘樹が生きている、そう確信しているような表情で空を見上げる叔母を見て、葉月は再び「あぁ、そうか」と胸の内にすとんっと何かが落ち着くような気がして、彼女もそっと空を見上げたのだった。

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