吉祥果その3
めちゃくちゃ久々に更新します(^_^;)
本編じゃなくセラフィーナのターンです。
吉祥果3
街道から少し足を伸ばせば辿り着くような森浅い地で、セラフィーナは長剣に魔法や異能を器用に織り交ぜ、やや無骨な動きながらもマップの反応を確認しながらゴブリンやコボルト、ブラックドックなど下位の魔物を見つけては次々と屠っていた。
ポムグラネイト領の中でも村や小さな町など、一般の人々が通る可能性の高い山道や林道周辺の森や川を中心に、高貴なる姫君は赤黒い光を纏い森の中をひた走る。
霊格3、レベル200を超えたその顕現値は常人の数倍から数十数倍の高みにあり、スキルやタレント、加護も含め第四大陸においても高位の冒険者であるセラフィーナの移動速度は金属類も多用された装備に身を包んでいるとは想えない速さを与えていた。
現地人でありながら浄化可能と言う極めて稀有な加護により、彼女は転移者と組まずともその霊格とレベルを上げることが可能だった。
通常ならばパーティーの仲間たちと共に自身の実力に合わせたより深い森やダンジョンへ分け入る事が多かったが、今のセラフィーナにとっては討伐による恵那やドロップ品、報奨は二の次でしか無く、一部貴重とされる品以外はほぼ放置して走り回り、遭遇した魔物たちを次々と浄化してゆくのだった。
〜数刻前〜
セラフィーナは公都へ辿り着くと、頑健な要塞に見えなくもない城の門前で皆と別れ、自室で騎士用の装備から冒険者のそれへ着替えてハルーラたちに後を任せ、一人で町中に2つ存在する冒険者ギルドの1つへと向かった。
冒険者ギルドは公都の中心よりもポムグラネイト家寄りにある神殿に併設された公都本部と、公都の正門とされる南門近くに作られた南支部があり、セラフィーナが向かったのは門に近い南支部だった。
源さんの話にあった通り、時間帯にもよるが通常は活気が溢れているはずの冒険者ギルドの中は閑散としており、低位のパーティーが一組だけ併設の食堂で食事をしている程度だった。
入り口近くの掲示板には通常よりも遥かに多い依頼書が張り出されており、セラフィーナは素早くそのうちの数枚にサッと目を通して引っ掴むと受付へと向かった。
低位の魔物討伐の依頼や近隣の村への護衛依頼は多数あるが、それを受ける冒険者や転移者の数が極端に減ってしまいかなり大変な事になっているらしい。
「受けられる限りの討伐依頼を受けさせてもらおう」
セラフィーナは受付嬢にそう伝え、複数の依頼を受理してもらった後、足早に正門から街の外へと向かった。
セラフィーナは速度を緩めることなく複数の依頼用紙をチラチラと確認しながら森へと向かう。
依頼なしで討伐しても良かったのだが、冒険者たちが全く居ない訳でもないらしく、ブッキングを避けて魔物の数を減らしたほうが効率的だと考えたからだ。
受けた依頼は全て公都と町や村を結ぶ道付近の討伐であり、森の奥など住民が通常立ち入らない地域を避けていた。
高位とは言えその全てを一人で網羅出来るわけではない。
まずは街道や通行の多い林道付近の安全確保を優先したのだった。
そうしてセラフィーナは馬よりも早く移動しては延々と魔物を屠り続けていた。
「おかしい…」
セラフィーナは粗方の依頼の狩りを終え、暗くなりはじめた空の下、本日最後の依頼地域である蛇の森と呼ばれる一帯へと足を踏み入れた。
他の地域同様、極浅いエリアのみの調査と討伐依頼のみを受けていたためそこまで手こずる魔物とは遭遇しないはずだったのだが、この森に関しては違和感を感じずにはいられなかった。
通常の低位な魔物たちに混じって、個体差の大きいナーガの中でも低位のものや七歩蛇、人型の蛙イヒカなど中位の魔物が森の浅い地域を徘徊していたのだ。
何らかの事情により森の中層や最奥部などから中位や高位の魔物が現れる事はあるのだが、短時間で数体と遭遇する事はまずあり得ない。
元々生物としての蛇が多く生息し、通常の魔物に混じって蛇型の魔物が他の地域より多く生息する事、そして森の中を蛇行するように流れる川がある事から蛇の森と名付けられてはいるののの、初級冒険者や一般市民すら立ち入ることのある浅い層では滅多に遭遇する事のない魔物たちだったのだ。
また、今日一日己の機動力を駆使してあちこちで乱獲とも呼べる狩りを繰り返した者として、他の街道付近よりも蛇の森の魔物の数がやや多く感じてはいた。
また、ある程度広範囲を感知できるマップ使用者の感覚で言えば、通常よりも赤い光点が二〜三割は多かった。
「森の中で何かが起きている?この付近のダンジョン発生告知はされていないはずだからスタンピードではないと思うが…」
セラフィーナはボソリとそう呟きつつも、浅い層を粗方狩り尽くしたことをマップで確認すると公都へと戻ることにしたのだった。




