頑張って
十六那のターン
長いです
頑張って
時はしばし遡る。
ワイルドハント騒動を理由に小六月から一時離脱した十六那だったが、実のところ目的は別にあった。
神々は個別に隠世にも似た神界や現世に結界を張って作り出した聖域などに住まう事も多く、十六那は神々の会堂やアルテミスの神殿、エリーニュスの地底神殿などあちこちに訪れては、ある目的の為に情報収集を行っていた。
「やはりきな臭い…」
アルテミスの神殿内に借り受けた自室で、これまで集めた資料を読み返し、ずっと懐き続けていた漠然とした疑問を一つの形に練り上げてゆく。
単純にアルテミスや他の神々のゲストとしての立場では調べられる範囲も限られてしまう為、八柱界の神籍である上級神・魔神の役職を得てみたり、妖精女王にして夢幻神マブが弘樹に目をつけているのに気付き、邪魔に入ったり。
魔神として生活魔法を始めとした新規魔法の開発及び開放や、信仰系も含めた既存魔法や異能の確認作業を行い、問題点があれば修正したり。
魔物の配置やレベル調整なども他の神々と相談しつつ行い、近日公開予定の第八大陸へも魔物や魔法に関してそれなりに関わる事により、様々な情報を得る事が出来た。
八柱界創造を行ったメインの八柱を始めとしたほぼ全ての神々が、実はオンラインゲームを含めたRPGを余り知らないという点。
化身を用いて経験していたとしても、ライトユーザーレベルであったり、気に入ったMMORPGを一作のみプレイするなど偏った知識や認識を持つ程度が殆どだったのだ。
また、余りにも多種多様な神族の神々が関係した影響で、ルールがあやふやになりグレーゾーンばかりが増え、完全なる禁止事項が実はかなり少なかったり、人間には神殿や教義において禁忌として伝えている事も、神々の認識においてはグレーゾーンだったりとかなりいい加減な面が多くある事。
第八大陸のコンセプトと、主たる担当八柱神の事。
八柱界に現在ある第一から第七大陸は、数字が大きくなる程に特殊な環境が生じやすく魔物が強くなっている。
この為第一、第二大陸の人間と、第六、第七大陸の人間では平均レベルや霊格の高い者の数などに大きな開きがある。
意図的にそう配置しているのだから当然と言えば当然で、他大陸で強くなった転移者たちがより激しい戦いを行える場として、第八大陸は設定されていた。
ゲームにありがちな新マップや新ダンジョンは、より上級者向けにとなりがちなアレである。
配置される魔物も上位の竜種や魔獣などかなり強力な存在がラインナップされているのを十六那は確認した。
ただし一部は手伝っている神々にも公開されていない情報や作業があった。
第八大陸創造の責任者であるイシュタルと副責任者であるブリジットのニ柱が行っているいくつかのダンジョンや建築物、そしてそこに登場する魔物やボスたちの配置等である。
十六那は卓上のメモに
イシュタル
ブリジット
とそれぞれ名を記した。
これ自体は不思議なことでも何でもなく、各大陸を作る際には同様の事を他の八柱も行なっていたらしい。
八柱界に来る以前、こちらで創造を手伝わないかとギリシャ神話由来の神から誘いを受けたことがあった。
しかし十六那は特に興味を持てなかったし、逆に幾つかの疑問を懐きすらした。
十六那は元々こちらに来るつもりなど無かった。
現世で十分に楽しめていたからだ。
特殊な魔力や霊力、異能に儀式など、興味のある事象に首を突っ込み、時に知り合った者たちの手助けをし、時にその手を突き放す。
そんな日々の中、三十年ほど前にちょっとだけ関わった人間が事件に巻き込まれるのを予知し、少しだけ手助けの一つもしてやろうとそう思っただけだった。
結果としてヘカテーの趣味仕様主体の化身だった十六那は、異教の魔王に遭遇してしまい八柱界へと送り込まれた訳だが。
「あれ等がこちらに来ている事自体おかしな事なのだけれど」
十六那はそう呟き先程二柱の名を記した紙に
老執事=アマイモン
王子様=セエレ
?=アスモデウス
と書き足す。
老執事の部下であると名乗った王子様もどき。
もしかしたら他にも入り込んでいるかも知れない。
可能性が高いのは、アマイモンの部下の中でも高位かつ有名な悪魔アスモデウスであろう。
本来唯一神を名乗る者やその系譜に含まれた者はこの世界に関われない。
故に天使や堕天使、聖書中にある魔物なども一部を除けばこの世界には配置されない。
例えばケルベロス。
本来はギリシャ神話に登場する三つ首の犬であり、冥界の門を守護する魔獣であったが、ソロモン72柱の魔神として取り込まれてしまい、ナベリウスの原点となったと言われている。
例えばフェニックス。
エジプト発祥の聖獣でありギリシャ神話などにも伝わる火の鳥、不死鳥。
これもソロモン72柱にカウントされており、悪魔としてはフェネクスと呼ばれる方が一般的である。
日本で言う神々の相、荒御魂や和御魂のように「その相」が魔物として現れ浄化される、と言うのは理解出来る。
しかし逆説的に言えば、「何故ナベリウスを浄化してケルベロスとしないのか」、「何故悪魔フェネクスを浄化してフェニックスとしないのか」。
そもそもの経緯はゲームやアニメ、ラノベに映画など原点から別の物へと変質してしまったものを浄化し元へ戻すと言った趣旨ではあった。
しかし神の一柱だからこそ言える。
「異教の神により神の座から落されたもの」こそ、本来浄化されたいと望むのが当たり前なのではなかろうか?と。
例えば第八大陸の責任者であるイシュタルなど、ルシファーやベルゼブブと並ぶ地獄の主の一人アスタロトの源流の一つとして大きく歪められている。
とは言えアスタロトともなればゴブリンの歪みとは全く異なるレベルの強力な枷であり歪みでもあるので、早々上位の神クラスの浄化など出来る物でもない上に、討伐が前提となるのだから無謀も良いところであろうとも思えるが。
ヘカテーにしても元々は別の国の神であったが、ギリシャ神話に組み込まれ、その両親やら権能、三位一体など諸説が色々と存在して混じり合っている。
アルテミスとアポロンはヘカテーの従兄弟であるとする説も強く、反面三位一体としては同じ月の別の相ともされていたり、何なら他の女神たちと三位一体である説もあり、ややこしい立場にあると言える。
キリスト教においては魔女とされ、今でも魔女たちの女神の一柱とされて信仰する者たちすら居るが、元々の魔術師たちの守護者などの面も持ち合わせているのでまぁそんなもんかと思いもする。
実際の所人の長い歴史の中、他の宗教や神話に取り込まれたり、人間の、中でも為政者たちや宗教者たちにより作為的にその姿を変えることも多い。
サラスヴァティやダーニキーにしても、仏教に取り込まれる際に帰依する、つまりは改宗する事で弁財天、荼枳尼天として天部の位となったとされるように、異なる宗教、霊的存在の仕組みに組み込まれる事はよくあることだった。
日本の神社とて元々は産土神が祀られていたが、天照大神を祭神となり摂社や末社へ移されるケースもあったり、神仏習合において仏の化身の一つが神である(天照大神の本地仏が大日如来である等)となった時期もあった。
国同士の争いにおいて敵国の善神、主神を悪しき神とする事もあり、つまりは元々あった姿から長い時を経て形を変えられて行く事は往々にしてある事だった。
その中でも苛烈なまでに落とされる形の一つが悪神ですらない、堕天であり悪魔化である。
神仏や他の神と混じり合うのではなく、祈りの対象ですらなく、唯一なる神の敵対者とされるのだから。
また逆に守護聖人などの形で取り込まれた神々もおり、ブリジットもその一柱であると言われている。
ゲーム要素の強い世界であるにも関わらず、作り手がいきあたりばったりの何ちゃってファンタジー。
そしてグレーゾーンだらけのルール。
日本に居た時から感じていた疑問点。
それらを統合すると答えは限られてくる。
「八柱界創造前から誰かが企んでいたのか、途中から思いついたのか、誰かが裏で糸を引いているのか。
誰が何をしようとしているのかって事だけど…」
十六那は注に右手を伸ばし、魔神として得た権能により現在八柱界に居る転移者や流界者たちの霊格やレベル、異能や魔法に関わるタレント、スキルなどの情報を一冊の本としてイメージして手元に手繰り寄せ実体化させた。
神々の祝福や恵那の泉で得たもの、経験により生えたもの、本来持っていた才能や魂の力、それらがポイント消費によって形となったもの、他者に教わったり自ら修行して得たものなど多岐に渡る。
十六那は一般的なスキルやタレントのみを持つ者の情報を排し、特殊なもの、もしくは希少なもののみを表記させ閲覧する。
見逃しがないよう食い入る様に紙面を見つめては次の頁をめくる。
元々異能を持つ者が選ばれてこちらに来るだけの事はあり、念動力や透視、テレパシーなどの類を持つ者はかなり多かった。
しかしテレポートや空間使いは余り多くない印象を受けた。
いわゆる能力者の中でも希少な能力なのだろうと思われた。
転移系魔法も同様で、あっても霊格レベルまでの者がほとんどだった。
才能がなければ取得出来ず、タレントやスキルのレベルもまたそれに影響される類の物なのであり、パーティの中に一人二人居れば問題ない能力であり魔法なので、そんなものだろうとも思えたが。
また神威、まさに神の力の一端を行使する者が少数ながら生まれており、その中には小春の名もあったので、思わずその頁でめくる手を止めじっくりとそのステータスを確認する。
十六那の神としての見立てでは、小春は決して高位の神格の霊譜ではなかった。
またその神の有り様としては前衛ではなく後衛の魔法職だろうと突っ込みを入れたくなる魂を持つ少女だったのだが、何故か全く別方向に成長を遂げている。
しかしこれだから人間は面白いのだと思いつつ、十六那は苦笑いを浮かべ他の人々の情報を調べ始めた。
各大陸固有の血統タレントなども散見され、やはり神々の多くはバランスを考えてないなと再確認する。
そして何枚も頁をめくる内に、やはりと言った確信が生まれていた。
創造を霊格レベルまで持つ者は数十名居たが、それを超えた者は一人だけ。
隠世を低位から中位まで持つ者は多数いたが、10レベル以上に上げた者は極僅か、【新世界】なる高位のタレントにまで昇華させた者に至ってはただ一人だけであった。
何れもタレント、つまり才能や潜在的な力に左右される類の物を常識外れなまでに高めた唯一の存在。
転移者の中でも高位の霊格とレベルを有し、数多の神々の注目を集める人間にして亜神、山野弘樹。
「やっぱり…」
彼の魂は独特だった。
死や出産、魔術、魑魅魍魎を司る神格を持つ十六那には、魂や霊などに対してかなり研ぎ澄まされた感覚と知識を持っている。
その彼女をして独特過ぎる魂をはじめて見たのは今から地球時間で三十年ほど前の事だろうか。
特殊と言えば特殊であり特別でもあったのだが、反面とてつもなく凡庸、よくある言葉で言えば「普通」の魂だった。
魂は輪廻を繰り返す為、大なり小なり何かなの癖や方向性が付くものなのだが、それがなかったのだ。
確かに「普通」や「平均的」と言う言葉は存在するし、その枠に当てはまる者は多いのだが、異能の血統を持ち、特殊な能力すら持ち合わせているにも関わらず、彼の魂は普通過ぎた。
反面その影に隠れて「何か」が垣間見えたのだが、「普通」に埋もれてしまい深く見る事は出来なかった。
どちらかと言えば余りにも普通過ぎる精神性と強力過ぎる超感覚によって周辺の強い思いなどにあちこちに引っ張られているような、そんな感覚すらあった程だ。
実際十六那が彼を一方的に知ったのは、弘樹の最も身近にいたサイキックである母の強すぎる抑圧を感知して簡易的な憑依にも似た現象が原因の事件であった。
その後も多重人格を思わせる言動は八柱界ですら見受けられたが、それは簡易的な憑依にも似て、場の空気や状況に応じて一時的に作られた仮想人格のようなものではないかと十六那は考えている。
多面性とは正反対の一面性、平坦な彼は状況によって簡単に感化される。
勢いで貴彦が動けばそれに引っ張られて行動するし、小春が真剣に戦っていれば一時的にそこに感化される。
ある意味多面的でありつつ平凡平坦な魂。
ゆえに簡単に他者の強い個性などに感化される。
本人は自覚がないのであろうが、ラクヨの外壁でグリフォンと戦った際には漫画やアニメの主人公なりお気に入りのキャラに簡易的になりきっていたのだろうとすら思う。
そんな弘樹の成長を好ましくすら思っていたのだが。
しかし弘樹が【新世界】においては創造主であり、霊格10、八柱界において最高位である格を持つ世界の化身たる精霊にして女神ソフィアの主とすらなっており、無自覚かつ【新世界】のみの暫定的な立場ながらも霊格10の先、八柱界のルール上は存在しない階位を得た特異な存在となってしまっていた。
【新世界】においてもステータスウィンドウに霊格7と表記されるのは、あくまでも本人の認識がそうであるからと、恵那の泉における祝福付与の口づけによって与えた加護によるものに過ぎないのだろうとまで考えて、十六那はある事に気付いた。
「これは、まずいかも知れない」
ティターンの神々全ての権能を持つとすら言われるヘカテーをして、あり得ないと思える特例だった。
創造は各神々も取得し、行使している。
それは最低限のルールに則って、神々もレベルや霊格等の縛りによって遊戯を楽しみつつ、新たな地で信仰を得る、言い方を変えれば異世界の神をロールプレイしているのである。
真剣に新天地として捉えている者は実の所少なく、元々派生した地への愛着などに比べれば、八柱界はそこまでの物でもないだろうと短期間ながらこの地の神々とやり取りをしている内に見て取れた。
実際の所最大の目的は、「歪めらた眷属の浄化」であり、そのついでとして信仰心による力の復権などが挙げられる。
しかし本当にこれによって復権が可能ならば、それぞれの神や神族毎に新天地や新世界を創造し、己たちを主神として崇めさせれば良いだけの事だ。
そこに浄化システムを組み込むなりすれば良い事だったはずであった。
しかし実際には誰もそれをしていない。
一部の敵対関係を含む拘りや蟠りを捨て、神族の枠や宗教の枠すら超えて多数の神々が作り出したこの世界。
逆説的に言えば、単体、単一神族ではなし得なかったのが新世界の創造であるとも言えた。
平たく言えば力不足であったり権能が異なっている為に個別では小さな世界の創造に留まってしまうのだ。
そもそもが八柱界には地球世界において創造神とされる神々がほぼ手を出していない。
勿論、サラスヴァティの夫である創造神ブラフマーも参加していない。
参加している多くの神々は世界が生まれて後に生まれたり、主神になったりした者たちであるのだ。
伊邪那美は特例として加わっているが、既にその相は創造から冥府の神のそれへと大きく変貌しており、自身も冥界神として名乗りを上げている。
つまりはこの世界は仮初の地、創造神を除く数多の神々によって作られた仮想世界のような物かも知れないと十六那は推測した。
しかしその中で特異な存在、新しい本当の大地を、海を、世界を生み出せる者が生まれたのだとしたら?
八柱界よりも広大な【新世界】と高レベルの創造を持つ人間。
そういった者の誕生や成長を促進させる為の場として利用した者が居るのだとしたら?
そして十六那の仮説通り、この地が仮初であるならば、そして仮想である世界では不可能だった事、神々の浄化をすら実行に移す事が可能となるのならば?
当たって欲しくない予想だったが、その可能性は十分にあり得た。
この地にある神々は古き神々であり、地球世界における現代日本人が漠然と呼ぶ「神様」とは似て異なる存在だ。
個々人の命や尊厳などさして気にはしない。
神図りにおいては、個々人の生命など無意味であるように。
神の怒りに触れ、女子供も関係なく数多の人々が死んで行った話が世界各地にある様に。
人として、化身として長らく地球を放浪していた十六那ですら、興味の対象外や権能の管轄外の人間の生死は、冥界神である事もあって気にも止めないのだから。
たとえば八柱界が滅びたとしても、単なる飲み会の思いつき、神々の遊戯場として作られた世界など、楽しい遊び場が減る程度にしか認識しない神々すら当たり前に居るだろう。
それが別の楽しい遊び場を、一個人を利用するだけで得る事が出来るのならば?
後出しの様に実はこんな裏ネタも仕込んでいました!と発表されでもしたら、多少の文句やいざこざはあるにしても、神々の会堂で行われる決議で簡単に通ってしまう気がした。
今小六月の面々は、弘樹は何処で何をしているのだろう?
十六那は魔術の神として遠見の力を発動し、弘樹たちの動向を探る。
「うわっ」
無駄に神々しいまでの魔力を放つ豪華客船が海を駆ける様を見て、思わず頭を抱えたくなった。
目立ちまくりである。
イカ釣り漁船ばりに魔物たちを呼び寄せ、海魔たちは次々とパーティメンバーに浄化され、魔石やドロップ品へと姿を転じていた。
そして幽霊船から船を救出、近くの海域を漂っていた強大な魔物すらその光で惹きつけての一騒動。
余計な心配は不要なのではと思った十六那だったが、海の魔物から逃げる為、豪華客船共々【新世界】へと転移した所で彼らの消息は追えなくなった。
しばし海面を遠方から見つめていた十六那だったが、ちらほら体の一部が見える魔物に大きな違和感を感じていた。
ぱっと見はごく普通の巨大な魔物でしかなかった。
海の魔物は陸地に比べ巨体を持つものも多い。
しかし何かが違うのだ。
八柱界において、魔神として魔法や魔物に大きく携わったからこそ感じる違和感。
数多の神族に属するものが魔物となっている。
そしてそれらは大なり小なりそれぞれの神族の気配を放つ物だった。
しかし海の魔物にはその気配が複数感じられる。
まるで本来の匂いを消す為に色々な消臭剤や香水を振りまいたかのような、そんな違和感。
そんな幾重にも重なった気配の中、明らかに異質な、そして見知った物を感じた瞬間、何者かの魔術的なジャミングを受けたように遠隔視の視界が遮断された。
再び試みようとしたが、多重の結界でも張られているのか、ある程度近くの海域までしか視る事は出来なかった。
小六月の面々の事だ。
きっとあのまま魔物を放置する事は出来ないだろう。
何処かで修行と言いつつダンジョンを廻るなり、魔物が多数関わる案件に首を突っ込み、レベリングして挑もうとするだろう。
明らかに魔物以外の誰かが手を加えたその海域で、何かが起きようとしている。
十六那は本を虚空へと返し、卓上のメモをいつもの革鞄へ詰め込むと、極力慌てた素振りを見せない様にしてアルテミスの神殿から姿を消した。
その様子をこっそりと自室から知覚していた片割れであるアルテミスはそっと静かに吐息を吐きつつ、
「頑張って」と十六那へは届かぬ小さな声でエールを贈ったのだった。




