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ソウル・リファイン  作者: 弥生丸
チート炸裂編
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提案があります

提案があります



弘樹たちはニチボでの用事を済ませて【新世界】へと戻り、居残った小六月のメンバーを集めると拠点である屋敷へと戻り、海の魔物たちがまとめて現れた理由などギルドで知り得た情報、三界丸の存在その物が魔物を呼び寄せたらしい事を伝えた。


「やっぱりそうなりますか」

小春の言葉に居残り組一同は大きく頷く。


「カリュブディスであるかどうかは不明ですが、巨大な海の魔物は倒さないとまずいですよね。

その為にはスキルやタレントも新しく取得しないと大惨事を引き起こしかねませんね。

高熱の魔法で水蒸気爆発とかありがちな予感しかしませんし」


いつだったかダンジョンのドーム内で太陽フレアを模した魔法を使い、敵味方問わず全滅させかけた貴彦が久々にまともな事を言い出した。


魔法や異能をはじめとするスキルやタレントには、個々人の向き不向きや得意不得意、神々の祝福などが強く影響する事がある。


中には取得不可能やポイントを割り触れずレベルを上げられないものもあるので全属性を高レベルで網羅する事は難しいのだが、それでも現状を考えれば恵那の泉を使うのが最も効率的であった。


「小春さんの神威剣術や弘樹さんと貴彦さんの大技は敵のサイズが大きくてもある程度効果がありますけど、通常の武器や魔法では巨大な魔物相手に大した効果を与えられませんからね」


エアリスがごく一般的な冒険者の感覚を活かして説明する。


そう、巨大な魔物は単純に言って皮膚や鱗、獣毛なども当たり前に分厚く、人間が手にする武器ではまともな傷すら付けられない事もあるのだった。


確かに数百メートルクラスの魔物ならば、皮膚とて数メートルの厚さがあっても不思議ではない。


海の魔物であるならば、浮遊物や海藻、貝類などが付着して天然の鎧すら身に纏っている可能性もある。


感覚部位とて目などが弱点ではない可能性もあり、そもそも普通の生物と同じ感覚で見ては痛い目に合う可能性すらあった。


「水属性の魔物だとするなら、私やエアリスさんの様な水主体の魔法では効果が少なそうですわね。

氷結系も水派生のものではなく、熱のコントロール関係でないと効果が薄そうですわ」


使用可能な魔法や異能が同系統の場合、干渉や抵抗をしやすいのだと、霊格が向上し水乙女になって知識としてではなく、感覚的にも理解する事が出来たシンシアが話す。


いわゆる生来の属性耐性もその影響の一種なのだと感じるのだ。


「深海に潜れるのなら耐圧能力もあるでしょうし、武器も特殊な金属主体で大きな物が良いかも知れないですね」

何かしらイメージが湧いてきたのか、貴彦がウキウキした雰囲気すら醸し出して話すと弟子であるシンシアが反応した。


「師匠、武器と言えば体の大きさはともかくとして、私達は三ケタから四桁の筋力顕現値がありますわ。

それを活かすのも手だと思いますの」

「あー、やっぱりそう思うよね?!

洞窟どころか大海での戦闘だし、殆どのメンバーは空を飛べる訳だから船上である事を意識する必要もないし、必要なら亜空間収納で装備を持ち替えれば良いだけだしね!」

「ええ、あちらと違って【新世界】にはオリハルコンもヒヒイロカネすら山脈になっていますもの。

使わない手は無いと思いますのよ?」

「よーし!早速武器作りに取り掛かろうか!」


弘樹たちは早速武器作りに燃え上がりそうな二人を引き止め、皆で恵那の泉に向かうことにした。


海での戦闘で得た品々も含め、あれこれ泉に漬け込み作業を行いつつ、タレントやスキル、能力値をいじり始める。


なお神殿にある恵那の泉は特殊過ぎる故に一般公開されていないだけで、八柱界のルールとは関係ない【新世界】でならエアリスとシンシアが入るのも何ら問題ないそうで、二人もその恩恵を受けてはいるが、気後れする部分があるのか弘樹たち3人に比べると使用頻度は少なかった。


5人はそれぞれ電撃系の魔法や特殊武器戦闘、飛行魔法など取得可能なスキルやタレントを見繕い、大幅な戦力アップを遂げて行いつつ、海で得たアイテム類も泉に漬けたあと皆で分配した。


そろそろ解散してそれぞれ訓練や製造作業などへと向かおうと思った所でソフィアが恵那の泉へフワリと現れた。


「お時間はよろしいでしょうか?

マスター、そしてサブマスターの皆様方に提案があります」


何か良い事でも思いついた子供の様ににこやかな笑顔で、彼女はそう告げたのだった。




ヘカテーこと望月十六那は、三つ首の巨大な犬ケルベロスに跨り、友であり部下でもある神々や亜神と共に天を駆けていた。


彼女の持つ狩猟団、数多の化け物たちや妖怪、妖精、そして神々が集って天を飛び地を駆る霊団、ワイルドハント。


そのメンバーは元々地球世界で彼女の団に加わっていた者達をはじめ、この地で眷族とした魔物たちも多数含まれており、そして地球世界においては全く異なる神族に属する神々すらもが加わり、巨大な神霊現象の渦となって海上の空を駆け抜ける。


嵐とも災厄ともされる集団は、人間や野生動物などには手を出す事なく、進路の邪魔になる龍種や怪鳥など数多の魔物や亜神すらも時に倒し、時に眷族として吸収しながら突き進んでいた。


十六那を始めとして数体の神々は、高位の霊格を持つ人間としての化身アヴァターを用い浄化を行う事が可能であり、決して他所へと魔物を移す討伐は行わない様に配慮していた。


この世界のルールを無視する行為と言いたい所だが、その実ヘカテーが八柱界の神籍を得て知った情報にはこれに該当する禁忌が存在していなかったのだ。


神々の宴の席で決まったとされるこの世界の創造、そのルールは意図してなのか穴だらけであり、神殿や神託で人間に伝えられている事柄のうち何割かは神々の法に記載されてなどいなかった。


参加する神々のうちある一定数、実際のところ殆どの神々が遊戯として加わっているからかも知れない。


急がねば。

このままでは間に合わない。


転移が使えれば楽であったが、八柱のうち最低でも二柱の最高神とその眷属神たち、下手をするとそれ以上の神々が大規模な力の行使を妨害していた。


ワイルドハントに加わった神々はヘカテーも含めて上級神止まりであり、地球世界であるなら主神クラスの者でさえも、八柱界ではその力のすべてを使える訳ではない。


転移者を含む人間たち同様、こちらでの霊格やレベルを割り振られ、スキルやタレント、ステータスに権能などを得て動くこととなる。


地球世界において人間として活動していた十六那の知識に当てはめるならば、友人知人の作った街作りや国作りのゲームに参加していると言うのが感覚的に近いのかも知れない。


神々の階級はそのゲームに影響を与える権限も示しており、例え地球の神話世界において最高神であったとしても、こちらの最高神たる八柱より下位に当たる上級神までにしかなれない。


その他いくつかのルールを理解した上で、眷属の浄化や新たなる信仰と言うパワーソースを得つつ遊戯を楽しむ。

そんな歪な世界こそがこの八柱界だった。


運営でありプレイヤーである八柱の内、二柱が目立たぬ程度に妨害している現状、動ける範囲で動くしかないと言うのが十六那たちの置かれた状況だった。


他の六柱を味方につけるべく使いは出しているものの、後手に回る訳にはいかない。


「怪しいとは思ってたけど、遊戯を楽しむ犬たちの中に獲物を狙う狼が紛れ込んでいたとはね。

でも、させない!」 


怒りと焦燥に駆られながらも、十六那とそのワイルドハントは目的の地、大海の怪物が留まる海域へと向かうのだった。




弘樹は一人、避難者たちの様子見と八柱界への帰還時期などを船長と相談すべく、船近くの島、と言っても北海道ほどの大きさはあるのだが、に避難所として新設した港町へと転移した。


ソフィアの報告によればこの付近にも魚類やプランクトン、昆虫や数種類の鳥類、鹿やウサギやキツネ、野ねずみにアナグマなどの動物なども含めた創造を開始したそうだった。


空を見上げてみれば確かに海鳥たちが飛ぶ姿が目に入り、何となく嬉しく思いつつ弘樹は船長たちが寝泊まりしている十階建てのホテルへと足を向けた。


ホテルのロビーに入ると船長を始め商人や船員たちが大きなテーブルを囲んで話し合っている姿を見つけた。


弘樹に気付いた面々が顔を上げ、それぞれ思い思いに挨拶をした後弘樹もテーブルの輪に加わった。


「皆さんにお話したい事があり、こちらに伺いました。

ここに案内した際お話した通り、ここは俺の隠世のような世界です。 

船は修理しましたから航海そのものは可能となっていますが、問題は戻るべき航路の方、そこに居座っている可能性が高い魔物の件です」


参加者たちは黙って弘樹の言葉を聞いていた。

彼らは弘樹たちが神託によって告げられた神籍を持つ存在である事を知っている。


あれこれ騒ぎが大きくなるのも嫌なので、【新世界】へ転移してから新設した避難エリアへ移動する際、大まかにあれこれ説明しておいたのだ。


八柱界の住民は基本的に神々の敬虔な信者であり、神籍にある者に強く出ようとするような不信心者は殆ど居ないのだから。


「本来ならば皆さん方が向かっていた地へと送り届けるのが良いのではないかとも思うのですが、大規模な力の行使は他の神々の仕事の妨げになる可能性があります。

ですから一番の問題である航路に留まっている魔物の討伐、これを行った後に元の場所へ船ごと皆さんをお帰しする、この方向で進めさせて貰おうと思っています。

かかる日数は長くて2〜3日ですが、それで問題はありませんか?」


弘樹の説明に殆どの者は頷き、感謝の意を述べる者すら多かった。


そもそもが八柱界の長距離移動は、船であっても馬車であっても、天候不順や魔物の襲撃など諸々の事で日程通りに行かない事が多く、命の危険性すら地球世界の比ではないので数日のロスなど問題にはならないのだと船長には事前に確認を取ってはいた。


食料に関しては野菜や果実、穀物、ハーブ類、そして亜空間収納に在庫を抱え過ぎていた肉類のうち霊格が然程高くない(小六月的にはだが)ワイバーンやヒポグリフなどの肉類もホテルの冷蔵室や冷凍室などに搬入して自由に使って良いと話してある。 


水道もあるので飲料水も問題はない。(紅茶や緑茶、ハーブティーにコーヒー豆なども提供した)


なお砂糖や小麦粉などもサトウキビや小麦から、塩は海水から薬品系の錬成で大量に作っていたので、それなりの量を持ち込んである。


何れの食料や調味料も八柱界の感覚で言えばかなりの高品質となっているため、あくまでも援助物資である事を説明し、この世界からの持ち出しは禁じたりもした。


なお護衛や乗客として船に乗っていた十数名の転移者たちは、やや抑え気味とは言え久々の文明的な生活を満喫しており、多少期間が伸びた方が嬉しいくらいだそうだ。


その転移者の中で地球から八柱界に来て長い転移者でも霊格は4が二人居るだけであり、大半が霊格3、霊格2は一人だけだった。


霊格2では海を渡るほどの実力も金銭もない者が多いのだそうだ。

転移者の基本初期値は霊格2スタートなので弘樹たちが特殊なケースだった訳だが。


転移者の中には隠世取ろうかな?と真剣に悩む者もいたが、タレントに属するものである為、適正者は少なく取得出来たのは二人だけだった。


流石に恵那の泉を開放する気はなかったので、何れもレベル2までだが取得出来た者とそのパーティメンバーたちは喜んでいたようだった。

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