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ソウル・リファイン  作者: 弥生丸
第一大陸編
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【新世界】へと戻った一行はソフィアを呼び出し、早速船を作る話となったが、早速暗礁に乗り上げた。


転移者の三人は地球世界で金属の塊の船や飛行機に乗った経験はあるものの、それを作る知識も技術もなく、操作方法も分からない。


以前作り出したスワンボートはともかくとして、フェリーの類も操縦出来るとは思えなかった。


海流や天候、風向きや深度など、映画やニュース、ドキュメント番組などで何となく見聞きしてはいるものの、実用性は皆無であり分からない事だらけだった。


「多分記憶にある物をそのまま再現する事は可能なんだ。

例えば【新世界】にあるホテルや旅館とか、建築知識も何も無いのにテレビやネットでこんなの見たな程度の認識でも生えて来たみたいに」


「えぇ、今のマスターでしたらかなり特殊な物でなければ再現可能です。

ホテルや旅館の電気に関しては地球世界の常識が邪魔をして太陽光発電などが組み込まれてしまいましたが。

本来でしたら錬金術のマジックアイテムの術式付与に似た、イメージ付与をすれば良いのです」


弘樹の話にソフィアが答え、創造関係はイメージこそが大事なのだと理解する。

勿論能力者の霊格や総合的なレベル、タレントのレベルなどが高い事が前提であるが。


「それって創造タレントで作っても、【新世界】で生やしても、実はそんなに変わらないって事ですか?」

小春の疑問にソフィアが首を横に振った。

「いいえ、【新世界】はどちらかと言えば受け身な創造を行います。

簡単に言えばマスターがそういう物だと認識している物しか作れません。

漠然としたイメージでも他の世界と言う情報があるからこそ地球や八柱界に似た世界が生まれているのです」


ソフィアの答えに小春がなる程と頷いた。


「あぁ、希少金属の山が生えたのも、存在をちゃんと知ってからですもんね。

天照大神様からヒヒイロカネを頂いた時も、認識出来たからと話されていたし、そういう意味だったんですね」


「えぇそうです。

現在では私が居りますからある程度の調整が可能ではあります。

例えばマスターの記憶にある豪華客船を、電気や石油などがなくとも大きな魔石を原動力にしたバージョンを創り出す事は可能です。

外装をオリハルコンにしたいなら、それも可能です。

しかし結局は従来ある物、記憶にそれと認識された物の再現や手を加えた物レベルなのです」


ソフィアと小春のやり取りに弘樹が何か考え込み、なんとなく理解したようだった。


「逆にタレントである創造は、本来【新世界】よりもイメージ重視って事か。

すでにある物、知っている物が【新世界】は得意で、タレント創造は未知の何かを生み出す事も可能と。

勿論人のイメージなんて記憶や経験に引きずられる物だから影響は受けるんだろうし、個人の能力としては規模や性能も限界がありそうだし、俺個人の負担もかなりでかそうだけど」


「えぇ、そういう事です。

今回の船作りで言えば、既存の物を元に手を加えた物でしたら【新世界】、新たな何かを生み出すのでしたら創造が宜しいかと思います。

何度か創造なさっていますが、複雑かつ規模が大きい程にマスターの負担が大きかったと思われますし」


ソフィアの説明に弘樹は「創造で子供の頃アニメで見た移動要塞とか作れたり?!」とわくわくしているようだった。

「パワーソースなども考慮なさってくださいね。【新世界】でしたらこちらの恵那やマナなどを動力にしてもあまり問題はありませんが、八柱界でそれを行うのは神々の創世を阻害する危険行為と言えます」


「あー、地球世界風に言えば勝手に他人の家の電気や水道使いまくるなって事だよな。

それでサラスヴァティ様は魔石などって話をしたんだな」


慣れるまでは大規模な物を作るのは避けた方が良いかもしれない、そう思う弘樹だった。


「あの、それなら【新世界】である程度船の素体を作り、それを創造で改造する事も出来るんじゃないですか?」


皆の話をぼんやりと聞いていた貴彦が加わりそう語りだした。


「ほら、古民家を買って別の用途に改修したり、大きめの乗用車をキャンピングカーに改造する人居るじゃないですか?」


「えぇ、可能です。

無から作るよりマスターの負担も少なく済むかと思われます。

天然素材や特殊金属なども豊富にございますし、何よりこの【新世界】はマスターの一部。

サブマスターの皆様方もそうですが親和性はとても高いと思われますし」


「あー、それは良いかも知れないな!」


貴彦の思い付きにソフィアが答え、弘樹がそれに賛同した。


「武装は無理のない範囲でのみじゃないと不味いですよね。

銃や爆弾では浄化出来ないそうですから、アニメに出てくるビーム兵器やミサイルなんかも駄目でしょうし」

ほんのり不穏な何かを感じ取った小春が、暴走しそうな弘樹と貴彦に釘を刺した。


「んっ?!え、あぁそんな無茶はしないさ〜」

言われるまで絶対何かやらかすつもりだった弘樹にジト目を送る小春だった。


「ソフィアさん、そう言えばこの世界は弘樹さんの記憶や知識を元にしてるって話だけど、僕や小春の記憶にもアクセス可能なのですか?

勿論何か作るには弘樹さんのマスター権限が必要だと思うんだけど、皆それぞれ知識や経験は違うと思うんです。

例えば弘樹さんのイメージする道場と僕や小春がイメージする道場では、多分使い勝手も訓練に必要な物も違ってくるように。

物によっては情報を一部共有した方が有益な場合もあるんじゃないかと思うんですよ」


「可能です。

サブマスター権限が付与されておりますから。

通常の思考を読む等はプライバシー保護の観点から行っておりませんが、知識などの情報としては確かに有益かも知れませんね。

例えば男女間でも物の使い勝手は異なる事もありますので。

地球世界ではトイレや温泉施設などでも男女それぞれに作られているようですし、マスターの記憶のみですと映像などの記憶から再現となります。

しかし実際に使用している小春様の情報があれば、再現度は高まるでしょう」


「エピソード記憶でしたっけ?

その辺じゃなくて知識としての記憶だけなら問題ないです。

それより服や下着、化粧品や等も再現可能ですか?

八柱界は転移者や流界者のお陰でそれなりに地球世界と近い物もあるんですけど、男女比とか知識や技術の違いか、微妙な物も結構あって」


転移者は戦闘を主体として召喚される為か、男女比が男性が多い傾向にあり、流界者も山や海など自然が接点となって流れて来る人が多い影響か、どちらも7割強は男性であるらしい。


また知識や技術があったとしても、一から作れるものであるとは限らない点もあった。


例えばニットセーターの編み方は知っていても、既製品レベルの手触りや色合いの毛糸の作り方を知るものは少ない。


知識があっても技術が無ければ作れないし、知識や技術があっても素材や道具が無ければ作れない。


植生が地球世界に似ていても、知識にある植物や鉱物が流れた先にあるとは限らない。


そもそもが異世界で生き抜く為に必死で、それどころでは無いと言うケースも数多く、料理などはかなり充実しているし、衛生環境の概念もそれなり広まってはいる為、道端に人糞が落ちている等は見掛けないが、こと技術に関しては地球世界よりも数歩の遅れをとっていた。


魔道具なども一般市民の手に容易く渡る価格の物は少ない。


実際の所、現代地球世界の人間からすると、実際の中世ヨーロッパなどよりだいぶマシな、絵に描いたようなファンタジー世界ではあるし、【新世界】に至っては生えてくるレベルではあるのだが、八柱界にそれらを持ち出しまくる訳にもいかない。


単純に言って昭和後期にタイムスリップしたのに、平成後期や令和の製品が欲しいと言っても仕方ないのに似ていた。


「可能です。

ですがそうですね、好みなども反映させるのでしたら、ポイントに余裕があるようならタレントの創造を取得する事をおすすめします。

レベルが5か6もあればお望みの品は作れるかと。

既に霊格が6となられ神格も得た小春様なら取得可能と思われます」


なんと?!

小春は驚きの声を上げつつステータスウィンドウを立ち上げた。

「うわ、本当だ!

取れる!取れますよ!

うふ、うふふふ!」

恵那の泉に向かって高速移動を始める小春の背中を、その場にいる面子は白けた目で見送った。


物作りで暴走しがちな貴彦と弘樹だったが、ここにストッパーであるはずの小春も加わる事となったのだった。


「っと、それじゃ俺たちの知識や情報をまとめた上で、船の素体を作ってもらおう。

そうだな、小さ過ぎると辛いだろうから、豪華客船クラスとかいいんじゃなかろうか?」


何人乗りのつもりですか?!と突っ込む小春もおらず、地球世界の情報を持たないシンシアとエアリスは蚊帳の外である為、話はどんどん膨らんで行く。


「店もあるといいよな。バーにレストラン、医務室にランドリーとかもかな?」

「水上バイクやモーターボートみたいな物も搭載すると格好良くないですか?ヘリとかも」

「あー、それもいいかも知れないな!

「基本動力は魔石で。

ドラゴンクラスのならそれなりに使えるだろう?

非常用に太陽光とか俺たちの魔力も使用可能にして」

「一部の動力は分けた方が効率が良いかも知れませんね。

照明や冷暖房などの居住などと船の動力そのものや、付属のソナーなんかを分けるとグリフォンや亜竜なんかの魔石も使えるでしょうし。

船体は魔物の襲撃を考えるとそれなりの希少金属を使った方がいいでしょうね。

あと大規模障壁魔法とかもありかも知れませんよ?」

「直接攻撃は駄目でも投網なんかはあると便利じゃないか?」

「いいですね!あ、どうせなら飛べてもいいかも?!」

「それだ!てかもう水陸空、全部に対応可能な物に改造しちまおう!」

「あー、でも大型の船ってそれなりの数の人間が必要なんじゃないですか?」

「ソフィアみたいな神や精霊が居てくれると助かるんだけどな」

盛り上がる二人にソフィアはにっこりと微笑み、

「万物には魂が宿ります。

神クラスはともかくとして精霊による操作形態になさる事は可能です」

と拍車をかけた。


「おぉ?!」

「かっけー!」

弘樹と貴彦はテンションが上がり、それを見つめるソフィアも創造主とサブマスターの喜ぶ姿をやや上気した表情で見つめている。


「「あーあ」」

会話の内容は半分も理解出来なかった現地人にして水乙女の二人だが、やはりこうなるのかと微妙な表情でワイワイ話す彼らの姿を見つめるのだった。

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