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ソウル・リファイン  作者: 弥生丸
第一大陸編
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冒険者カードを使います

冒険者カードを使います



「輪廻への干渉によって地球と八柱界に生じた歪みは次元間の綻びを産み出し、本来立ち入る事を禁じている者たちの侵入を許してしまったのです」


天照大神は疲れているのか深い溜め息をつき、

「禁呪をばら撒く王子姿の男、そして皆様方が八柱界へと来る際に出会った老執事の事を覚えておいでですか?

彼等は本来この地に侵入干渉共に出来ないはずの存在、悪魔なのです」

と、そう締めくくった。


「悪魔って、あの魔界とか地獄から来る?元天使だったり他の神々を貶めたりして生まれたアレですか?」

弘樹の問いに「えぇ」と頷く天照大神。


「この世界の有り様としては、他宗教によって変化、失位など大きく変えられた者たちを浄化する事も理屈では可能なのです。

ただし彼等はかなり古く力もあり、八柱界の表現で言えば霊格とレベルがとても高い者が多いのです。

勿論名も無い悪魔は悪霊レベルから居るのでそうでもないのですが。

狡猾な者や特殊な力を持つ者も多く、魔王と呼べる存在が多数存在しています。

あれ等の浄化は眷属を浄化するのとは訳が違いますし、そもそもがある存在たちと敵対と言う名の関わりがあるので、極力介入させないようにしていたのですが…あぁ、そろそろ時間の様ですね。

皆様方は特殊なケースでこちらにいらした上に、アレらと縁があるようなのでお伝えしましたが決して無理はなさいませぬよう。

またこちらの人間には他言無用でお願い致します。

それと貴彦殿にはすでに与えていますが、弘樹殿、小春殿にも私の加護を差し上げます」


天照大神が右手をすっと上げると暖かな日差しのような光が弘樹と小春を包み込む。


「そして貴彦殿にはこれをお渡ししましょう」

その手にあるのは金にも赤にも見える美しい金属だった。

貴彦は思わず飛びついて色んな角度からその金属を調べ始めた。


「ヒヒイロカネです。

かなり難度の高い錬成となるでしょうが、是非お使いください。

他の希少金属以上に特殊かつ特別な物です。

弘樹殿なら実物見て認識した時点で【世界】に作り出す事も可能でしょう」


貴彦の様子に苦笑を浮かべつつも彼女はそう告げて光に転じた。

一瞬の閃光が走った後は皆、元の社へと戻っていた。


「さぁ、お行きなさい。そして今後ともこの世界をよろしくお願いします」


天照大神の言葉に五人共が頷くと、再び光に包まれて王城裏の森の中へと戻されていた。


シンシアに連れられて王城に立ち寄った一行は、国王たちに攻略した事を伝えた。

八岐大蛇、それもラクヨ以上の巨大なそれを倒した話をし、魔石や部位の一部を見せると大騒ぎになってしまった。


またエアリスとシンシアは霊格がそれぞれ4と3に上がり、レベルも282と277になっていた。

ダンジョン攻略特典のような追加恵那もあったらしいが、八岐大蛇からの恵那が大きかったようだった。


「ほぼ200レベル上がりました。

パワーレベリング恐るべしですわ」

シンシアは自身の冒険者カードを見て呆然と呟き、エアリスは八柱界の人間としては滅多に至る事のない霊格4に戦々恐々としていた。

「まずいです。

レベルはともかく霊格が上がり過ぎです。

絶対に呼び出しが掛かります。

神殿に何と報告すれば良いのでしょう?」

と涙目になっていた。


ドロップ品を頭数で分けようと弘樹たちが言い出したが、ほぼ着いて行っただけなのに霊格とレベルのとてつもない向上、そして主神に会え祝福までもらったのでお腹いっぱいです!と二人して強く断り、三人で適当に分ける事にした。


「そもそも弘樹様に頂いたこの鞄だけでもとんでもない品ですもの」

と言いつつシンシアは薬品や武器類などを貴彦へ返却すべく次々と取り出した。


「あー、それは差し上げます。

試作品も多いですし、シンシア姫用に調整した物も多いですから。

でもそうか、ステータスの変化に合わせて調整も必要ですね」

最高級から国宝、伝説級まで様々な品をしれっと差し上げますと言われ、戸惑っていたシンシアだったが、調整の話となった途端目の光が変わったのを他の人々は見逃さなかった。


「多少なりとも筋力や体力は上げますし、霊格の向上もしておりますから確かに調整は必要ですわね?

そうですわ!

私の師になって下さいませ!

すべてをと言う訳には参りませんが錬金術や鍛冶など武器だけでも教わる事が出来れば、自分の分だけなら修復や調整は可能だと思いますの。

勿論霊格の差もありますし、私が準備可能な材料には限りがありますから応急処置的な物になるかと思いますが」

と思い付きで語り始めるシンシアに、

「教えるのは構いませんよ。

それとオリハルコンやミスリル、古竜の牙や爪などの材料はある程度差し上げますよ」

と貴彦はほいほい亜空間から、高価かつ希少なはずの金属や素材を次々と取り出してシンシアへ押し付ける。

流石にシンシアも遠慮しようとしていたが、「僕は貴女の師匠なのでしょう?

政務などには一切口を出す気はありませんが、物作りに関しては従って貰います」と貴彦に強く出られ、渋々受け取って自身の亜空間へと仕舞っていった。


その光景を見ていた王家の人々や家臣たちは、どこか遠くを見つめるような目でボーっとその様子を見つめるのだった。


「伝える事は伝えたし、俺達は一旦隠世に戻ります。

エアリスも来るよな?

それでは失礼します」

エアリスは弘樹の問いに勿論です!お邪魔しました!と答え、彼の作り出した扉へと飛び込み、シンシアも「師匠に師事を受けてきますわ!」と宣言して扉へと入って行く。

小春と貴彦も王族へ軽く挨拶をして姿を隠世へと移した。


「弘樹様、娘をよろしくお願いいたします」

国王や王妃たちに頭を深々と下げられ、

「あっ?はい、頑張ります!」と咄嗟に謎の返事を返しつつ弘樹も城を後にするのだった。


一行は一旦魔石やドロップ品をいつもの体育館もどきに出して分け、「なんだかもういらない気もするけれど」と呟きつつも二人に押し切られ、一部をパーティー資金として弘樹がまたもや預かると残りは三人で前回同様割り振った。


なお天照大神の言っていた通り、希少金属の山にヒヒイロカネで出来た山が仲間入りしていた。


有り難みが一気に無くなった気がしたが、貴彦は早速あれこれ試したいらしく弟子のシンシアを連れて自分の隠世へと戻っていった。


「あれ?若い男女二人だけにして平気なのかな?

貴族とか王族ってかなりあれこれ煩いイメージがあるんだけど?」

弘樹の呟きに今更ですよと小春が答え、数日ぶりに再会した小六を弄くりまくりつつ温泉へと行ってしまった。


「そういう物なのかね?」

「えぇ。

神々と共に冒険をしたり、何かを直接教わるなど名誉な事であって忌避する意味が理解出来ません。

既に皆様は下級とはいえ神扱いなのです。人の身で意見する者など早々おりません」

エアリスの説明に、あー、そんなもんなのかと微妙な納得をする弘樹だった。


「そう言えばエアリスに聞きたい事があったんだ。

転移者はステータスウィンドウを開いて能力値やスキルをいじったり出来るけど、冒険者はどうやっているのかとずっと疑問だったんだ。

あと神威魔法の取得方法も加護以外ではよく分からなくて」

弘樹の質問にエアリスはこくりと頷き説明を始めた。


「まずステータスに関しては冒険者カードを使います。

こうして手に持ち、上げたい能力やスキルなどに意識を集中するとポイントを割り振る事が出来ます。

新しいスキルの取得も同様で、そう意識する事である程度絞り込みポイントを使って取得します。

転移者の方とはステータスウィンドウによる表示の差などはありますが、基本的には同じだと思って下さい。

割り振れるポイントなども転移者の方と同じく才能や適性に左右されますがほぼ同じです。

目の前で試してみますね?」

とエアリスは弘樹に見やすいように彼の近くに立つと、片手に持った冒険者カードをジッと見つめる。


するとカードに表示された能力値が変化し上昇するのが見て取れた。


「なるほど。殆ど変わらないんだな」

「はい、転移者の方々の簡易版だと思うと良いかと。

それと神威魔法などですが、そうですね、基本的には加護によるものと相性によるものがあります。

魔法その物には向かず、異能だけを使う者もそれなりにおりますし、逆もあります。

転移者の方々は比較的簡単に取得出来ると聞きますが、まずは基本的な神々の知識が必要かも知れませんね。

詠唱もほぼ祈りと変わりませんので」

エアリスの説明に弘樹はやはりかと思う。

異能はある意味本人の一部として認識するなり、対象へと語りかけるようにイメージするなりして使う者が多い。


反面魔法、中でも神威魔法はその神々の特性に合った物が多いイメージがあった。


例えば月を月そのものとして見るか、夜の象徴、或いは魔力その根源として見るか。

月光魔法と魔神魔法のようにどちらも月に関わる神でありながら、方向性が全く異なる。


「例えば水の神々はサラスヴァティ様を筆頭に沢山いらっしゃいます。

荒波の化身であったり、泉の神であったり、同じ水神であってもその有り様が異なります。

ですから補助的な使い方をしたい人は泉や小川などの神々の神威を、攻撃的な使い方をしたい方はそういった神格をお持ちの神々の神威を借り受ける事になります。

ただ与えられた加護による魔法行使を除けば、多くはそれぞれの主たる神、最上位の八柱たる神々の神威を借り受ける魔法、八柱魔法を習得しようとする事が多いです。

それぞれに基本的な創造をさなった神々とされていますので」


つまりは同じ属性の魔法でも、八柱の神々へ祈る魔法は特別とされ八柱魔法と呼ばれ、他の神々の魔法は神威魔法と呼ばれていると言う事か。


「えぇ、それもありますが、松明や竈などの火の神と戦神としての面もある神では攻撃時に差が出る事があります。

他の属性も同じです。

そよ風の神の神威魔法でも竜巻は作れますが、暴風神の神威魔法の方が威力も規模もMP効率も異なります。

ただし基本的な創造をなさった八柱の神々の魔法はそこに縛られません。

信仰心はもちろんですが、使い勝手という点でも八柱魔法を選ぶ人が多いのです。次いでその人毎に日々の生活に影響の大きな神々の魔法を取得する事が多いですね」

まぁそうだよね、使い勝手が良かったり、生活に根付いていたりとか日本でもそう言う発想多いもんなー。

「となると神名辞典みたいな物でどんな神々が居るのかを確認しつつ、試してみて生えたら相性が良いってことか」

「そうなりますね。

神殿で大まかに相性を調べる事は可能ですが、神格を得てしまった方々を調べるのは流石に難しいですし試してみていただくしか」

弘樹はエアリスの説明に納得しつつ、泉に入る際に新設した図書類を確認しようと思うのだった。


翌日、三人の転移者は恵那の泉に浸かっていた。

ステータス類の更新もそうだが、アイテムを漬け込むのも忘れない。


ソフィア曰くここはパーティーメンバー用に調整されているので、通常よりも高頻度で使って平気なのだそうだ。


その為温泉に入るついでに入っとくなんて事も普通に出来るようになった。


なお、エアリスとシンシアも口外しない事を条件に使用可能とした。

管理者のソフィアが平気だと言うのだから問題ないのだろう。


なお王家の迷宮では弘樹が60、貴彦と小春は70レベルアップしていた。

その前段階ですでに顕現値は四桁になっており、数字としては人間を捨てまくりな状態になっている。

種族表記もすでに人ではないのだが。


なお、それぞれの能力値は


山野弘樹

HP 25560+補正

MP 44400+補正

種族:亜神 年齢42歳

地位:下級神

霊格6 レベル660

冒険者ランク S

能力値    顕現値

筋力08→600 筋力3600

体力08→600 体力3600 

敏捷08→500 敏捷3000

器用06→400 器用2000

知力12→300 知力1800

魔力20→600 魔力3600+80 

加護10→500 加護3000+60 


名前 渡来貴彦

HP 13050+補正

MP 18350+補正

種族 亜神 年齢16歳

地位:下級神

▽霊格 5 

レベル 570

冒険者ランクS

能力値     顕現値

筋力15→300 筋力1500

体力14→300 体力1500

敏捷11→300 敏捷1500

器用09→600 器用3000

知力12→400 知力2000

魔力18→300 魔力1500+40

加護20→300 加護1500+60


名前 佐倉小春

HP 12850+補正

MP 18350+補正

種族 亜神 年齢16歳

地位:下級神

▽霊格 5 

レベル 570

冒険者ランク S

能力値      顕現値

筋力12→400 筋力2000+20

体力11→400 体力2000+20 

敏捷20→700 敏捷3500

器用15→400 器用2000

知力10→250 知力1250

魔力15→300 魔力1500+70

加護10→300 加護1500+30


と全員顕現値が四桁になっており、市販の武器など本気で振るえば敵ごと砕け散りそうな状況となっていた。


「お次!古い方の草薙剣を浸けてみます!」

弘樹が亜空間から剣を取り出し、ズブズブと泉に漬け込む。


二本の草薙剣を鑑定した結果、どちらも神話級ではあったが、後から手に入れた物の方が確実に高性能な品だった。


疾風怒濤を吸収した後の鑑定では性能的にあまり差が無くなっていたが、それでも微妙に後の品の方が強かった。


ソフィアいわく模倣品ではないが、本来の神宝からの分霊のような物なのだそうだ。


他のネームドアイテムは霊的に本体により近い物の方がよりオリジナルに近いのだと言う。


逆に疾風怒濤を吸収した事で一部変化も起きてしまい、既にそれは天叢雲剣と似て非なる物になりつつあるらしい。


ならばと勢いで恵那の泉に浸ける事になったのだ。


剣は泉の水を吸収し光を放つ。

通常ならそこで光が収まり何らかの変化をしているはずなのだが、一向に収まる気配はなかった。


「もしかして?」

弘樹は何となくだか光に向かって創造の力を向けてみる。

それは巨大な模倣神剣にして擬似的な神威である疾風怒濤を一人で再度作り出す様にも似ていた。

剣の光はより強くなり弘樹の力をどんどん吸い込んで行く。

ついでにヒヒイロカネも創造に加えてみると、通常よりもしっくりとくる感覚があった。


明らかに疾風怒濤数本分のMPを奪われてる気がしたが、気付くと光は消え失せ、一本の古代剣が弘樹の手に握られていた。


それはヒヒイロカネの特性なのか内からほんのりと光を放ち、明らかに草薙剣、天叢雲剣とも異なる力を内包しているのが分かった。


鑑定してみると疾風怒濤と名がついており、神宝になっていた。


「そうなるような気がしてた」

弘樹がボソッと呟き、貴彦と小春もだよねーという顔で疾風怒濤を見詰めていた。

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