息子がお世話になりましたようで
息子がお世話になりましたようで
新米冒険者クリストフことクリフトファー・ヒズルクはこの国の第三王子だった。
「マジかよ?!」
思わず呟いてしまう弘樹たちだが、シンシアとジェラルドは知っていたようだった。
確かにシンシアからすれば腹違いの弟であり、ジェラルドからすれば甥に当たるのだから知らないはずもなかった。
「武者修行の旅に出ておりますので、あえて他人のフリをお互いにしておりましたのよ?」
シンシアはさらりと言い、ジェラルドも苦笑いを浮かべて頷いた。
「出立前に何やらあれこれ設定を考えておりましたし、名前も一部変えて生活しているようですが、我が子ながらなかなかに役者なようで安心いたしました」
第二王妃は朗らかに笑い、そう語る。
いや、命の危険があれこれあったんですけど?
そう思うも第二王妃は気にした様子もなかった。
考えてみれば戦うのが当たり前、姫ですら王宮から抜け出して狩りに行く様な王家なのだから、王子の武者修行位くらい当たり前なのかも知れない。
「息子が世話になりましたようで。
霊格とレベルが上がったと手紙が届きました。
皆様方の名も書かれておりまして、一度お礼を申し上げたかったのですよ」
「あの子は冒険譚が好きでしたものね」
王もにこやかに話し、第一王妃も朗らかに会話へ加わった。
何でも王妃二人は従姉妹であり、元々姉妹のように仲が良かったらしい。
国王が皇太子時代に三人は他のメンバー込でパーティーを組み、幾つかのダンジョンや王家の迷宮へもチャレンジしたのだそうだ。
武闘派な王家は伊達ではなかった。
それぞれ霊格は2だが、レベルは百を超えているとか。
なおシンシアは霊格2レベル74とそこそこの強さを持っていた。
「お父様、私小六月の皆様方と王家の迷宮へ挑戦いたしますのよ!」
どうやら彼女の中では完全に決定事項のようで、堂々と宣言する。
「あぁジェラルドから聞き及んでおる。小六月の皆様方はそれで本当に宜しいのですかな?」
国王がメンバーにそう尋ねると、それまで黙っていた貴彦が口を開いた。
「お話を伺っていると、王家の迷宮で結ばれた方々が多いように思うのですが、何かそう言った決まり事があるのですか?」
貴彦の問いに弘樹と小春、そしてエアリスまでもがハッ?!とした顔をするが、「いやいや、その様な決まりはありません。ただ我ら王家の者はそれなりの実力者と婚姻を結ぶのが常となっておりますので、お互いに技量が分かり、共に戦い慣れた者と結ばれる事が多いだけなのですよ」
と王が説明し、第一王妃が、
「そもそもその決まりですと、私の息子たちや娘も婚姻せねばなりませんわ?婚約者候補は数名おりますが、未だ定めておりませんのよ」
と告げる。
いや、普通王家とか貴族って幼い頃から婚約者くらい居るんじゃ?とも思ったが、ヒズルクを除けば第一大陸には幾つか少国家があるだけであり、危険な海を渡ってまでの婚姻もそうそう行う訳もなく、政治的な云々も少ない。
またそもそもが戦闘民族的な発想らしく、強いかどうかも分からない者との婚約などあり得ないとの事だった。
なんなら平民であっても実力さえあれば王家や貴族と婚姻可能だそうで、どんだけだよと思わずにはいられなかった。
結局王家の迷宮の使用許可を得る事が出来た一行は、近々挑戦する事となった。
なお、このダンジョンは開放型ではないので、ラスボスを倒しても迷宮が消失することはないそうだ。
お茶会が終わりジェラルドは王都内の屋敷へと戻り、シンシアは護衛も連れず小六月のメンバーとともに冒険者ギルドへとやって来た。
それでいいのか?と思ったが国王も王妃たちも「いってらっしゃーい」と手を振る勢いだったので良いのだろうと諦めた。
シンシアはギルドカードをすでに持っているので、パーティー登録を行う。
あっさりと許可が降りてパーティーとなったのだが、その際様々な功績から弘樹、小春、貴彦の三人はSランクとなってしまった。
断固断ろうと思ったが、本来ならSSS扱いな所をこれでも低めにしてくれたのだと言われれば断るのは難しかった。
その後必要そうな物を適当に揃えると、エアリスやシンシアと共に弘樹の隠世へと移動する。
貴彦が二人を採寸し、得意な戦闘方法なども確認する。
エアリスは回復、支援、風、炎などの魔法主体であり、一部の武器も使用可能ないわゆる魔法寄りの神官戦士であり、シンシアは弓を主武器とし、風、水、日輪などの魔法を使う後衛タイプだった。
しかし剣や槍も多少は使えるそうで、小春が剣術を教える事となった。
企み通りである。
貴彦は自分の隠世へと移動し、二人の武器防具を始め、八岐大蛇ダンジョンで入手した品々であれこれを作り始め、他の面々は温泉に浸かったり、訓練をしたりして過ごした。
弘樹はシンシアにもサブマスター権限をパーティーでいる間のみ与え、屋敷に部屋も設置した。
なお貴彦に八岐大蛇との最終決戦時のドロップ品を渡していない事を思い出し、一度貴彦を呼び出して一部パーティー資金用に保管しつつ三人で分けた。
また八岐大蛇戦と前回分配した間に得たドロップ品も同じく三等分する。
弘樹と小春のみで倒した分に関しては、二人で等分した。
すでに売却すればとてつもない金額になる財産を得てしまったので、特別な使い道がない限りは売るのも良いが、実際の所、隠世のお陰でお金に困っていないので市場を荒らさない程度に少しずつ放出して行こうという事になった。
貴彦の場合は一部のドロップ品を除けば何かしらの材料になるので、殆ど手放すつもりはないようだったが。
その後屋敷内は女性ばかりになってしまったが、特に色恋関係のイベントは起きないまま翌朝を迎え、皆で朝食を取ることとなった。
手っ取り早く弘樹が白米を炊き、購入しておいた魚を焼き、大根や玉ねぎ、人参などを入れた味噌汁と採れたてのキュウリや白菜を浅漬けにしたりしてテーブル狭しと並べる。
「日本の朝食って感じだよな」
しみじみとそう考えつつ、貴彦を呼び出して皆でテーブルを囲んだ。
食事の後は貴彦が次々と武器防具を取り出しては、あれこれ説明を始めた。
「これは古竜の髭や爪を使って作った弓です。この刀はオリハルコンに八岐大蛇の牙を混ぜ込んだ物で四本作りました!
こちらは同じく八岐大蛇とヒドラの革や鱗を使って作った鎧になります。
杖も作ったんですよ?!属性竜たちも結構倒せたので魔石も大量にありましたからね!魔石から抜き取ったエッセンスをこの宝玉へと移しまして、あぁこの杖本体はエアリスさんが使うと思って風竜の骨を使っています、で、宝玉をはめ込んでみたら凄い杖になったんですよ!
あとはですね…」
短期間で相当な数を錬成したらしく、弓と矢、刀と鎧はシンシアへ、杖と刀の一本はエアリスへ、そして皮鎧は全員に行き渡った。
「そして弘樹さんにはこれです!」
八岐大蛇の鱗から作ったクナイが今回は四十本手渡された。
刀もこちらの方が高性能なのでと渡されるが、「あ、俺これがあるから」と亜空間から取り出した草薙剣を見せると貴彦が目を剥いた。
「鑑定っ!うほっ?!うわー?!」
一人だけ違う世界に旅立った貴彦を放置して、皆それぞれ薬品や装備品を確かめる。
ほぼエリクサーな瀕死でも簡単に蘇ると言われる竜胆やらグリフォン、各種ドラゴン、バジリスクやコカトリス等を材料とした薬品や希少金属を惜しげも無く使用した装備品の数々が所狭しと並べられ、最初こそ国宝級を軽く凌ぐ装備の数々に驚きを隠せなかったシンシアとエアリスだったが、貴彦の熱い迸りを延々聞かされて何だかどうでも良くなってきたようで、気付けば黙々と耐性アップや無効化など組合せも考慮しつつアクセサリーも身に着けている。
なお王家の迷宮はゴーレム類や竜種、精霊や妖精、夢魔に魔獣など何でもありらしく、刃物以外の武器も必要だと言うことが判明した。
それを聞いた瞬間、
「任せて下さい!」
とあっと言う間に数々の鈍器や斧、ハンマーに槍などを作り上げて行く貴彦だったが、誰一人として尊敬の念は抱かなかった。
その後数日間シンシアとエアリスは小春に師事して刀の扱いや模擬戦を繰り返し、また王家の人々を含む王家の迷宮挑戦者たちからの情報をまとめたりと慌ただしく過ごした。
どうやら従魔は弾かれてしまうようで、小六は今回弘樹の隠世でソフィアと過ごすことになった。
そして訓練や準備も進み、ある程度形になった所で王家の迷宮へと向かった。
王家の迷宮は王城裏にある森の奥に入り口があるという。
森その物が王家直轄地となっており、王の命を受けた者や王家の者とその同行者のみが出入りする事を許されていた。
弘樹、小春、貴彦、エアリス、そしてシンシアの五名は森の奥へと通じる道を進み、神殿を模したような遺跡へと辿り着いた。
重々しい石の扉が閉じられており、そこにシンシアがそっと触れるとゴゴゴと音を立てて自動で開いてゆく。
「参りましょう」
シンシアに先導されて内部へ入ると、再び扉は閉じ、遺跡内には魔法の灯りが複数灯った。
「この奥に迷宮への出入り口があるはずです」
白い石で作られた道を真っ直ぐに進むと階段があり、そこを下ると20メートル四方の部屋へと出た。
その真ん中に四本の柱が四角を描くように立っており、その中の空間が歪んでいるのが弘樹には分かった。
〈王家の血を引く者よ。その証を示し試練へと挑むが良い〉
何処からか声が響き、シンシアはナイフで指先をほんの僅かに突き刺し、一滴の血を地面に垂らした。
すると柱の中に収まっていた空間の歪みが部屋いっぱいに解き放たれ、パーティーメンバーを包み込む。
「面白い仕掛けですね!」
「今度創造してみようかな?」
貴彦と弘樹が楽しそうに話す中、気付けば一同はコロセウムのど真ん中に立っていた。
「迷宮と言うよりは闘技場ですよね?」
エアリスの言葉に一同は頷くが、シンシアは
「迷宮と言う名を付けては居ますが、実際にはちょっと変わったレアダンジョンみたいなものなので」
と気にした様子もなかった。
「それよりも戦闘準備をした方がいいみたいだよ」
小春が前方を睨みつけつつその手に疾風迅雷を握る。
弘樹は亜空間から40枚のクナイを取り出して障壁共々展開し、貴彦は新作の剣と盾、エアリスは杖を、シンシアは弓矢を構える。
小春の睨む先にいるのは、棍棒を持った身長5メートルほどの巨人が五体とさらに一回り大きな体を持つ1つ目の巨人だった。
小春と弘樹が前に出て、貴彦が中衛、シンシアとエアリスが後衛の陣形を取る。
弘樹は「そういえば」と亜空間から草薙剣も取り出して、自らの魔力を纏わせた。
「来ます!」
小六月の面々を敵と認識したのか、五体の巨人が雄叫びを上げながらこちらに向かって走ってくる。
後ろの1つ目巨人だけはゆったりと動き、その後へと続いた。
小春が疾風迅雷を抜いて高速移動し、敵の中へと飛び込んで浅く切りつけ撹乱させ、弘樹はクナイを操って巨人のうちの一体を滅多刺しにしつつ草薙剣で別の個体へと攻撃を仕掛けた。
貴彦はシンシアたちの前に立ち、剣と盾を構え、その後ろで二人はそれぞれ魔法と弓を放つ。
「炎の槍!」
「当たれ!」
弘樹と交戦している個体に集中して攻撃を当て、それぞれ傷を負わせると、別の個体へとその矛先を変える。
弘樹は魔法と矢の攻撃で出来た隙きを突き、草薙剣で巨人の胴を横凪に払った。
恐ろしいほどアッサリと太い胴体は両断され、ゴロリと地に倒れる。
「一閃!」
小春も神速で巨人の一体を切り倒し、別の個体へと攻撃を開始した。
「日輪の光よ!」
貴彦は閃光の魔法を使い、1つ目巨人の視界を一時的に奪い、そこに弘樹のクナイやシンシアの弓矢、エアリスの攻撃魔法が炸裂する。
1つ目巨人の皮膚は相当丈夫なのか矢も魔法も掠り傷しか与える事は出来ず、弘樹のクナイも浅い傷を複数作るに留まっていた。
「伝承によると巨人は古い神であったと言う説もある。
そう簡単には倒せないか。
シンシアとエアリス、貴彦は1つ目以外を頼む!」
と言う弘樹の声に一同は頷くが、その時既に遅く小春が1つ目以外を全て斬り倒していた。
「…まぁとにかく行くぞ!」
弘樹は再度号令を発し、小春の刀が、貴彦や弘樹の剣が、1つ目巨人を切り伏せた。
巨人たちは恵那の光となって五人に吸収され、やや小振りな魔石が五つ、少し大きめの魔石が一つと巨大な目玉が入った瓶が転がった。
「うっほっ!これで新しい薬がっ!」と言いつつ貴彦が目玉を回収し、他の面子が魔石を亜空間へ仕舞うと、コロセウムの真ん中に地下へと続く幅広い石階段が現れた。
二人から三人並んで降りれそうな幅があるが、魔物との戦闘を考えると一人ずつ縦に降りる方が良いだろうという事になった。
「今回は一つ一つクリアしないと駄目なタイプなのかもな」
弘樹が確認するようにシンシアを見、姫は頷いた。
「はい、事前にお話した通り、極一般的な地下迷宮が続く事もあれば、この様な形状の物、混合型もありますからこの先は地下迷宮や古代遺跡ダンジョンのようになっているのかも知れません」
「よし、では今度は打ち合わせ通り縦隊列を組んで下に降りよう」
障壁や遠近中と多彩な攻撃を使える弘樹が最前列、その後ろに貴彦、シンシア、エアリス、背後からの襲撃に備えて小春が最後尾となった。
襲撃は特になく、階段を降りきると地下の巨大なドーム状の空間となっており、仄かな灯りが天井から降り注いでいた。
高さ数百メートル、横幅も5キロはあり、そのど真ん中には東南アジアの奥地にありそうな巨大建造物が鎮座していた。
宗教色があるその建物は古代の寺院か神殿なのだろう。
壁沿いには所々崩れてはいるものの、天女や戦士、鬼神や上半身が人で下半身が蛇の魔物などで数多くの石像が並んでいる。
建物の表面は蔦がかなりの量あちこちに這っており、よく見ればズルズルと明らかに動いている姿も見て取れた。
「あの蔦は魔物の可能性が高いな。
建物の倒壊なども考えてこのエリアでは物理や魔法共に破壊力や衝撃が強いものは控えるぞ」
小六月の面々は隊列を組み直し、前列に弘樹と小春、二列目にエアリスとシンシア、最後尾に貴彦が立つ。
ゆっくりとした足取りで建物の正面入口へと進むと、案の定蔦がワナワナと動き無数の触手となって小六月に襲い掛かってくる。
「触手だと…クッコロ…しまった?!何故女騎士を置いてきてしまったんだ?!」
途轍もないメンタルアタックを弘樹のみが受けていたが、他の面々はそれを無視して冷静に蔦を切り払いったり焼いたりしていた。
切っても焼いても次々と湧き出す蔦だったが、小六月には全く歯が立たない事に気付くと遺跡に張り付いていた蔦に無数の蕾が産まれた。
それは一メートル以上の大きさをしており、瞬く間に開花してゆく。
花開いた蕾の中には緑の髪、緑の肌を持った全裸の美女が腰から上だけ花弁の代わりに生えており、それらが一斉に歌い出す。
「チャームか幻術系かっ?!」
すでに数名は耐性や無効化を持っており、アイテムも全員に行き渡っているので特にどうという事はなかったが、遺跡に咲く無数の裸の女というのは不気味過ぎた。
「弘樹さん、これを使って下さい!」
貴彦が亜空間から灰色の液体が入った大きな瓶を取り出した。
「強力な除草剤です!これならかなりのダメージを与えられるはずです」
それだと恵那が得られない可能性もあり、パワーレベリングとしてはどうかと一瞬躊躇する弘樹だったが、「その手がありましたかっ?!」と唐突に小春が反応し、「ここは私の異能で倒します」と宣言すると一人前へと飛び出した。
「ちょっ?!」
驚く弘樹たちを他所に襲い来る蔦を避け、切り払い、小春はどんどん前えと進んでゆき、蔦の中でも太い一本を左手で掴みとった。
「植物使いリバース発動!
枯れよ!朽ちよ!
汝は今ここで潰えるのみ」
それは本来植物に対する恵みの力だったが、小春はその力を逆転させる。
単なる親和性や成長促進に留まらず、攻撃などに使役する事も可能なその能力ならば或いは?と思ったが案の定だった。
恵那の泉で小春の植物使いはレベル10になっており、霊格5、かつ下級神となった彼女自身が振るう異能は、既に小さな奇跡その物だった。
小春の触れた所から蔦は急速に萎びて枯れてゆく。
花咲いた乙女たちも苦悶の表情を浮かべながら急速に老化して行、花が散るようにあちこちの建物から地面へと落ちていった。
よく見れば一番太い幹とも呼べる蔦に生えた女が、己の腹に手を刺し拳大の毒々しい種を取り出した。
「シンシア!」
「はいっ!!」
訓練の成果か、小春の声に姫は赤い鏃の矢を種に向けて射掛け貫いた。
赤い鏃は刺さった瞬間炎を拭き上げ、種子を焼き、枯れ始めた女の体も巻き込んで行く。
「ホォォォォ…」
緑の女は憎々しげに小春とシンシアを睨みつけつつ燃え上がり、蔦全体へと炎が広がって行く。
「このままだと遺跡も燃えんじゃね?」
弘樹の突っ込みに小春は冷や汗を浮かべつつ、意識を集中して風を操った。
「風よ!建物や私達を守りつつ火を消せ!」
そのまんまじゃねーか!と一同は思ったが、実は異能や魔法は分かりやすい表現や、なんかそれっぽい技名が威力や効果にダイレクトに影響する。
イメージが重要な為、誰が聞いても効果が分かる直球の方がちゃんと発動しやすいのだ。
蔦は枯れ果て、燃えていた炎も鎮火したので一同は奥へと向かうことにした。
重々しい音を立てて石製の扉が開いて行く。
通路の幅が10メートル以上あり、先程の隊列のまま罠や敵を探しつつ進む。
天井は吹き抜けとなっており、パッと見で五階まで確認する事が出来た。
「ショッピングモールと遺跡のコラボとか誰特?」
弘樹が呟きつついくつかの異能を組み合わせて索敵する。
マップはダンジョン仕様に切り替わり、視界内と通り過ぎたエリアしか表示されなくなった。
建物の中は所々魔法による灯りが灯され薄暗い程度で視界に影響は殆どなかったが、万が一急に照明が消されて襲撃を受けた場合、貴彦以外は咄嗟の対応が難しい為、各自が月光や日輪の灯りを灯して歩く事となった。
石製の壁や柱は所々存在しており、そこかしこに石像が置かれているが、それを除けばまるでショッピングモールの様な作りになっており、無人の空き店舗が延々並んでいるように見えた。
と、突然マップ上に赤い光点が複数現れ動き出す。
柱や壁に設置されていた天女や鬼神、半蛇の石像がまるで生き物のように動き通路へ、そしてパーティーメンバーへと群がるのだった。




