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ソウル・リファイン  作者: 弥生丸
第一大陸編
50/96

位と称号

位と称号


貴彦を一旦隠世へ押し込んでソフィアに後を任せると、弘樹と小春はマップとテレポートを組み合わせ、次々とワイバーンやドラゴン、グリフォンにヒポグリフなどを倒して行った。


ドロップ品は念動力でまとめて浮かせ、一気に収納する事で効率よく多数の魔物を倒す事が出来た。


途中遭遇するゴブリンなどもついでに倒し、残る光点が小さなものだけ、その小さなものも先程の半分以下になった所で二人はラクヨの町へと転移した。

街に残った人々へ討伐の終了と周辺の高位魔物を退治した事を伝えるためだ。


しかし町は短い間に廃墟と化し、あちこちに戦闘の跡が見て取れた。


神殿も瓦解し、冒険者ギルドも焼け落ちている。


街の家々も三割は焼け落ち、四割ほどが半壊状態になっていた。

パッと見には無事だった家屋は三割程度しかなかった。


防壁には火炎による攻撃以外にも、風の異能か魔法による跡と思える痕跡もそこかしこにあり、弘樹たちがダンジョンを攻略中に数種の魔物から襲撃を受けた事が見て取れた。


二人はマップを開き周辺の生き残りを探す。


黄色い光点が見つかった。

それも多数が固まっている。


「あれ?なんか多くね?」


「本当だ。物凄く増えてますね?」


街を捨てられないと選択した町民も多少は居たが、残った者の大半は冒険者ギルドや神殿関係者、そして代官などであり、その数は百名少々だった。


その後辿り着いた周辺の村などの避難民でもいるのだろうか?


倍以上に膨れ上がった光点目指して二人は歩き始めた。


光点が示す先は崩れた神殿だった。

地下に閉じ込められているのか?

逸る気持ちを抑えゆっくりと瓦礫にまみれた神殿へ足を踏み入れる。


「ナニモノダッ?!」

無理矢理人間の言葉を話しているような声が聞こえ、弘樹たちの足元に氷の矢が突き刺さる。


発動した魔力から、相手は大した霊格やレベルではないと判断した二人は瓦礫を避けつつ悠々と進み、飛び来る攻撃を全て障壁で受け止めた。


マップは未だ神殿内に黄色い光点を示しており、弘樹たちに氷の矢やその他の攻撃を行ったのも敵対勢力ではないと判断し、あえて反撃はしなかった。


「お前たちこそ何者だ?」

弘樹は何となく今まで会った上位存在の真似をしようと慣れない気配操作を行い全身から霊格5たる存在感を迸らせる。


「ヒィッ?!」

再び例の声が聞こえ、その近くからもドタドタと慌てて何かにぶつかったりする音が聞こえてきた。


「俺は山野弘樹、ラクヨの町冒険者ギルド所属の転移者だ。

町の人々はどうなったのかを聞きたい。

事情を知る者や話せる者はいるか?」

「プッ」

頭をフル回転させキャラを作り喋る弘樹の横で、小春は必死に笑いを堪えていた。


慌ててこちらに向かってくる足音が聞こえ、小春が疾風迅雷に手を掛ける。


「お待ち下さい!

私です、加藤です!」

瓦礫を避けながら二人の前にやってきたのは、冒険者ギルドの幹部職員加藤と牛の頭を持つ巨人ミノタウロスだった。


光点を確認すると黄色い。

つまりは敵対者ではないということだ。


何となく見覚えがあるような気がしたが、その答えを言い当てる前に先方が名乗りを上げた。

「ワレハ魔神様ノ命ニヨリ、コノ町ヲ守リニ来タ者ノ一体、みのたうろすダ」


弘樹はつい最近、桔梗の下僕が複数十六那の下僕と化したのを思い出した。

「あの時の?!」

小春も驚いたようで十六那も居るのかと辺りを見回すが、マップに青い光点が存在しない以上居ないのだろうと思われた。


「皆さんがダンジョンへ向かってしばらくすると、複数の魔物たちが町へと押し掛けて来たのです。

あまりの数にもうおしまいなのかと諦めかけました。しかしその時、十六那さん、いえ、魔神様が眷族の方々を多数お連れし、町を救って下さったのです」


加藤が事の成り行きを話し、なるほどなと納得する。

つまり黄色い光点は町の人々と十六那の眷族、つまり魔物から神使や神の従魔となった者たちなのだろう。


「無事で良かった。

それで他の人たちは神殿の地下にでも隠れているのですか?」

演じるのも疲れたので素で話し始めると、気配も薄まったのか加藤が苦笑いを浮かべた。

「まぁそんな所なのですが、とりあえず奥へいらして下さい」

ミノタウロスを先導させ、二人は加藤の後に続いた。

神殿の中央近くに大きな扉があり、そこを開けると地下へと繋がる階段が現れた。

何だかガヤガヤと騒がしい声が聞こえ、美味しそうな匂いも漂っている。

もしやと思いつつ加藤たちと共に階段を降りると、そこでは人間と魔物が入り乱れて酒盛りをしている最中だった。


あちこちに置かれた肉はヒポグリフやワイバーン、ドラゴンの物すらあるかも知れず、葉物や根菜などは少ないが、かなり豪勢な食材だった。


「…あー、仲良く出来るっていいよね」

「そう思いますけども…」

貴彦と小春は何とも言えない気分になった。

加藤に空いている席へと案内され、酒を勧められるも断った。


「こちらの状況を説明しておきます。

ダンジョンのボスですが、八岐大蛇でした。ついでに中ボスはヒドラでした。

とりあえず両方共討伐出来、ダンジョンは閉じられました」

出入り口を持ってきたとは流石に言えず、サラッと伝え亜空間から八岐大蛇とヒドラの魔石を取り出してドンとテーブルの上に置いた。

「また、先程マップで感知可能な上位魔物は殲滅しておきました」

と再び亜空間からドラゴンやワイバーン、ヒポグリフにグリフォンなどの魔石を次々と取り出して行く。

口で言うよりはるかに説得力があるだろうと判断したのだが、それを見た人々はおろか魔物たちすら驚愕の目で巨大な魔石の山を見詰める。


「そんな感じでこれから王都へも伝えに行ってきます。

先を急ぐのでもう行きますね」

弘樹はそう言うと魔石の山を全て亜空間へと収納し、小春とともに地上へと向かった。


「多少修復しておいた方がショックは少ないよな?」

弘樹は崩落している神殿から外へ出ると、空間使いとマップ、透視にサイコメトリー、夢幻魔法に魔神魔法まで組み合わせ、つい最近、数日前の過去の状態を夢想する。

現状と過去をすり合わせ、無理の無い範囲で創造を用い修復する。

所々やり過ぎて新品になってしまったり、高品質になった品や家もあったが気にするのはやめた。


また農作物も極力元の状態へと戻してゆく。

それは柔らかな光が町を多い、神が祝福しているかのような、神秘的な光景だった。

加藤とミノタウロスはあんぐりと口を開け、彼らの後から着いてきた人々も弘樹へと祈り始めている。


修復が終わり、神殿や冒険者ギルドも元の状態に戻ったのを確認すると、弘樹と小春は軽く挨拶だけ済ませ、テレポートで適当にその場を離れてから隠世へと戻った。


隠世の屋敷へ戻ると貴彦が部屋で落ち込んでいたが、気にせず二人は風呂に入って体を休めた。


風呂から上がり、貴彦へ町の様子を伝えると、彼は顔をあげて「良かった」とわずかにだが微笑んだ。


「これから王都近くの避難町へダンジョン攻略を伝えに行く。

一緒に行くぞ」

弘樹は貴彦の手を握り、嫌がる彼を引きずるようにして小春と合流する。


「確かに今回お前は暴走していた。

あのままだと杉本や桔梗のようになっていたかも知れない。

でも暴走していたのは俺や小春も一緒だった。

流石に俺達は多少威力等は気にしていたが、ノリであれこれやってしまった自覚はあるんだ。

俺たちは英雄や聖人でも神様でもないんだ。次からは気を付ける、今回はそれで良い事にしておこうぜ?」


弘樹が貴彦の目をジッと見詰めて話すと、心なし貴彦は頬を上気させ、目をそらして「はい」と頷いた。


「あっ」

小春は二人の、特に貴彦の様子を見て何かを感じたようだが、「負けません」と小さく呟いて疾風迅雷をしっかりと握りしめた。


三人はその後、ソフィアに見送られ王都近くの避難街へと転移した。


「弘樹さん!小春さん!貴彦さん!」

二人を出入り口で迎えてくれたのは、サムとクリストフの二人だった。


警備員として一時的に契約しているらしく、タニアとリンウッドは見回り中らしい。

組み合わせが微妙だと思ったが、二人にはマイクがついているそうだ。


なお門付近の警備控え室には町中にも門にもすぐに行けるように、真咲が待機しているとのこと。


「ダンジョンのボス、八岐大蛇と中ボスのヒドラは退治してきた。

ジェラルド様とエアリスはいるかな?」


サムとクリストフ、そして門付近にいた人々もそれを聞いて歓喜の声を上げる。


「あっ!ラクヨに残った人々へ先に伝えていただけましたか?」

クリストフがハッとして弘樹たちを見るが、「あぁ、先に伝えてきた。みんな無事だったよ」とにっこり微笑んで伝えると、再び歓喜の声が上がる。


噂があっという間に広がりあちこちで歓声が上がる中、三人は中央広場近くにある数少ないやや大きな建物へと入って行った。


役所的な機能を果たす建物や病院も必要かと少しだけ大きな建物も作っておいたのだ。


避難者たちの騒ぎを聞きつけ、仮の役所やあちこちの建物から人々が出、話を聞いてはその輪が広がって行く。


その声が聞こえたのだろう。


「何事だ?襲撃かっ?!」

と慌てて館からジェラルドが護衛の兵士を連れて飛び出し、シンシア姫とエアリスがそれに続いた。


「弘樹様?!…いや、弘樹殿の方が良かったのでしたね。

どうなさったのです?もしや、もう討伐なさったとか…?」

ジェラルドの問いかけに三人は「はい」と声を揃えて答えると、大慌てで室内へと通された。


小六月の面々とジェラルド、シンシア、神殿代表としてエアリスがテーブルを囲み、証拠として魔石を多数取り出しつつ事の顛末を語る。


ジェラルドの後ろには見慣れた護衛が立ち、シンシアの後ろには鎧姿の見知らぬ中年男が立ち、小六月の面々をジロジロと値踏みするような視線を送ってくる。


「そちらの方は?」

大まかに討伐達成と町の開放を伝えた弘樹は、静かに鎧の男を見つめ一気に存在感を開放した。


パーティーメンバーとエアリスは気にも止めなかったが、ジェラルドやシンシアを含む四人は弘樹と言う存在に気圧される。

霊格5、レベル300超えのそれは、中途半端なドラゴンよりも遥かに強烈な有り様を示していた。


弘樹に視線をピタリと当てられた男は冷や汗をたらし、ビクビクしながらも「し、失礼いたしました。

私、王都から王命を持って参上致しました国王軍第三部隊隊長ナイジェルと申します」

とどうにか形通りの礼をする。


「王命ですか?」

小春が静かに問い、ナイジェルが冷や汗を垂らしつつコクコクと頷いた。


「今回私達はダンジョンにおけるボスの討伐及びラクヨの町周辺の開放を伝えに来ただけですよ?」


暗に王がどうとか面倒な事は知らんがなと言うオーラを醸し出しつつ、小春は魔石を全て亜空間へ収納した。


ジェラルドやシンシアはどうにか落ち着きを取り戻し、紅茶の入ったカップに口をつけ、ゆっくりと口を開いた。


「実は今回の避難の件などを王である兄に報告したのですが、あなた方に大層関心を持たれ、是非城にお招きしたいと言う事になったのですよ」

ジェラルドの言葉にナイジェルはブンブンと頭を縦に振っている。


「堅苦しいのは面倒でしょうし、お嫌でしたらお断りいただいても何ら問題はございません」

シンシアがサラッと言うとナイジェルが慌てて「姫?!そのようなことを!これは王命ですぞっ?!分かっておいでですかっ?!」と割って入った。


「分かっていないのはナイジェル卿の方ですわ。

この方々、特に弘樹殿は半ば亜神と化していらっしゃいます。

つまりは半ば神々の域へと足を踏み入れたお方たちです。

例え王であっても神々の域へある方へ命じる事は出来ません」

ナイジェルを冷めた目で見つめ話すシンシアだったが、彼は今ひとつ理解していないようだった。


シンシアはその様子にほぅっとため息をつき、「はしたないところをお見せしました」と小六月の面々に頭を下げ、それを見たナイジェルが「転移者に頭を下げるなど!」と横やりを入れる。


「やはり分かっていないのですね?

私は先日、弘樹様の創造を拝見させていただきました。

何もない草原だったこの地に泉を湧かせ、町を瞬く間に作り出した奇跡の力を」

その時の光景を思い出したのか、シンシアは何故か頬を上気させながら熱く語る。


「そしてこのお弘樹様はこことは別にもう一つ、広大な世界を保持していらっしゃる。

言うなればこのお方はその地において亜神ですらなく、神なのです。

王や王家、貴族など人の世の括りなど神々にとっては意味がない事を知らないのですか?」

シンシアの言にジェラルドも頷きナイジェルの瞳を覗き込んで話し出した。


「私はとある神にお会いしたことがある。

そして己の小ささを知ったのだ。

同じ場で息を吸う事すら不敬に当たるのではないかと、魂すらも震わせるそんな偉大なお方だった」


ジェラルドは小六月の面々に顔を向けると、「そのお方、女神様が小六月の皆様方とパーティーを組んでいらっしゃるのだよ。

この意味が分かるかね?」

とまるで神謀でもあるかのように真摯な目でナイジェルへと視線を移し見つめる。


いや待って?

成り行きでパーティーになっただけなんです、その意味とか俺たちも分かりませんとは言い難い空気が漂い、


「なんとっ?!その様な事が?!知らぬとは申せこのナイジェル、腹を切って詫びねばっ!」

と鎧を脱ぎ始めた。


この国でも腹を切るとかあるのね、武士的な何かも混じってるのね、と時代劇でも見ている気分になりつつ、取り敢えず念動力でナイジェルの動きを止めた。


「色々とごたついてしまうのは嫌なので確認します。

今回の件ですが…

ラクヨからの避難の件、この町の創造やその後の取扱の件、そしてダンジョンにおけるボスなどの討伐も含め全て私達小六月の誠意によるものであり、依頼を受けた訳ではありません。

またダンジョン開放終、ラクヨ付近の上位魔物は感知可能な範囲で討伐しましたが、これも同様です。

あえて言うならば神々の神託に応えた、と言う事にして頂くとします」

エアリスが「はい、神殿代表として承認させて頂きます。この度は神の神託に応えて下さり、神殿として感謝致します」と礼を述べ、ジェラルドとシンシアも「それで宜しいのであれば」と同意する。


「あとはラクヨに避難者を戻す件ですが、一週間ほど限定でゲートを設置しても良いのならそうさせて頂きます。

隠世を介しての移動より手間が掛かりませんし、ゆっくり準備したい人もいるでしょうから。

なおゲートは一方通行かつ行き先限定の物になります。

またこの町については領主であるシンシア様の希望を伺い、避難終了後に一部修正しますので案を後ほど紙面で下さい。先程も申しましたが今回は誠意で行った事ですので謝礼はお断りさせて頂きます」

弘樹の確認と意思表示に、

「我が国民たちを救って頂き、その上何から何までお世話頂き、ヒズルク王国第二王女として、そしてこの地の領主として感謝いたします」とシンシアは席を立って礼をする。


ナイジェルが落ち着いた様なので念動をとき、「国王様がご招待下さるならお受けしたいのは山々なのですが、私達は王侯貴族の存在しない国から来た異世界人です。

礼儀作法なども存じ上げませんし、粗相があってもなりませんので」

と語る弘樹に「先程は探るような目で見てしまい大変申し訳ありませんでした。皆様方の事、そしてその様な事情を存じておりませんでしたので、こちらこそ急に不躾な事を申してしまい、何と詫びれば良いか」と平身低頭になっている。


「それでしたら、兄には私とシンシア姫とで話し、大事にならぬよう手配させていただくとしましょう。

あくまでも知人とお茶会を開く程度の気持ちで参加して下されば問題ないように致します。

後日招待状をお送り致しますので是非ご参加ください」

二人の様子を見たジェラルドがまとめるように話し、弘樹たちもそれならばと納得したようだった。


と、ガタッと大きな音を立ててエアリスが立ち上がり、「神託が下ります!」と天を仰いだ。

部屋の中でも聞こえるらしいのだが、神官的には外に出たいらしく、皆で未だ騒がしい町中へと出ると、太陽が一瞬いつもの数倍強く輝き、人々の耳に声が届いた。


〈皆様こんにちは。

八柱の一柱アマテラスです。

皆様に幾つかのお知らせがあります。

まず少し前からですが、私共に新たな仲間、ヘカテーが加わりました。

月、特に新月と魔術や魔法、異能、そして魔物や出産、死などを司る女神となります。

魔神と称する上級神として神々の会堂で認められました。

どうぞ宜しくお願い致します〉


ザワザワと魔神様?魔物の神でもあらせられるとは一体?と聞いた人々があちこちで話す。


主神が仲間と語る魔物の女神であるが、そもそもこの世界の教義では悪しき神は存在しないとされているので、どんな意味合いがあるのだろう?と言った好奇心が主となっていた。


そもそもが魔物も神々の眷属であり、それを浄化して本来の姿に戻すのが転移者の役目とされているのだから、特別な意味合いを持つお方なのだろうと言う話で落ち着いた。


〈次いで先日実装されました第一大陸のラクヨ付近に新設されたダンジョンですが、なんと三名の転移者の方々が数多のドラゴンたちを浄化し、ボスである八岐大蛇を討伐、異界化から開放して下さいました。

その三名の名は山野弘樹殿、佐倉小春殿、渡良貴彦殿です。

なおその際、山野弘樹殿はラクヨ及びその周辺住民を守り避難させ、その後討伐を行うと言う偉業を達成されました。

八柱及び数多の神々を代表して深く感謝したいと思います。

英雄たる山野殿、佐倉殿、渡良殿、本当にありがとうございました〉


アマテラスが三人を讃えまくり、町は大騒ぎとなった。


〈そこで我らより、新たなる祝福をお贈りしたいと思います。

下級神と同位である上級亜神の位と英雄の称号、そして恵那の祝福をどうかお受け取り下さい〉


あれ?亜神とか要らないんですけど?

てかこれ全大陸で流れてるんだよね?

公開処刑に近くね?!


焦る三人を無視して太陽を囲むように七つの光が現れ、三人にキラキラと数多の光が降り注ぐ。


それは浄化後の恵那の吸収同様、三人の体に取り込まれてゆく。

自然にステータスウィンドウが開き、レベルの数字が上昇する様を見せつけた。


げっ?!

弘樹は霊格が6に、小春と貴彦は5に上がり、レベルもそれぞれ600と500にまで上昇し、種族欄も人間から亜神へと変化した。


「霊格6のレベル上限は700、霊格5のレベル上限は600よ。なかり強くなったわね?」

弘樹の耳元にくすりと笑うかのような十六那の声が聞こえて来た。

見回すまでもなく、その姿は見えなかったが、弘樹は何故か

フッと恵那の泉での柔らかな口づけを思い出し赤面してしまった。


七つの光は祝福を終えるとその姿を消し、〈皆様に恵那の祝福があらん事を〉と言うアマテラスの締めの言葉で神託は終了した。


先程までの喧騒は治まり、避難町を静寂が支配する。


エアリスやシンシア、ジェラルドにナイジェルまでもが跪き、三人を囲んで太陽に祈りだした。

町の人々もそれに倣うかのように天を仰ぎ神々の降臨を感謝する。


全然感謝出来ないんですけど?

小春の心の声が聞こえた気がして、思わず苦笑いする弘樹だった。

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