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ソウル・リファイン  作者: 弥生丸
第一大陸編
43/96

隠世 (追記あり)

下記の文を追記しました。


また短期間で複数回の使用は禁止とされていた。

何でも負担が大きいらしい。

隠世


それぞれがステータスウィンドウを開き、能力値やスキル、タレントを上昇させたり新規スキルを獲得して行く。


泉の水が薄い膜となって各々を包み込み、体の負担を軽減させているのが感覚的に分かる。

そう、実際に上げてみてそれを実感出来たのだ。


特に数十ポイントを振り込む時には、すぐに癒やされるとは言え、かなりの倦怠感や疲労感に襲われたり、激しい頭痛や筋肉痛が起き、内臓が激しく痛む事すらあった。


体を構成するのも幾多の経験も恵那であるなら、未経験を経験に変えると言う不自然な行為、それが負担にならないはずが無かったのだ。


水が一部の負担を吸い取り、負荷で壊れそうな体内に入り込んで修復して行く。


泉の水そのものがまた、特殊な恵那の変質した物なのだろう。


また能力値などを上げる際のサポートもしてくれているようで、敏捷を上げすぎるとそれに耐えうる体力や、うまく身体をコントロールするための器用、双方もある程度は底上げが必要になるなどが何となく理解出来、ゲームにありがちな一点豪華よりは多少優秀な部分がある汎用型に落ち着く事になった。


経験によって少しずつ上げるなら必要ない部分もあるのかも知れないが、突然増えた筋力で物を壊してしまったり、加減を間違えて自身が怪我する可能性もあり、それを軽減させる意味もあってのサポートのようだった。


筋力や体力が一桁だった弘樹などそれらを三十まで上げてしまったのだが、霊格倍されて顕現値が三桁になると流石に先日の事件の犯人、杉本が言っていた意味が分かった気がした。


簡単に言ってしまえば強くなる為の潜在的な力、つまりポイントは多数あるのに、全く活かしていなかったのだ。


HPやMP、防御力に攻撃力、回避など、レベルや霊格が上がっていても素体を殆ど育てていなかった為、普通よりは強いだけの人になっていた。

杉本の当身も今の弘樹なら余裕で回避出来ただろう。


杉本たちの目的からすれば、さぞかし美味しそうに見えたのだろうと自分の現能力値を見て思う。


能力値     顕現値

筋力08→10→30 筋力120

体力08→12→30 体力120 

敏捷08→09→30 敏捷120

器用06→08→30 器用120

知力12→14→30 知力120

魔力20→23→60 魔力200+50 

加護10→13→30 加護120+30 


魔力以外30と言う汎用と呼ぶのもどうかと言う平らさだったが、他の二人も似たり寄ったりで一部だけ高い構成になっていた。


なお小春の能力値は


能力値   顕現値

筋力12→16→40 筋力160+20

体力11→13→40 体力160+20 

敏捷20→24→60 敏捷240

器用15→16→30 器用120

知力10→11→20 知力80

魔力15→18→30 魔力120+70

加護10→14→20 加護80+30

と物理戦闘を主体とした構成になっており、貴彦は…


能力値     顕現値

筋力15→17→30 筋力90

体力14→16→30 体力90

敏捷11→13→30 敏捷90

器用09→12→50 器用150

知力12→14→30 知力90

魔力18→20→30 魔力90+40

加護20→22→30 加護90+60


弘樹同様一部だけ高い形となっていた。

本来なら器用だけもっと上げた方がと思うのだが、実は製造系は器用もさることながら知力や魔力、時には加護も必要な要素である事が判明し、生き抜くためにと体力や筋力にもポイントを入れた結果、この様な平たい形に落ち着いたのだった。


皆がステータスの上昇を終えた頃、

「そうだ!」

と、小春が何か思いついたようで疾風迅雷を亜空間から取り出し、手に持ったまま泉に浸け出した。


使用方法の説明の際、従魔は入れてはいけないと注意されたのだがアイテムについては、武具を外して入るようにとしか言われておらず、浸けては駄目とは言われなかったので思わず試したくなったらしい。


なおその他の注意点としては泉の水の持ち出し禁止、泉内での飲食禁止、ゴミ持ち帰り、排泄禁止など、何処かのプールか銭湯のような決まりが幾つかあった。

また短期間で複数回の使用は禁止とされていた。

何でも負担が大きいらしい。


疾風迅雷はスルスルと泉の水を吸い取ってゆき、淡い水色の光を放つと元の状態に戻った。

鑑定を行うと攻撃力が増加し、水属性の攻撃も可能になった上に、治癒回復系と支援系使用時の威力補正まで追加されていた。


「なら僕も」

貴彦も霊樹の杖を取り出して泉に浸そうとするが、考えてみれば鑑定した事が無かった。


入れる前にと鑑定すると


霊樹の杖 【伝説級】


攻撃力104 必要器用20 必要知力20


戦闘にも使用出来、杖術、武器格闘術で使用可能。

古代の霊樹から作られた杖。


特殊能力

自己再生能力がある。

魔法・異能発動時威力+10%

治癒回復系使用時威力+30%

治癒回復系魔法を持っていない場合、2レベルとして同様の効果を使用可能。

装備時回復アイテムを使用すると効果に+20%。


なんか凄い物だった。

好奇心も疼いて泉に浸けると水こそ吸わなかったが、疾風迅雷同様光を放ちすぐに治まる。


再度鑑定してみると…


霊樹の杖 【伝説級】


攻撃力112 必要器用30 必要知力30


戦闘にも使用出来、杖術、武器格闘術で使用可能。

古代の霊樹から作られた杖。


特殊能力

強力な自己再生能力がある。

恵那で結ばれた主人にのみ使用可能。

魔法・異能発動時威力+20%

治癒回復系使用時威力+40%

治癒回復系魔法を持っていない場合、4レベルとして同様の効果を使用可能。

装備時回復アイテムを使用すると効果に+30%。

装備して薬品錬成時、薬品の品質アップ、威力増加+20%、空気中の恵那から空き瓶作成可能。


性能が上がり機能が増えた。


「バレたら武器防具浸けるの禁止になりそうだし、その辺にしとこうぜ」

弘樹はそう言いつつも、亜空間からドラゴンの牙や鱗、革に爪を次々に泉へ浸けていた。

パーティー財産の大きな牙なども浸け込むのは忘れない。

それぞれ淡い光を放ち、見た目も何となく変化したようだった。

鑑定してみるとそれぞれ成体から古竜の素材へ進化しており、流石に血は無理だろうと入れなかったが、皆ドラゴンやグリフォンなどの素材を浸けまくった。


ルールそのものは侵していないが、違法と脱法の違いのような微妙な感じだったので、エアリスはじめ神殿等にも黙っていることにした。


「…じゃぁいこーか?!」

「「そうですね!」」


三人は謎のノリで泉を後にしたのだった。


その後エアリスと合流して、王都神殿や冒険者ギルドを見学した後家具などを見に行く事になった。

と言うのも空間使いとなった弘樹と、複数の高位錬金術師となった貴彦には、隠世かくりよという自分だけの異空間を持てるタレントが生えたからだ。


それぞれレベルも割り振り、弘樹は大きな一軒家に広い庭とその周辺の土地がある異空間を、貴彦は工房を主体とし倉庫や多人数が宿泊可能な広い庭付きの工房屋敷とその周辺に小規模な森すら付いている異空間を手に入れた。


時間の流れなどは現世と変わらないが、何処に居てもそれぞれの異空間への出入りが可能となった。


ただし亜空間へは入った所からしか出られないらしく、例えば王都神殿の横で亜空間に入ったら、そこからしか外には出られない。

その後ラクヨで亜空間に入れば、ラクヨでしか出られない。

持ち運び出来る亜空間ドアのような物のようなタレントだった。


なお空間使いの弘樹は数百メートル単位だったが多少出入り口の位置を調整可能なようだった。


貴彦の方が高いレベルの隠世を持つが出入りに関しては殆どいじれなかった。


これで宿泊施設は必要ないと言いたかったが、掃除や調理など家事の類があれこれ必要で、広すぎて失敗したかも?とも思い始めた。


タレントをよく確認すると食器など自ら汚した物はともかく、家具や調度品に埃が積もるなどは起きないらしいので少し安心する一行だった。


「このタレント、隠れ里とかその辺のやつだろ?何か俺たちどんどん人間離れしていくな」

弘樹の言葉に今更な気もしますと貴彦が笑う。


その後家具や食器、ついでに服などを次々と購入した。

また武器や防具、アイテム類も見て回り、特殊な物は鑑定を行ってみたが、霊格が3〜4ある面子からすると今ひとつな品が多かった。


様々な品揃えの良さは流界者や転移者の影響が大きいらしく、調理器具などもあれこれ購入した。


「鉱石類も見たいのですけど、素人相手だと売ってくれない可能性もありますよね?」

エアリスに貴彦が相談すると、鍛冶師ギルドに登録すれば問題無いという話になった。

また薬品も国によって法律が定められているため、薬師ギルドに登録した方が良いらしい。

もしくは錬金術師ギルドでも良いらしいが、こちらは業務が多岐に渡るため、材料の購入や法的手続きなどは薬師、鍛冶師ギルドに行った方が早く、比較的材料も安価なのだとか。


多重登録は全く問題なく、転移者もそれなりの数が登録しているはずだとの事だったので、一行は昼を軽く済ませてから、まずは鍛冶師ギルドに向かった。


鍛冶師ギルドは工房が裏手にあるそうだが、表面上は極普通の五階建の建物だった。


大きな扉を開けて受付嬢に声をかけると、奥に受付があるそうで皆はそちらへと向かった。


転移者と神官の組み合わせ故か横柄な態度を取られる事はなかった。

新規会員受付で冒険者カードを提示しつつ必要事項を記入し、武器を卸したい場合や材料の購入、また特殊な素材の売買も可能と説明を受ける。


その際貴彦はスキルやタレントのレベルを全て説明すると、相手が表情を硬くする。

軽くドン引きしているのかもしれない。


貴彦の製造に関わるタレントやスキルは…


癒しの手6

隠世:工房屋敷(小規模な森付き)5 

錬金術:薬品10 

錬成10

鍛冶:武器10

鍛冶:防具10

細工:アクセサリー10

錬金術:武器10 

錬金術:防具10

錬金術:アクセサリー10

鉱物知識10

特殊素材知識10 

魔物知識3

薬草知識4


普通の転移者は戦闘の問題もあり、自分もしくはパーティーに必要なスキルやタレントをいくつか取って伸ばしはするものの、大体は5から7で止めるそうだ。

霊格4や5といった転移者はそうそう現れる訳でもなく、それに対応した武具を作るにはそれなりの素材も必要になるため後回しになるそうだ。


ダンジョンで良い武具やアクセサリーも入手出来るケースもある為、余計に不要となる事もあるとか。


そんな中でも武器防具薬品に装飾品、このいずれかを最高値にする人は居ても、全てを10にする人はまず居ないのだとか。


確かにソロや冒険者とパーティーを組んで居れば、戦闘関係を充実させる方が優先だろうし、そもそもが霊格2スタートが多いのでポイントの余裕や能力値の補正もその分少ないので無茶は出来ない。


複数の転移者で構成されるパーティーも、大抵は何人かで分担するものらしい。

確かに数十ポイントをそこに当てるなら、他のスキルに回すだろう。


すでに前衛だったはずの貴彦よりも、泉で上げまくった弘樹の方が戦闘スキルや前衛向けの顕現値が高くなっている時点で、受付の話はごもっともだった。


なお小六月の面子は霊格が一番低い貴彦でも霊格3である。


一般的に霊格2の転移者が多く、中級以上で霊格3になるそうなので、スタートの時点でその差はかなり大きかったのかも知れない。


受付が終わるとその後鉱石類を購入するため、新規会員受付とは受付を挟んで逆側にある部屋へ向かった。

そこは広い倉庫のようになっており、そこで多数の職員や職人が鉱石や金属のインゴットなどをやり取りしていた。


職員の一人に声をかけて鍛冶師カードを見せた後、特殊な金属についてあれこれ訪ね、あるなら購入したいと話す。

「オリハルコンや精霊銀ミスリル、恵那鉄なんかもあるがね、どんな物を作りたいんだい?」

職員の言葉に貴彦は小春を見る。

「彼女の持つ刀、それに迫るか超える武器を作りたいんです」


その言葉を受け小春がノリで疾風迅雷を取り出すと、職員や近くに居た職人たちの目が変わった。

「そ、それはっ?!」

「お嬢さん、俺にも見せてくれないかっ?!」

取引や事務仕事などみんな忘れてわらわらと小春の持つ疾風迅雷を取囲む。


「こりゃ神宝じゃねーかっ!

これを超えたいか。

そいつぁ壮大な夢だなぁ」

貴彦を担当した職人が何処か遠くを見るような目で貴彦を見つめ、よっしゃ!と頷くと奥の棚へと向かった。


疾風迅雷を譲ってほしいと言う者まで現れたが、エアリスが神に直接下賜された物だと告げると皆それは諦めた。


この世界の神とはそれだけ凄い存在なのだろう。

実際の所小六月の面子は目撃していないが、多くの人々は天変地異クラスの創造を目にしているのだから、その意志をどうこうしようと考えるのもバカバカしくなるらしく、そもそも敬虔な信者が多いこの世界では神の意に逆らう愚かさを皆知っていた。


「いやぁ、良い物を見せてもらった。

それに兄ちゃんのその目標、気に入ったぜ!

ほら、こいつを持って行きな!」

それはどうやら職員の私物らしく、内側から数多の光を柔らかく放つ鉱石の塊を抱えて運んで来た。

「こいつぁ神銀の鉱石だ。

普通の銀や精霊銀とも違って滅多に産出もドロップもされねぇ。

硬さと柔らかさを兼ね備えた祝福された鉱物の一つと言われているんだ。

俺はその昔冒険者をしていてな、その時手に入れたんだがな。

いつか武器を作ってやろうと思っていたが、その辺の炉や錬金術では製錬して金属を取り出す事も出来なくてよぉ、ずっと倉庫の隅に置いといたんだ。

いつかこれで武器を鍛えてくれる奴が現れるんじゃないかと思ってな」


そう言いつつ貴彦に鉱石の塊を手渡した。

「いえ、そんな凄い物を頂くわけには…」

遠慮する貴彦に、

「いいって!確かに売りゃかなり良い値になるだろうさ。

でもよ?下手すりゃ製錬すらされずお飾りとして貴族様や豪商の屋敷に飾られちまうかも知れねぇ。

俺は職人でもあるからな!

それだけは避けたいんだよ」

とグイグイ押し付けてくる。


その言葉を聞いて貴彦も納得したのか、「分かりました。ありがたく頂戴します」と受け取り亜空間に収納する。


「代わりになるとは思えませんが」

と貴彦はドラゴンの牙を恵那の泉に入れたものを一本取り出して渡す。


ノリでほぼ全部を浸けてしまったため、普通の牙を持っていないというのもあるのだが、それでもお釣りが来そうな素材を貰ったのだからと今度は貴彦がグイグイと押し付ける。

「こいつぁ凄え!古竜の牙じゃねーかっ?!いいのかい?こんな凄いもん貰っちまって?」

仕方なく、それでも嬉しそうに受け取った職員は、鑑定スキル持ちのようで牙をキラキラした瞳で見詰めていた。


古竜の牙は古代竜や神竜など特殊な物を除けばかなり高位の魔物の牙であり、それこそ滅多に手に入るものではないそうだ。


レア素材でありながらも、古代竜などと異なり、王都や第一都市など設備の整った所でならと言う前提ありきだが、ぎりぎり普通の人間でも加工可能な品である為、正直に言えば加工出来ない神銀の鉱石よりも欲しがる人は遥かに多いらしい。


この他にもいくつかの鉱石やインゴットを数百万円分購入し、熱い握手を交わした後、薬師ギルドへと向かった。


薬師ギルドは王都の外れに近い所にあり、裏手には広大な薬草園や畑が作られていた。

建物はやはり五階建ての建物で、一階は受付と共に各種ハーブ製品や薬品も販売している。

エアリスいわく店舗を持たぬ薬師や錬金術師が委託販売しているケースも多いのだとか。


匂い袋にハーブティー、香水に石鹸に化粧水、なんなら種や苗木も売っている。


貴彦は目をキラキラさせて種や苗木、乾燥させた薬草などを次々に購入し、小春も石鹸や化粧水などを購入していた。

匂い袋や香水は冒険時に敵に見付かる可能性も高いため普段使いは出来ないが、町中で使う分にはと、やはりいくつか購入した。


弘樹はハーブを使った料理の本や育て方、効能や加工法など基本的な書物や道具類、そしてハーブの種や苗木を購入していた。

異空間の庭で育てるつもりらしい。

よく見れば野菜や果物の種や苗木も売られており、勢いであれこれ買いまくっていた。

「庭やその周辺を使っても土地が足りないんじゃ?」

という小春の問に、弘樹はハッとした後ステータスウィンドウを開いて隠世をレベルアップさせていた。

恵那の泉の効果はすでに切れているため、2レベルほどしか上げる事は出来なかったらしいが、トータルで14ポイント消費したそうだ。

何でも調理や薬草に関する知識、錬成に薬品の錬金術なども取得したようで、この人は何処へ向かっているのだろう?と二人の若者と神官に生暖かい目で見られていた。


結局受付では貴彦と共に弘樹も登録することになり、会費を支払いあれこれルールの説明を受けた。

薬草園も見せてもらい、充実した時間を過ごすことが出来た。


その後弘樹、小春、エアリスは弘樹の隠世にある屋敷で休む事にした。


貴彦は自分の隠世であれこれ試行錯誤しつつ作りたいらしく、自分の隠世へと入っていった。

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