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ソウル・リファイン  作者: 弥生丸
第一大陸編
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緊急依頼をお願いしたいのです

緊急依頼をお願いしたいのです



弘樹と新米冒険者たちは町へと戻り、その足で冒険者ギルドへと向かった。

受付に事情を説明すると奥の応接室へと案内され、加藤に再び詳細を話すこととなった。

「外壁の外でこの子達に特訓してもらってたら」

「はい??今なんと?」

「だからこの子達に戦い方を教えて貰ってたんです」

「いや、しかし貴方はすでに霊格4のはずでは?彼等はどう見ても霊格1の新米冒険者ですよ?

何をどう習うと言うのですか?」

そんなやり取りがしばらく続き、転移者と現地の人々の当たり前の違いなどを軽く説明する弘樹。

加藤は興味深そうに弘樹の話を聞いていた。

そしてようやくグリフォンの話となった。

本来町の近くに出没するような魔物ではなく、先日のドラゴン同様何かが起きているのかも知れないと言う話になった。

町の外は森の浅いところ位までならそれなりに安全なはずなのだそうだ。

なお転移直後に遭遇したバイコーン辺りは稀に遭遇するらしい。


グリフォンの魔石は2000万円で売れた。

他のドロップ品は後々必要になる可能性もあるし、貴彦が何か作るときにプレゼントしようと亜空間収納へしまった。

加藤は翼や爪なども売ってほしそうだったが、それはキッパリと断った。


なお新米冒険者たちは皆、グリフォンの血を百万で売っていた。

買取窓口で新米が高額を手に入れると、変な輩や妙な噂が立つ可能性もあるので、今のうちにと一緒に売る事になったのだ。


「これで武器や防具が買えます」

サムが嬉しそうに近所の店へと行こうとするが弘樹が止める。

「治安とか分からんが、新人冒険者が大金持って一人じゃ危険だろう。

泊まる先もそうだが少し考えて行動した方がいいかもしれん。

お礼のつもりだったが逆に迷惑をかけてしまったかもしれん。

後先考えなくてすまん」


この町の平均月収の十倍を、まだ十五歳ほどの少年が持ち歩くのは、日本ですら危険だろう。

町の治安は良い方らしいが、日本の治安が良いと海外のそれは全く違うのと同じように。


そんなこんなで弘樹と新米たちは店までまとまって買い物へと行き、サムの装備を購入すべく店へと向かった。

飲食店以外日暮れには閉まる店も多いのだが、冒険者を相手にする店は夜までやっている事も多いそうで助かった。


依頼前後にこそ買い物などへ行くので売り上げなどを考えれば当然かも知れないが。


なお一般の人々も軽微ながら自衛の為に武器や防具を購入することは多く、田舎の村へ剣や槍をおみやげに買って帰省する人もいる位なので、日本などに比べると遥かに人口の少ないこの町でも武器防具店は数軒程度ならやって行けるらしい。


まだまだ開拓途中と言う事なので、人口の増加も期待しての出店もあるのかも知れないが。


サムはメイスと盾を使う予定だったそうで、盾使いでもあるクリストフとあれこれ相談しながらカイトシールドと片手でも両手でも使用可能なメイスを購入した。

鎧は胸と小手のみ金属を使い、あとはハードレザーと呼ばれる薬液で煮固めた皮で出来た物を使うと言う。

身体のサイズに合うものがあったので、それらも購入した。


「良いものが買えました!」

サムが満面の笑顔で言うが、弘樹は

「今まで棍棒とお手製の木盾を使ってたのかよ、よく無事だったな」

と呆れたように言う。


それを聞いたタニアは、

「ほんとに弘樹さんは何にも知らないんだねぇ。

新米冒険者なんざ大体が大した装備を持っちゃいないのさ。

安い中古品を買ったり、以前から護身用に使ってた武器なんかで済ますもんなのさ。

あたいは元々両親が冒険者であれこれ教え込まれてたから、多少まともな物を使っちゃいるけどね」 

と教えてくれた。


「そうですね、私も剣や槍、盾、皮鎧は以前両親から贈られた物を使っていますが、それはそういう環境だったからです。

普通の家庭では護身用の短剣や小剣ならともかく、メイスや盾なんてありませんしね」

「オレは狩人の見習いをしてた時の使ってるぜ?

弓矢とナタ、短剣位だけど。

タナとか弓はガタが来てたから新しいの買ったよ。

弘樹さんありがとねー」

クリストフとリンウッドもそれぞれの装備事情を説明してくれた。


確かに家出やそれに近い者や農村から出てきた少年たちが、数千円ならともかく、数万円の品を買えるとは思えない。


生活レベルが違うのだ。


基本的には貴族や豪商などを除き、子供でも働ける者は家族皆で働き、その収入で生活しているような世界で、日本の常識を持ち出しても意味はなかった。


「確かにそうだな。

俺たちの国だと欲しい物がある未成年は、親に頼むなり、小遣い何かを貯めるなり、年齢によってはアルバイト、んー、一時間幾らって感じで空いてる時間に働いて給金をもらって貯めたりする事が多いんだよ。

でも考えてみればこっちは十五歳で成人だし、小遣い稼ぎっても金額でかいと生活の足しにするんだろうしな」

そもそも一部を除いて小遣いなどないそうだ。

農村レベルだと店も大きな村ですら数軒ある程度なのでお金があっても意味はないらしい。

必要な物は町まで出るか、行商人から買うのが基本だとか。


「ところでさ、ずっと疑問に思っていたんだがこのエリアは中級の転移者が多いんだよな?

それって危険な魔物が多いってことだろ?

Fランクには稼ぎにくいんじゃないのか?」


そう、ずっと疑問だったのだ。


ゲームだと序盤の町と後半の町ではエンカウントするモンスターの強さがかなり違う。


何なら最初の町周辺であまりレベルを上げず、隣の村まで少し足を伸ばしただけで、出現モンスターが強くなりあっという間にパーティー全滅なんて事も当たり前だった。


その感覚で言うとこの町はパーティーがある程度装備を揃え、レベルも上がって強くなり始めた頃に訪れる町扱いなのではないだろうか?


そんな弘樹の疑問にまたもやタニアが溜息混じりに説明してくれた。


「はぁ。

弘樹さんあんたさ、前に受けた依頼は確かゴブリンの調査と討伐じゃなかったかい?

確かにここは中級転移者が倒すような魔物が、森の奥や山奥なんかにはウジャウジャいるさね。

なんなら川や湖にもね。

でも全部の魔物がそこまで強い訳あるわきゃないさ。

普通は薬草採取でドラゴンに会ったり、猪を狩りに行ってグリフォンに襲われる事もないんだよ。

じゃなきゃ村だの町だの作るもんかね。

開拓中に全滅しちまうよ」


「オレも狩りで年中森に入ってたけど、見たことあるのはゴブリンや木霊くらいだな」


タニアとリンウッドの話に弘樹はやっと納得出来た。


またもや彼は勘違いをしていたらしい。

ここはゲームではないのだ。


町の周りを歩いたら中級の魔物と遭遇しまくる、そんな所に人がわざわざ町や開拓村を作る必要もない。


勿論地域全体で言えば比較的危険な魔物も出没はする。

そのために中級の転移者が地域の中核となるラクヨの町へと訪れる事が多い訳だが、それが全てではないのだ。


草原には兎もいるし、森には鹿や熊、狼に猪だって生息している。

下位の魔物であるゴブリンも出没する。


山や森の奥まで行かなければそうそう強い魔物は出てこない。

転移者は浄化と言う討伐依頼があるからこそ奥に踏み込む訳で、新米冒険者がわざわざそんな危険な所に行くはずもなく。


そもそも冒険者は特殊な事情を除き魔物の討伐は行わない。

転移者とパーティーを組んでサポートするか、魔物退治以外の依頼を熟すのが基本なのだ。


「特殊な場所や何らかの事情で危険な所に町や村を作ることはあるそうですが、一般的にはそこまで危険な所に町や村は作りませんね。

まず第一に防衛に割く労力や資源資材、資金が必要になります。

魔物が頻繁に出没するなら、柵どころか簡素な石壁すら簡単に破壊されてしまうでしょう。

村規模の物を囲うとなるとその準備だけでも人手と資材が必要ですが、それを作る間に転移者の護衛も必要になるでしょう。

そんな危険な場所付近に町や村はありませんから、資材の運搬だけでも困難極まります。

それにそんな環境では小麦や米など作物を作っても運び出せませんから、売る事も出来ません。

自給自足を目指しているのでもない限り農村として機能しないことになります。

そもそもこの国では神々の新設地を含め、王家や国直轄を含め領主の居ない土地は存在しないので、原則税は納める必要がありますし、勝手に村を作ることも出来ません。

特別な理由か嫌がらせでもない限りそんな事業は許可しないでしょうし、そもそもそんな所に住みたがる人がいません」

貴族出身と思われるクリストフは冷静に意見を述べた。

ごもっともだった。


その辺も考慮してか、ゲームでもある日突如として魔王が現れ、魔物が出没し始めたという展開のものもそれなりにあった気がする。


「てか神々の新設地ってなんだ?」


「あ!日本にはそんなの無いって父ちゃんが言ってた。

大抵は事前に告知されるんだけど、神々は創造をし続けてるからある日山や川が出来たり、島が増えたり、土地が広がったりするんだよね。

だから新設地は領主様がいないんだってさ」


弘樹の質問にリンウッドが答えた。

そーいや誰かがそんな事言ってたなーとぼんやり思い出そうとしていると、


「領主がいないと言うよりは、一時的に王族や国王、国の直轄地になり、後々貴族に下賜する事になるのが正解ですね。

新設地が国境等だとかなりあれこれ大変らしいですが」


とクリストフが補足する。

色々とややこしい世界かも知れないと弘樹は思った。


時間も時間なので店の前で解散する事になった。

武器防具の店もそうだが、冒険者が使う宿屋も冒険者ギルド付近にほぼ集まって居るので、皆徒歩数分圏内で宿に戻れるらしい。

未だ懐は温かいので流石に雑魚寝部屋は危険かも知れず、皆鍵のある個室へ移る事にすると話していた。


宿に戻るとすでに皆帰ってきており、食事をすることになった。

冒険者ギルド直営なだけあってサイズが小さく躾さえされていれば、使い魔や眷獣なども連れていて良いそうで羽犬改め翼犬の小六も食堂に連れられており、小春の膝の上にちょこんと座っていた。


出された夕食を食べつつ、それぞれ今日の講習会や別行動の間の出来事などを話したりした。


小春と十六那は小六と共に店を見て回り、亜空間にはまたもや食料品や雑貨などが詰め込まれたらしい。


貴彦は薬師や鍛冶師、錬金術師にも話を聞くことが出来、数冊の関連書籍も購入したようだ。

ついにポイント割振りなどを行ったそうだ。


弘樹も今日起きた事を話す。

皆新米冒険者たちから特訓を受けた話に興味津々だった。


「多分対象が小春ちゃんだったから集中が必要な部分もあったんじゃないかしら?

霊格1や2でレベルの差もある相手なら抵抗なんて無理でしょうしね。

あとは耐性や無効絡みが問題でしょうね」


やはり十六那は解説枠のようで、解説せずにはいられないようだ。


そして話題はグリフォンとの戦闘となり、三人はこいつ何やってんだよと言う顔で話を聞いていた。

「悪運強いわね?

それとも引きが強いと言うのかしら?」

「グリフォン?!

薬や武器の材料になる魔物じゃないですか!

くっ、羨ましい…」

「はっ?!レベルがまた開いてしまうんじゃっ?!私師匠なのに!師匠なのにぃ!」

「ワンッ!」

小春の叫びに小六も吠えた。

子犬の破壊力ヤバイ!


弘樹はそう思いつつ、ステータスの確認をしていない事を思い出し開いてみた。

「うぁっ」

思わず変な声が出た。

距離があった影響か、恵那は全て弘樹に吸収されておりレベルが10上がっていた。


その上念動とテレポートもレベルが上がっており、新たなタレントとして空間使いも増えていた。

「空間使い?

異能系みたいだけど聞いたことないタレントね。

最低でもアルテミスからの情報には無いわね。

あのポンコツ…ブツブツ」


何だか最高位の神をポンコツ扱いする魔女の図が誕生した。


食事と報告会はつつがなく終了し、メンバーは男部屋と女部屋へそれぞれ戻っていった。


貴彦は数冊の本をベッドに広げ、ブツブツと呟いていた。

弘樹は邪魔をしないように気を使おうかとも思ったが、そう言えばと亜空間からグリフォンの翼と前足を片方ずつ、血液を10本取り出した。

「貴彦君、これやるよ」

ずいっと貴彦のベッド上に並べて押し付ける。

「いや、高価すぎますよ?!

グリフォンの素材は殆どがすごい品なんですから!」

と断る貴彦だったが、

「薬とか武器とか作るんだろ?

パーティー用にも何かも作るつもりだろうし、その材料にも一部使ってくれればいいさ。

それにポイント消費以外のレベルアップは、延々初級ポーションを作るよりそれなりの物を作った方が上がりやすいと思うしな」

何だかんだ実感の籠もった弘樹の言葉に貴彦は頷き、「有り難く頂戴します」と受け取った。


貴彦は床にいくつかの薬草や小瓶、鉱石に金属、ドラゴン素材やグリフォン素材を取り出した。

数種類の薬草や小瓶、鉱石や金属類は出先で話を聞きつつ購入してきたらしい。


貴彦はドラゴン素材から鱗を一枚手に取り、イメージを固める様に集中する。

そして一言「錬成」と呟くとそれは柔らかな光に包まれて形を変えてゆく。


光が収まると貴彦の手の上からは鱗が消え去っており、二本のクナイのような物が乗っていた。


鍛冶というより確実に魔法だった。

RPGの生産職がよくやっている光景でもあったが、リアルで見ると不思議だった。


貴彦は出来上がったクナイを弘樹に見せながら、

「鍛冶スキルや錬金術で普通に作ると、鱗一枚で一本が限度なんです。

でも錬成を使うとギリギリ二本作れます。

すべてがそうという訳ではないそうですが、削ったり切り出したりと言った部分も再結合してくれるらしくて、無駄が少ないんだそうです。

ただ逆に必要以上の材料を使って錬成してしまうと、材料を無駄にしてしまう事もあるそうです。

例えばこの鱗一枚でクナイを一本と意識して錬成してしまうと一本のクナイしか作れず、残るはずの素材も恵那に還元されて消えてしまいます」

と話した。


「つまり効率的に作るのには向いている反面、必要な量と作る量を考えないと無駄遣いしちゃうって事か。

薬品はレシピのような物があるとしても、特殊な武器や新しい薬を作るなら、それなりの知識もないと難しそうだな」


「そうなんです。

鑑定しても重さなどは分かりませんから、目の前の鉄の塊から何本の剣が作れるのか?とか薬草の分量なんかも意識してやらないとキツイですね。

ただ錬金術と錬成のレベルが上がると、その辺もどんどん楽になると今日お話した錬金術師の方が言ってましたね」


貴彦はそう話しつつも数種類の薬草や水の入った器、ドラゴンの血1瓶と空の小瓶を20個ほど素材の山から選り分けて、再び集中を始めた。


先程よりもやや長い時間を掛けてから、

「錬成」と呟くと、またもや素材を柔らかな光が包み込む。


光が引くとそこには薄い緑色の液体が満たされた21本の小瓶が置かれていた。


「やはりレベル4ある薬品とレベル2の武器鍛冶の錬金術では、レベル4の方が融通が効きやすいみたいです」


ドラゴンの血が入った小瓶も意識したら再利用可能だったようだ。

同じ事を鍛冶系錬金術で行なっても無理なのがやる前から分かるそうだ。

「スキルとかタレントって便利だけど不便な部分もあるよな」

「それを調べるのも楽しくはあるんですけどね」


二人はそんな会話を続け、貴彦は合間合間に武器や防具、アクセサリーに薬品などを生産して行く。

ドラゴンやグリフォンの素材は一部しか使用しなかったものの、薬品類や武器防具が部屋中所狭しと並べられた。


「ドラゴンの血から作ったこれは、竜緑薬ドラゴングリーンポーションと言ってかなり強力な回復薬になります。

怪我は勿論、重度な疲労や軽度な病気なら一本で治りますし、毒や麻痺にも効果があります。

中度の病気でも数日間の投与で治ります。

重度な病気だと進行を遅らせる程度になりますが。

材料にドラゴンの血が必要なので、売値はかなり高いです」

「これは一般的な形状の長剣ですね。

でも僅かにグリフォンの爪とドラゴンの牙を入れてみました。

鑑定してみたら威力も高くなってて、謎性能がついてました」


などと貴彦は弘樹に多数ある作品を説明してくれた。


消費魔力、いわゆるMPは霊格1でもある程度の数を製作可能な程度らしく、霊格3でそこその魔力値を持つ貴彦には即戦闘にでもならない限り特に問題ないとの事だった。


「他の二人にも渡すつもりでしたが先程のお礼です」

と竜緑薬6本に鱗のクナイ20本を貴彦は弘樹に渡した。

「お礼なんていいのに」

そう言いつつも有り難く頂いた弘樹だった。


翌早朝、ペロペロと顔を小六に舐めまくられて目覚めた弘樹は、小六を抱いた小春と共に昨日同様走り込みをした。


その後防壁からある程度離れた草原の中、たまたま見つけた岩の上に小六を置いて模擬戦をスタートした。


新たに得た異能、空間使いには空間認識力の強化なども含まれており、回避や射撃的な力の行使も格段に楽になっていた。


障壁を張ったり、小石や空気すらも念動力で操り、テレポートや透視も重ねて使用して、時に念で覆った棒で攻撃し、時には自身を念動力で操り動き回った。


「凄いです!

昨日とは何もかも見違えてますよ?!

それなら私もっ!」

前日とは全く違う弘樹の動きや能力の行使に小春も楽しくなって来たらしく、異能や魔法を交えつつの模擬戦となった。

お互い大技や危険度の高い技や能力は使わなかったが、それでも草原の一部に数メートル規模のクレーターがいくつか出来ていた。


「…やり過ぎましたね」


「うん…そうだね」


「わん!」


小六が楽しそうにクレーターの上を飛び、その姿を微妙な思いで見つめる二人だった。



二人は宿に戻って着替えると、食堂で待っていた二人と合流して朝食を済ませ、貴彦が自作の竜緑薬を含む数種類のポーション数本ずつ皆へと配り終わると一行は北門の近くへ移動した。


他の宿から見知った顔も出て来て、挨拶を済ませた後受講者全員で門へ向かうことになった。


北門には講師のはずのノーマンの姿はなく、代わりに二人の人物が立っていた。

冒険者ギルドの加藤と神官のエアリスだった。


加藤はいつもと変わらぬ様子だったが、エアリスは表情が硬いように思えた。


それぞれが朝の挨拶を済ませると、

「急ではありますが、実は講習について皆様方にお話がございます」

と、加藤がずいっと前に出て頭を下げた。


「大変申し訳ありませんが残りの講習は延期とさせていただきます。

それと皆様に神殿及び冒険者ギルドから緊急依頼をお願いしたいのです」


加藤の後ろに立つエアリスの顔は、よく見ると重病人のように蒼白だった。

弘樹と貴彦はそれぞれ薬と回復魔法の使用を申し出ようとした時、

「ノーマンが死にました」

加藤の言葉が皆の耳に届いたのだった。

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