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ソウル・リファイン  作者: 弥生丸
第一大陸編
31/96

卵から

卵から


小春が己の両手を見つつ決意を固めていると、金とも銀とも赤とも黄色とも思える光の玉が天よりふわりと舞い降りてきた。 

それは小春が見詰めていた両手の上に舞い降りると、パッと弾け鞘に収まった一本の刀となった。

いわゆる太刀に分類される小太刀より長い刀だった。

「おもっ!」

とっさに受け取った物の、かなりの重量に取り落としそうになった。

『娘よ、その想い大いに気に入った。我が名はタケミカヅチ、戦と剣の神なり。

その剣、我が加護と共に授けよう』

脳内に直接男性の声が響いた。

「えっ?!」

小春は辺りを見廻すも特に変化はなく、弘樹や貴彦は驚きを持ってその様子を見詰めていた。

十六那はニヤッと笑みを浮かべ、フフフと怪しい声で笑いだした。

「なんなんですかっ?!」

小春は疲れも吹っ飛んだようで、十六那に詰め寄った。

「いいからステータスウィンドウを見てご覧なさい。それとその刀、鑑定してみるといいわ」

「ステータスオープン!ってうっそ?!霊格4になってる?!」

十六那に言われて確認すると、レベルは40に、霊格は4に上がっており、勿論加護と低ランクの名声、竜殺し、そして神より剣を賜りし者まで加わっていた。


「ほとんど一人で、それも女の子が神威の炎剣なんてものを持って格上のドラゴンを倒す。

そんなシーン、興味を持つ神々は沢山いるの。

特に戦い関係の神は気になりまくるわ。そしてね、大抵その手の神は加護と共にそれに見合った武器防具なんかをくれるのよ。

今回は小太刀を元にした剣で戦ったから、その流れであの方が加護をくれたのでしょうね」


つまり十六那はこれを狙っていたのだ。

ドラゴンとは行かずとも大物を相手にする可能性が高く、それならこの手でいけそうだと考えたらしい。


「うへー」

小春は神を騙したようで微妙な気分になったが、今の今まで知らなかったのだからギリギリセーフだと思うことにした。


「鑑定、してみますね」

なお今まで使用していた小太刀は…


小太刀【高品質】

小太刀の中でも脇差に分類されるやや小振りな品。

攻撃力+30 必要器用値15 

特殊能力=切れ味が落ちにくい


と言う品だった。


なお貴彦の銅剣は…


銅剣【高品質】

日本古来の剣。

攻撃力+40 必要器用値10

特殊能力=壊れにくい


であった。

そして新たに手に入れた刀は


疾風迅雷しっぷうじんらい【神宝】

剣神が鍛えた太刀。

刃こぼれせず、折れず、持ち主と共に成長する。

物理攻撃の他、雷属性、風属性での攻撃も可能。

攻撃力+120 必要器用値─

特殊能力=剣神に持ち主と認められた者以外使用不可。

召喚可能。

持ち主と共に成長する。

倒した敵の一部を吸収させるとその種族への攻撃力がアップする。上限あり。


「し、神宝?!」

小春は衝撃を受けすぎ固まった。

「日本の神様だから、かんだからの方が合っていると思うわよ?」

ずれつつも冷静な突っ込みを入れる十六那だった。


覚醒とレベルアップにより小春の疲れも癒え、このままゴブリン退治をする事となった。

なお、貴彦も小春同様レベル40に、弘樹は41にアップしており、霊格のアップはしていなかった。


ゴブリンたちはあのドラゴンのせいでこちらまで逃げて来た可能性が高いと思われるが、それはそれ、これはこれだ。


浄化と言う意味ではそのギフトを持つ者、つまりは転移者以外基本的には出来ないのだから、どちらにしてもゴブリンを倒す必要があるのだ。

「かなりの数がドラゴンにやられちまったな」

百以上あった光点は半分以下にまで減っている。


それはつまり、いつか何処かで、多分そう遠くない未来、新たなゴブリンが沸くと言うことを意味する。


「過ぎた事をここで言っても意味はないですよ。

それにあのドラゴンがゴブリン出没の原因とも限りません。

ちゃんと調査もしないとこの先何が起きるかわかりませんよ。

そろそろ行きませんか?

行かないなら僕一人でも行きますよ」

貴彦は硬い表情でそう言うと、一人光点に向けて走り出す。

「貴彦、待って!」

「若さだねぇ?かなり焦ってるな」

「そりゃ幼馴染の女の子が自分より遥かに強くなったんだもの。焦りもするでしょう」

弘樹と十六那は苦笑を浮かべ、小春は心配そうに貴彦の後を追った。


途中マップ上に赤い光点を見つけ、貴彦は銅剣でゴブリンを屠り魔石を拾いつつ光点が集合している地点へと向かう。


森の木々を掻き分け進むと、そこはすり鉢状になった窪地だった。

そこに粗末な小屋を建てて住んでいたようだったが、その大半は破壊され、あちこちに焼かれた跡が見受けられた。


窪地の奥には洞窟と思われる穴がポッカリと口を開けており、ゴブリンたちはそこへ集まっているようだった。

見張りと思しきゴブリンが2〜3匹単位の集団でいくつか見回りをしていたが、弓や攻撃魔法、幻術などを使い次々と無力化して倒していった。 

スキルレベルこそ低いが霊格によって引き上げられた魔力値がかなりの効果を上げていた。


四人揃って洞窟の入り口付近までたどり着くと、あえて大きな物音を立て、敵が洞窟から出てくるのを待つことにした。

出入り口は複数あるかも知れないが、狭く暗くかつゴブリンたちにとってはホームグラウンドとも呼べる洞窟で戦うよりは、ある程度開けた場所で戦う方が危険度が低いと判断したためだった。


万が一別の出入り口から逃げた所で、マップを使用して追跡可能である事も大きかった。


わらわらと二十匹ほどのゴブリンたちが洞窟から現れるが、中距離からの弓矢や魔法攻撃で倒され、あっと言う間に外へ出たゴブリンは全滅した。


残りは洞窟内の光点のみだ。

その数9匹。

別の出入り口が存在しないのか、それとも倒せると思っているのか。

魔法で光を灯した弘樹を先頭に、四人は奥へと進み始めた。


「そこ、右端に罠がある。落とし穴だな」

弘樹は念動力を発動させ、辺りの土を集めて罠を埋めてしまった。

微弱ながらも透視能力も持つ弘樹には、探索と罠感知に上乗せする事でかなりの精度で罠を見つけ、どのような罠かを調べ、それを念動力で遠方から潰してゆく。

洞窟は途中まではほぼ真っ直ぐだったが、途中分岐したり、小部屋のような横穴があったが、四人は光点のみを目指す。

光ゴケの類もなく真っ暗な洞窟だったが、皆魔法が使えるため何の問題にもならなかった。


洞窟を進んだ先、そこは幅20メートルほどのホール状になっており、子供のゴブリン三匹とそれを守るように武装した六匹のゴブリンがいた。


子供のゴブリンは大人のゴブリンを縮めたような姿をしていたが、一匹だけ妙に体格が良く、明らかに知性を感じさせる目を持つ者がいる。


その個体だけは他のゴブリンたちに比べまともな服をまとい、背には毛皮のマントすら羽織っていた。 


ぐげげ!


子供ながら野太い声で四人を指差し小鬼たちに命じると、手斧や短剣などで武装したゴブリンたちが四人へと襲いかかる。

貴彦が素早く前に出、次々とゴブリンたちを切り倒して行く。


一般人より多少強い程度の魔物と霊格の向上した転移者ではステータスが違いすぎるのだ。


ぐぎゃ!

体格の良い子供のゴブリンが何かを唱えると、テニスボールほどの火の玉が空中に複数生み出され、貴彦へと殺到する。


成体のゴブリンを全て斬り殺した貴彦は水使いを発動させ、何処からか湧き出た水の玉で火球を迎撃しつつ、一気に進化種と思われる子供のゴブリンへと距離を詰めて斬り掛かり、その首をはね落とした。

きゃぎゃ!

周りにいた二体の子供ゴブリンが逃げそうとするも貴彦は容赦なく斬り殺す。


「進化種、ゴブリンキング?ジェネラルかしら?それが誕生した集団だったのね」

「ある種の知性を持つ個体が群れに生まれ、人の村を狙った可能性もありますね」

普通の幼体ゴブリンの魔石は成体のそれより一回り小さく、進化種と思われる個体の魔石は成体のゴブリンよりも二周り大きかった。


結局ゴブリンの魔石は川沿いの物を含めて幼体ニつ、進化種一つ、成体四十五個となった。

百体以上いたはずが、その半分以上はドラゴンによって殺されている。

「あれ?」

小春が残党確認のためにマップを確認していたが、なにかに気付いたのか一点を見詰めていた。

「こっちから見えにくいくらい弱い反応があります。

色は赤でも青でも黄色でもない、白に近いですね」

パソコンモニターで言えば小さな埃か汚れ程度の僅かなそれに気付いた小春は、他の面子に声を掛けつつ途中無視して素通りした脇道へと向かう。

そこは食料庫だったのか、獣の骸や木の実などが雑然と積み上げられていた。

そしてその奥、枯れ草や木の葉などが小さな山になっている所から、白く弱々しい何かの反応が発せられていた。


小春が枯れ葉をそっとどかすと、そこには大小様々な卵が置かれていた。

鶏卵より小さな物からラグビーボールほどの物まであるが、ラグビーボール大の物はヒビが走り内側から割れて小さな穴が開いていた。

少し動かすと酷い腐敗臭が漂う。

「多分それ、ドラゴンの卵じゃないかな?」

貴彦が臭いに顔をしかめつつ、穴の中を光で照らし内容物を確認する。

「やはりそうだ。内側から殻を破ろうとしたけど力尽きたんだろうな」

その中には小さな翼を持つ大トカゲのような物が死んで腐敗し始めていた。

「食べるためか孵すためかは分からないが、ゴブリンはドラゴンの卵を盗んでいたんだな」

「それで襲撃された、と」

弘樹と貴彦が渋い顔で考察する。


知能が高いモノが居たとは言え、知識も経験もなく、教えを受ける事も出来ない環境だったのだろう。

孵して戦力にするつもりだったのかも知れないし、その素材を得たかったのかも知れないが、それが元で全滅の危機に貧したのは何ともバカらしく、それでいて漠然とだが人の世でも似たような事が起こり得るのではないかとそう思えた。


何かの証拠として必要かも知れないと、弘樹は臭いが他の品々に移るのを気にしつつ亜空間収納へと穴の空いた殻ごとドラゴンの幼体をしまった。


「大体の事は分かったし討伐も終わった。そろそろ村へ戻ろうと思うんだが」

弘樹の言葉に小春は「ちょっと待って下さい」と返し、複数の卵から反応が出ている物を探し出した。


「これです!これが僅かに反応しているみたいなんです!」 

それはダチョウの卵くらいの大きさの灰色がかった卵だった。 

「本当ね、微かだけどマップに白い光が見える。よく見つけたわね。

で、その卵はどうするのかしら?」

何となく答えは分かっているとでも言いたげに十六那は小春に問いかけた。


「私が孵そうと思います」

何が出てくるかも分からない卵だったが、彼女には眷獣使いとしてのタレントがある。

もしかしたら動物好きが高じて得た才能なのかも知れない、十六那はそう思いつつ鑑定を勧めた。

流石に親がそうそう取り返しに来るとも思えないが、今回の件もある。

呪いや魔眼など、特殊能力が周りに被害を与える可能性もある。

野生動物どころか魔物なのだから。

事前に分かっていれば対処も出来る。


「もしも危険な存在なら、あなたの手で殺しなさい」

小春の目を見つめつつキッパリと十六那は告げ、鑑定を促した。


どうか危険な存在ではありませんように!そう祈りつつ小春は卵に鑑定をかけた。

「えっ?」

それは驚きの結果となった。


羽犬の卵【瀕死】

福岡県筑後市に伝わる伝説の怪犬羽犬の卵。

旅人を襲ったとも秀吉が大変可愛がっていたとも伝えられている。


「犬の卵…?瀕死って?!」

「まぁ普通の動物じゃないし。瀕死状態だから反応も鈍いのね」 

さらりと小春の受けた衝撃を受け流し、弘樹と貴彦に「ドラゴンの血、一瓶出して頂戴な」と声をかける。

血は貴彦が保管していたため、小瓶を亜空間収納から取り出し十六那に手渡す。


「ドラゴンの血は特殊な力を持つと言われているわ。ネームドクラスならその血を浴びたら不死身になった伝説があるくらいに」

小瓶を受け取った十六那は、そう語りつつ封を開ける。

「その卵が犬なのも丁度いいわね。

私の象徴の一つでもあるから。

ケルベロスとかほんと可愛いのよ?

先程は半ば騙した事になるし、そのお詫びだとでも思って受け取って」

そう言うと小春の手にする卵にドラゴンの血を振り掛ける。

「我は神なり。数多の犬を従えし者。誕生と死とを司りし者。

未だ生まれぬ者よ。

死へと誘われし者よ!

竜の血と我が権能により産まれよ!

そして強く生きよ!

我が願い、今ここに成就せん!」

簡単な言葉の羅列。

しかしそれは強い神気を帯びていた。

人の操る言霊とは桁違いの、それはすでに奇跡と呼べる代物だった。

ドラゴンの血は神気を帯び、卵の殻を素通りしてその中へと入ってゆく。


なお中身が殻になると小瓶を捨てるのは勿体無いので収納へと収めた。


「このままだと私の眷属が生まれてしまうわ。さぁ、あなたの魔力を注ぎ込みなさい」

十六那はそう、小春を導くかのように優しく声をかける。

小春は小さく頷くと眷獣使いのタレントを発動させ、卵に自身の魔力を注ぎ込んだ。

卵は貪欲に小春の魔力を喰らい、淡い光に包まれる。

ピシッと亀裂が生まれ、それはあっと言う間に卵を覆い尽くすとバラバラに砕けて床に落ちる。

小春の手の中には、小さな翼を持った和犬風の子犬がちょこんと座っていた。

「はうっ?!予想してたのと違う!でもいい」

小春は羽犬の顔に頬ずりする。


「うっわぁ、可愛い。見えてますか〜?あ〜、いい子ですねぇ」

貴彦が萌えた。

先程までの焦りは何処へ行ったのか。

このままだと赤ちゃん言葉で話しかけ兼ねないくらい、子犬を見つめる表情はデレデレだった。


やや灰色がかった茶色の子犬。 

グリリとした目、瞳は濃い茶色でその背には白い翼がたたまれている。

生まれたばかりのはずなのに、生後ニ〜三ヶ月は経っているかのような姿だった。

「怪犬って話だけどやべぇな。可愛すぎる!」

「犬、うん、いいわ、犬」

弘樹と十六那も絶賛であった。


「では契約を開始したいと思います」


小春はそう宣言すると地面にマントを敷いて羽犬の幼体を座らせ、亜空間収納から黒瑪瑙と水晶、紅縞瑪瑙を取り出した。

何れも契約に使えるらしく、羽犬の前にそっと置く。

羽犬はコロコロと小石を弄って遊びだした。

これでいいのか?と弘樹は十六那を見るが、犬の仕草に貴彦共々メロメロな彼女はそれに気付かない。


小春はタレントを意識てみると、特に特殊な呪文のようなものはないらしい。

ならばと小春は自分の想いに魔力を乗せて羽犬へと声をかけた。

「私の眷属に、従獣になって!」

ワン!

羽犬は一声吠えると、紅縞瑪瑙を一つパクっと飲み込んだ。

「えっ?」

「うっそ?!」

「食べるのっ?!」

全員が驚愕する中、紅縞瑪瑙に似た明るみのある赤い光が羽犬を包み込み、光が収まるところりと飲み込んだはずの小石がマントの上に転がった。

小春は呆気に取られていたものの、はっと気付くと大事そうに小石を拾った。


「成功したみたいね。次に呼び出す時には名前をつけてあげるといいわ。より強い絆が生まれるはずよ」

「名前、名前ですか。うー、シロ、ポチ、コタロー、ジョン?うーん…あっ、小春と同じ意味で小六月…小六ころく、うん、小六にします!」


小春と聞くと春の始まりのように思う人も多いのだが、実は秋、中でも10月の暖かい日を指す。


秋なのにまるで春のような日と言う意味で使われる言葉なのだ。


10月産まれの小春は友達に、

「10月って秋だよね?何で小春?」等と言われる事もあったが、「昔の言葉らしーよー」と適度に躱すようにしていた。


え?知らないの?と馬鹿にしたような言動になるのは避けたかったし、特に子供たちは疑問に思った事を平気で口にしがちだ。


そんな小春は古めかしい自分の名前があまり好きではない。

それでも、同じ意味で使われる小六月、十月なのに六月のように暖かい日と言う意味を持つそれは、繋がっている感じが強くするのだ。

「良い名前ね」

「なるほど、そんな意味があるのか。良い名前だな」

十六那が感心したように頷き、弘樹は小春と小六月、双方の意味を今初めて知ったようでにこやかに笑った。

「それで、小六は普段その石の中なのかな?」

貴彦は再び小六の愛らしい姿を見たいらしく、何ならパーティーメンバーとして一緒に行動出来ないだろうか?と十六那たちに尋ねる。

「顕現させておく人も居るみたいだけど、今の状態では無理ね。

可愛くても魔物だからね?

人が一緒に居たら襲われていると勘違いして攻撃されても文句は言えないし、勿論町や村にも今のままじゃ入れないわ。

最初は都市の神殿や冒険者ギルドに申請して眷属の証になるものを発行してもらってカードにも書き込んでもらう必要があるわ。

後は見れば分かるような従魔である証を身に着けさせないと町には入れないわね」

「色々と大変なんですね」

人と魔物が戦うのが当たり前の世界。

幼体であっても浄化する必要がある世界。

召喚師やテイマーなどそれなりの数はいるのだが、大陸や国で多少の差はあれども魔物と人の壁は存在する。


この世界の住人たちからすれば、従魔や召喚は魔物を討伐するための手段でしかない。


転移者や流界者からするとまた異なる意見も多いのだが。


神使や神の化身である聖獣や神獣ならいざ知らず、それ以外の種は原則討伐対象だ。


その為双方の緩衝材として冒険者ギルドや神殿が動き、人々には従魔の証を公表して浸透させ、転移者や流界者には従魔の証を付けさせる義務を持たせた。


「今更気付いたけど、エルフやドワーフなんかの討伐は嫌だな」

彼等もまた、特に歪められた存在であるはずだ。

弘樹はファンタジー好きとして、妖精でありつつ亜人でもある彼らを、ただ歪められた存在だからと殺す事は出来そうもなかった。

「そうね。まぁゴブリンやコボルドみたいな数が多いのはともかく、大抵の妖精は第三大陸に多いからその辺の事情はあちらに行かないと分からないけど。

浄化された者達はまた扱いが変わるだろうしね。長い時の中で変異した者は問題ない筈だし」

そんな話を悠長にしていたが、小春があっ!と叫ぶ。


「そう言えば避難勧告した村の人たちや館の人たちに、解決したことを早く伝えないと不味いんじゃないでしょうか?」


契約やら何やらで時間を取らせてしまったのは自分なので、申し訳なさそうにしながら小春はそう切り出した。


四人は急ぎ足で洞窟内を軽く見て回り、人間の装備品や荷物が集められた横穴などを見つけてそれらを回収した後、洞窟を後にしたのだった。

なお衣類は下着まで乱雑に保管されていたが、遺体の類は一切見当たらなかった。

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