やっぱ最初はゴブリン退治
やっぱ最初はゴブリン退治
鑑定と念じるだけでギフトは発動した。
紅水晶【高品質】=魔力のこもった紅水晶。
魔法防御力+1のお守りになる。
一部魔法の媒体に使用可能。
従魔契約時の交渉に使用可能。
従魔の封入可能。
錬金術などの材料にもなる。
価格は不明だがある程度詳細まで分かるようだ。
「従魔契約ってやっぱりアレでしょうか?ポ○モ○とかあの辺の?」
鑑定結果の詳細を語りつつ、一番詳しそうな十六那に尋ねると、
「○ケ○ンと言うより、妖○ウ○ッチとかメ○テ○みたいなものかしらね?誰かタレントやスキルにそれっぽいのがあるなら使ってみるといいかも知れないわね」
との事。
ボールも腕時計もコンピュータも無いのだが、どうにかなるものらしい。
石は他にも複数あったが、鑑定結果は一部を除き似たりよったりの効果だった。
全員にその話を聞き、再度ステータスを確認しはじめた。
考えてみればポイントも消費しておらず、能力値もスキルも成長していない。
新規にタレントやスキルを取れるかも謎だったが、下手に取得して使えないものだと勿体無い気がする。
まずは生き残る事を最大の目標としているのだから、臆病と言われようとも慎重に行こうと皆で話し合って決めたのだから。
「あっ?!私のタレントに眷獣使いってあります!レベルは1ですけれど!」
小春が嬉しそうに声をあげるのを見て十六那がすかさず解説する。
「獣系の魔物を眷属化して従える事が出来るタレントね。1レベルだとそんなに強い魔物は無理だけど。あと霊格も自分より高いものは無理ね」
ほー、そんなものが!とワイワイ騒ぎ、結局ポイントを使うのはいくつかの依頼をこなしてからにしようと言う話になった。
十六那も全てをアルテミスから伝えられた訳ではなく、判断が難しい部分があったからだ。
一段落した所で他の品々の鑑定もそれぞれ分担して行い、ゲームで言えば初期かそれに近い装備が多い事が判明した。
例えば…
銀の腕輪【標準】=銀で作られた腕輪。制作時に魔力が込められ、精神抵抗+5%、魔法防御力+2
と言った内容だった。
使えそうなのは貴石半貴石類、中級ポーションや状態異常回復薬の類くらいで、あとは依頼を受けに冒険者ギルドへ行った際に売ることになった。
装備品も買う必要があったので。
とりあえず明日は朝から着替えなどの生活必需品購入の為に朝市をはじめいくつかの店も見て回り、昼ころに冒険者ギルドへ向かうことになった。
霊格の影響か疲れも眠気もなかったが、宿で夕飯を取り別料金で一階の別棟にある風呂にも入ると睡魔が訪れゆっくり眠る事となった。
そして翌日、朝一で朝食を済ませた面々は宿での受付後、街へと繰り出した。
受付で朝市や服屋、武器防具屋などを尋ねると朝市は神殿の裏手にある広場で行われ、武器防具など冒険者に関わる店はこの宿屋同様ギルド付近にほとんどあるそうだった。
服屋もメインストリート沿いにあるので殆ど近場で済ますことが出来そうだった。
朝市は活気に溢れ、テントを建ててワゴンや台に商品を並べる店もあれば、敷物を敷きその上に並べて売る店もあった。
野菜や果物に果物、香辛料に調味料、所狭しと並べられた品々は、殆どが地球で見た事のあるものだった。
リンゴ一つ20円、米が5キロで600円。
食料品は地球の感覚で言えばかなり安い品が多く、稀に値が高い物は遠方の産地の物だった。
「ポーションがとても高く感じる値段ですね」
貴彦が辺りを見回して言う。
「アルテミス情報によるとこの都市、ラクヨは家持ちもそこそこ多い反面、長屋、アパートもあってそれも安価。
生活レベルはやや質素なのだそうよ。
税金も開拓途中なので安いし、十万円でも生活可能なレベルになっているみたいね」
そう、西部第五都市ラクヨは未だ開拓事業が主な産業の街なのだ。
森林を伐採し土地を広げ、家を建て田畑を広げる。
周辺の魔物が少ないエリアにいくつかの村もあり、そこから穀物や野菜、薬草などもやり取りしているらしい。
そんな話をしつつ朝市を周り、焼きたてのパンや果物、塩コショウに干し肉などを購入した。
その後服や肌着、靴などの店を見て回った。
肌着類は安価な品だと野暮ったい物などしかなかったが、転移者や越界者の影響か高価な部類の商品には現代の地球に近い材質やデザインのものもあり、四人はそちらを複数買い求めた。
服も中古屋を中心として、既製品もまたもや越界者の影響か少数ながらも存在しており、高過ぎず安すぎずな品を数点購入。
その後も武器屋や防具屋をまわり、冒険者ギルドよりも品質の良い、その分お値段も高い店で厚手の服や靴、マント等を買いかなりのお金を使った。
荷物は皆ほぼ亜空間収納に入れたため、全員手ぶら状態で冒険者ギルドへ向かい、昼前で空いているギルド内の酒場で軽食を食べた後、買い取り受付で不要な異界産の装備などを売り払い、二階の売り場で水筒やロープ、楔にハンマー、テントなども手に入れた。
なお弘樹はナイフと小剣を、小春は弓と矢筒、矢も50本ほど購入した。
新米冒険者姿となった四人は受付横の依頼ボードを見て回り、急ぎの印がついたゴブリン退治の仕事を受けることにした。
「やっぱ最初はゴブリン退治でしょう!」と言う四人全員の意見が一致した為だった。
受付へ行くとカウンター内に加藤の姿はなく、空いている団体受付で依頼を受ける事にした。
受付は三十代ほどの女性だった。
ラクヨから徒歩で四時間ほどにあるヒダカ村からの依頼だった。
畑を囲む森周辺でここ2〜3日の間にゴブリンを見掛ける者が続出したのだそうだ。
村は通常柵や壁の設置や簡易的な魔除けなどはされてはいるものの、野生動物が出る程度で魔物の姿を見る事は少なく、見掛けた数も多いことから村を狙っている可能性が高い。
依頼内容は調査と可能ならば討伐。
大きな群れなどで数が多すぎれば、霊格2の転移者含むパーティーであってもレベルによっては危険である為、調査のみで終る可能性も考慮しての事だった。
調査だけなら一万円、討伐は証に魔石を持ち帰る事とし一匹五百円。
魔石は別途換金可能なため、質にもよるが一つ五百円前後。
狩れる数にもよるが、小遣い稼ぎにはなる。
その上完全に巣を潰せば別途一万円とのこと。
E〜Fランクには美味しい仕事なのだろうか?
中級の転移者が多いとされるこの街だが、パーティーを組んだ冒険者の力試しや新人育成などで低位の魔物の討伐も決して人気がないという訳ではないそうだ。
また、神々の願いを聞いてやってきた者たちなので、浄化しなければと強く思う者も一定数いるようだった。
受付からは村までの地図と必要書類を渡され、小春日和の面々はヒダカの村へと徒歩で向かった。




