転移組と転生組
説明回です。
長いです。
てか書いててキャラが変わってきた人が居るよーな(^_^;)
転移組と転生組
「かなり逸れちゃったから本題に戻すね?
女神様たちが飲みか…いや、話し合って新世界を作ることになったでしょ?
それにはいくつか理由があったの。
一つは元々うち等は時代と共に、人々と共に変化していってるのね。
例えば化け狸とか、置物なんかの影響でデフォルメされたよーな姿になっちゃったり?
それは性格も同じでねー。
徐々に変わっていくのはいいのよ。
それは自然なことだしね〜。
でも最近はねー。
ゲームとかアニメ、マンガやラノベもそーだし、強くて古いのだと各宗教もだけど、本来の姿から急にかけ離れて行く子達が多くなってきたのよ」
何だか真面目っぽい話になって来ていた。
幾多の鎖に縛られながら、真面目な表情で千尋が語り続ける姿はかなりシュールだったが。
「それをどうにかするシステム作りを!とか飲みす…もとい会議が激白してね?」
合間合間になんか聞こえたぞ?と弘樹は呟くが、取り敢えず皆は気付かなかった事にするらしく、説明は進んで行く。
「で、なんやかんやで浄化システム的な物は作り出せたの。
簡単に言うと戦って倒すんだけどね?
それにはこちらの世界の人間の力が必要だってわかったの。
天地創造の際にあちらも人間は生まれてるんだけど、別なの。
結局こちらの人間の意識や無意識がうちらを変化させてるから。
でもね、あちらの人間は変化の原因に全く関わっていないから、倒せても浄化には至らないんだ」
神と言っても何でもホイホイ出来る訳ではないと言うことか。
神様も大変なんだなー。
弘樹は壮大なようで、合間合間に垣間見える神々の世界にほんのり親近感をいだき始めていた。
「それとね、転移召喚とは別に隠れ里経由や神隠しなんかであちらに来た人たちもかなりいるんだけど。
何が違うのかまだ分からないけど、彼等の大半はやっぱり浄化出来ない事が多いの。
まぁ、高位の神々も創造そっちのけ、他の役目も放棄して長い時間頑張れば浄化は出来るらしいんだけども、それだとどっちの世界も大変なことになるし他の目的もあるからねー」
弘樹はそこまで聞いて理解できた気がした。
つまり、転移とは…
「あれかっ?!勇者召喚とかそんな感じなヤツなのかっ?!」
クワッ!という擬音が聞こえて気相な勢いで千尋に迫る弘樹。
40を過ぎたオッサンが興奮しつつ鎖に縛られた少女に迫る図を、十代の三人は生暖かい目で見つめていた。
「ちかっ!近いからっ!」
ろくに身動きが取れずに騒ぐ千尋を哀れに感じたのか、単に話が進まないのが嫌なのか、貴彦と小春に弘樹はすすっと引き剥がされた。
「もうっ!やめてよね?!
っとそうだった、勇者召喚ね?
あれとは全然別物だよ。
あちらは魔王を倒せる唯一の存在とか、なんかそんな感じでしょ?
でもこちらのはそーね?
来たれ未来の上級冒険者諸君!
今なら高待遇!みたいな感じかなー?」
どんだけ世間ズレしてるんだ?
お前がかなり変質しているんじゃね?
思わず千尋の中の人?にそんな類の言葉をぶつけてやりたいと四人とも思ったが、あとちょっとで最初の質問の答えが出る気がしたので横道に逸れないよう必死で堪えた。
「つまり夢で例の三人と冒険者募集の契約を交わしそれが成立したと、そういうことね?」
そう尋ねる十六那にウンウンと頷く千尋。
「そう。でも変ね?転生がどーのとも言っていたわよね?」
十六那の未だ冷気を秘めた瞳に見つめられ、冷や汗を垂らしつつ千尋は答える。
「ぶっちゃけ転移召喚はいつくものケースを試してるんだー。
今回はパーティごとの転移の別ケースね。
元々パーティで動いていた人達は、下手にソロで呼ぶよりパーティメンバーと一緒の方が良い結果を出しやすいって分かってたから。
ただし今回は別のテストも行う事になっていたの。
一組のパーティをバランス調整しつつ、転移組と転生組に分けて。
半分は通常通りの転移を。
そして転生組は魂だけを転移させ、あちらに生まれ変わらせる。
輪廻の輪に例外を作って効果があるか試してみよう的な感じだね。
その契約をパーティリーダーである加藤誠治がしたってこと。
賛同者として田中マリ、それから川岸聡の二名の同意の元にね。
一応こちらの規約としては半数の同意があれば良いってなってるからねー」
チラリと四人の顔を見回し、千尋は悪びれた様子もなく語った。
「…うわぁ、そんな話全然聞いてないよー」
小春は顔をほのかに青くしながらも、貴彦を見つめた。
「死んだ人を悪く言うのは良くないけれど、やっぱりあいつ等最悪な奴等だったんだね」
貴彦も小春を見つめ返しつつ、やや冷めた言葉を口にしていた。
弘樹がずっと感じていた違和感の正体、それは彼らとの関係性にあるようだった。
「急に預かってた物を全部持ってこいって言い出したのも、あっちに持っていくつもりだったんだね」
小春が少し沈んだ声で自分と貴彦のリュックを見つめていた。
「小春の家は剣術や武術の道場をやっているんです。
それで小春の家は結構広いので、過去三回の異界化などで手に入れた品の多くは小春に預かってもらってたんです。
僕の家は隣なので、一緒に持ってきたんですけど…」
事情の分からない弘樹と十六那に貴彦は説明してくれた。
中には高価な品や特殊な品もあるのだろう。
他の面子は鞄の類を自転車のカゴに乗せたままだったが、彼等はずっと背負っていた。
「私達が死ぬのを知っててここに連れてきて、その上最後まで荷物持ちさせるつもりだったなんて」
小春は苦笑いにも泣き顔にも見える表情で、貴彦の顔を見つめ続けた。
「以前から度々感じてはいたんだ。特に誠治とマリはね。聡は気が弱かったから、逆らえなかっただけかもしれないけど、でもね」
弘樹はフッと、マリに呼ばれて脇道を進みつつ、何度もこちらを振り向いていた聡の事を思い出した。
気弱そうな少年は、貴彦と小春、そして千尋にこの事を伝えたかったのかも知れない、何となくだがそんな風に思うのだった。
「で、契約は成立したと言うけれど、あの三人は死んだわ。これってどうなるのかしら?」
返答によっては実力行使を辞さない、そんな気迫を全身に滾らせつつ聖典のページを捲りながら十六那は千尋の中のモノに問い掛けた。
「あー、それなのよねー。
面を割れば倒せたアレより、もっと大変なケースを三つクリアしてるパーティだったから、擬似的な隠世がある此処は、距離的にも扉を開く条件的にも良かったから呼んだんだけど…」
流石に三人だけで挑むとは考えておらず、その上気付くと思っていた撃退方法も気付くことなくあっさり死んでしまったという事か。
微妙な空気が流れ始めたその時、弘樹の声がやけに大きく響いた。
「あー、真面目な話中すまんが、アレ、消えかけてないか?」
弘樹の指差す先、光の柱である扉はその光を薄れさせ、その太さも現れた当初の半分以下になっていたのだった。
消えかかった光の柱な扉!
果たして異世界転移出来るのかっ?!!




