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暴威

作者: 君月 満


その衝撃はあまりに突然であった。

身体を襲う鋭い衝撃

ブンブン飛んでくる硬くて黒い固まり

それは容赦なく交互に飛んでくる

ぐぁ!痛い!!何だ!?……僕、殴られた!?

動揺しながら薄目を開けて咄嗟に身を守る

身体は丸まり急所を守っている。

そして僕の拳は僕の顔面を守っている

コイツ…コイツはなんだ?なんなんだ?

打ち付けられるたびに身体が軋む

ゴツ!ゴツ!ビチ!ビチッ!!

うぅ、痛い、痛い!、やめろ!やめてくれ…

悲しみと動揺が心を支配する。

このままでは、身体に重篤なダメージが残ってしまう

あぁ、酷い。苦しい。

何者…?アンタ何者ナンダ?

何故、僕を痛め付けるのですか?

ゴツ!ビチ!グチャ!

相手からの打撃は容赦なく続く

流血……鼻血だ。鉄の匂いがするよ…

口からも出血してるようだが、もう分からない

あぁ、意識が遠のいていく…

もう痛みもない、身体は衝撃だけを感じている


終わるのか…


妻よ

息子よ


サヨナラもなく…


人生

僕の人生が…


人生

人生!

人生!!

俺達の人生が!!!

息子の未来が!!!!


ブチンッ!


オ、オオオオオォォォェアッー!!!!


咆哮が天を突く


ドゴン!!!


僕の拳が暴漢の胸を打ち抜く

カウンターぎみに入った一発に感じる反動は大きい

心臓の辺りに拳がめりこむ


アッ!アッ!アッー!

ゴツ!ゴツ!ゴッゴッゴッ!


肘の骨で打つ鈍い打撃音


反撃に動揺する暴漢


ゴッゴッゴッ!


アドレナリンが過剰分泌され脳内麻薬が溢れる


「弱ぇ……こいつ……弱ぇ……ぞ…」


いつしか形勢が逆転していた


全身の毛が逆立つ


相手は既にサンドバッグ状態


鼓動が速まり身体が灼熱となる


むしろ攻撃をしているのは僕だけとなっていた


アッ、アーーーー!!!アッ!アッ!アッーーッ!


「アレ、と、止まらない」


ハ、ワハハッ、ヒャハハーーーーーーーッ!!!


「と、止まらない、ヤバイッ!」



ガッ


グキ


グキ…


ボキッ!!!



……訪れた静寂



その時の事はあまり覚えていないです。


え?いや、何せ、唐突でしたから。

僕も必死でしたし。相手はどうなったんですか?


そうですか……。


誰だって突然襲われたら、こうするでしょう?

そう言われても…えぇ、まぁ、そうでしょうか。


え?それはあなたの理屈ですよね?実際に襲われたら、そのような事が出来るのでしょうか?私には分かり兼ねます。えぇ。そうですよ。


過剰防衛…?


正当防衛ではなくて?


反省…?


心外ですね。


私には妻子はいます。

はい、はい。

もう帰らないと。待っていてくれているんで。


はい。

分かりました。


後日連絡を頂けるという事ですね。


スミマセンでした。


では……。


歩き出す靴音


「フ…」


夜の闇に溶ける身体


「ヒヒ…」


それはあまりに自然で


「フヒヒ…」


遠去かる日常と訪れた修羅道


「ヒ…ワハッ」


暴漢を倒すのは暴漢のみ


「ワハハッ」


次の暴漢となるのは


「ヒャハハー」


この男であった
































































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