4・集会の猫たち
こんにちは。
今回、たくさんの猫?人?がたくさん出ます。
私はカキの約2メートル後ろを歩いてついていった。カキは私がちゃんとついてきているか時々後ろを振り返り、私がいることに確認したらまた歩くの繰り返しだ。
しばらく歩いていると知らない公園に付いた。
公園の入り口に『間取浜公園』と書いていた。もちろん、私はその漢字は読めない。
私が看板をじぃ~っと見ていると、カキは公園の奥にカラン、カランと歩いていく。私は我に返り急いでカキを追いかける。
私はカキを見失い、ただ所々外灯がある暗い公園を少し早足で歩いていた。
しばらく歩いていると、だんだん人の話し声や笑い声が聞こえてきた。よく見ると、とある外灯の下周辺に約18人くらいの老若男女がダベっていた。
(なんでこんな時間に人がたくさんいるんだろう?)
私はそう思い、さっさと先に進もうとした。
「ガッハハハ!お前、朝早くに新聞配達をしているだってな!正体がバレたらどうするよ?」
近付くとその集団の話し声が聴こえる。この声は集団の端にいるアゴヒゲを生やして、伸びきった上下ジャージのガタイのでかいおじさんだ。
「そこがいいんすよ!新聞配達は6時50分に終わるから、変身が溶けるギリギリのスリルがさぁ。そういうおっさんだって週4で深夜コンビニのバイトをしてるんだろ?」
赤いチェックの薄い長袖上着で緑のスウェットスーツのガリガリに痩せた青年はアゴヒゲのおじさんに言う。
「オレのバイトは、0時から6時までだから大丈夫でぇい!」
そう言って威張っているようなポーズをとるアゴヒゲおじさん。
「野良猫はいいよね。自由にいろんな場所に行けて。僕ちんなんか、夜に飼い主が寝ているときじゃないと抜け出せないし。」
貴族が着るような服を着ているぽっちゃりした人が隣にいる耳にピアス、ショートモヒカンで派手な服の青年に言う。
「いやいや。お前、毎日魚の余り物を貰っているだろ?住むところと食べるものがあるからいいよなぁ。」
そう言って派手な青年はぽっちゃりした人を羨ましそうに見る。今の会話でわかった。ここにいる人たちはどうやら人間の姿になっている猫のようだ。
「あの・・・・・。」
私はアゴヒゲおじさんに声をかける。
「おっ?どうしたんだい?君、迷子か何かか?」
と不思議そうに私を見る。
「あなた達は猫ですか?」
私は自信なく聞いた。その言葉を聞いたとき、アゴヒゲおじさんは顔を青くする。
「に、人間がなんでそんなことを知っているんだ?」
アゴヒゲおじさんは驚き大きな声を出した。どうやら間違いないようだ。しかし、アゴヒゲおじさんが大きな声を出したので、何事かと数人集まってきた。
「どうしたんだ?おっさん。」
ぽっちゃりした人がアゴヒゲおじさんに訪ねる。
「こ、ここ、こいつ!俺たちの正体を知ってやがる。」
アゴヒゲおじさんの隣にいたガリガリに痩せた青年は怯えながら言う。
そして、私は人に囲まれてしまった。
「えっ?えっ?」
私は辺りを見回す。
「この人間をどうする?」
白いランニングシャツと青いジーパンの筋肉質な男性はマッスルポーズをしながら言う。
「人間、知られる。いけないこと!」
獣足の靴にひよこの着ぐるみパジャマで黄色のベレー帽に似た帽子に獣耳が付いているジト目の少女が言う。
「けど。私達、人間に手は出せないですよね?ああ!神よ!私達はどうすればよろしいのですか?」
シスターの姿の女性は祈るポーズで言った。
「待って!この子、ネコミミがあるわよ?」
そう言ったのは、20代半ばくらいのOLっぽいスーツを着た女性であった。
「あっ!本当だ!」
アゴヒゲおじさんが私の頭を見て驚く。
「じゃ、じゃあ。あんたは猫かい?」
ガリガリな青年が私を指を指し聞いてきた。私は頷く。
「ヘイ!なんだ、びっくりしたぜい!」
筋肉質な男性はマッスルポーズを変えながら言った。
「ま、まあ。僕ちんは分かっていたけどね。」
そう言いながら腰に手をあてるぽっちゃり。
「あんた、小声で『ヤバい!ヤバい!どうしよう。どうしよう。』ってパニックになってたでしょ!」
そう言ってぽっちゃりに指を指し少し怒っているのは、肩までのウェーブの金髪で右側に白い花が付いているカチューシャを付けていて、どこかのお嬢様学校の制服みたいな服を着ている女性である。
「その娘はんは『花』という名でありんす。今日からわっち達の仲間でありんす。仲良くしんしょ。」
人の集団の奥から聞き覚えのある声が聞こえた。声の主の前にいた人々は左右に移動すると、そこにはカキがいた。
「あっ!カキ。ここにいたんだね。」
私は知り合いがいて嬉しくなり大声で言って手を振った。
「な、なんだって!?『カキ』だってぇ!?」
「この子、何言ってるの?」
周りの人は私の言葉を聞き、ざわざわと騒がしくなる。