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35・カラスその5

「「・・・・・」」


リリーとゴメスはお互い頬を膨らませてそっぽを向いたまま、向き合うような位置に座っていた。


(何故、このようなことになったのだ・・・)


(ああ!なんでこうなるのよ!!)


二人はそのようなことを思いながら、同時にお冷やに手を伸ばした。


「まぁ、あの二人美男美女だわ!」


「恋人同士かしら?」


などと周りからは無責任な声が響いていた。


「ねぇ、ゴメス!あんた他の席に座ってよ!私達が恋人同士に見えてるじゃない!」


「何を言う、カラスの子リリーよ!我、ルシファーはここが気に入ったのだ。退くわけにはいかん!」


二人の目から火花が出ている。


「あのカップル。喧嘩中かしら?」


斜め後ろに座っている女性が心配そうに二人を見ていた。


「カップルなどではない!」

「カップルじゃない!」


ゴメスとリリーはテーブルをバンッ!と強く叩いて立ち上がると、『カップル』という言葉を大声で否定していた。


「あら・・・。ごめんなさい・・・」


女性は目を点にしてそれ以上はなにも言わなくなった。


「お客様?騒いでいると摘まみ出しますよ?」


メイドの一人が慌ててやって来て、黒い笑みで二人を半ば脅しのような注意をして去っていく。


ゴメスとリリーは反省してゆっくりと席に座った。


「ふん!カラスの子、リリーよ!我は気不味い。よって早く話し合いを終わらせようと思うのだが・・・」


「なによー!私だって早く帰りたいわよ!そんなこと言うならなにか案があるわけ?」


冷静になったゴメスと違い、リリーは頬を膨らませてとても機嫌悪そうに言葉を吐き捨てる。


「うむ!残念ながら、カラスの子、リリーの正体は猫の子、花に知られている。なら我とブラッディが花に『猫だ』と嘘を言って近付く作戦ではどうだ?」


「・・・・・」


リリーは意外といい作戦にしばらく言葉を失った。


「いい!それ、いい作戦だわ!よし、話し合いは終わり!かいさーん!」


リリーは急いでお冷やを飲み干すと、ダッと走って店を出ていった。


「なにもそんなに慌てなくてもよかろうに。暗黒の作戦は明日決行なのだぞ?」


そう言うとゴメスはゆっくりとお冷やを3口飲んだ。


「ここのお冷やはいつ飲んでも美味しいな・・・」


ゴメスの作戦は完璧であった。この作戦なら花を簡単に捕まえる事ができただろう。


しかし、ゴメスがのんびりしている間、ブラッディが花と接触をしておりカラスとバレている事は知るよしもない。


ゴメスはすでに勝った気でいるのか優雅にお冷やを飲んでおり、一時間居座っていた。

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