表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/36

32・追跡者

私は走った!仔猫の時より、今は人間の姿の方が早く走れるから、人間の姿で走っていた。


「うわぁ~ん!待って~!待ってよぉ・・・」


後ろから、ブラッディの泣き声が聞こえ、私は走りながら振り向く。

ブラッディは走るのが苦手なのか、若干よろけながらも涙目で必死に私を追いかけてきていた。


私はブラッディと距離があったから走る足を止めた。すると、ブラッディの表情は、涙目からふぁ~っ!という効果音が似合うかのように明るくなった。

そして、ブラッディと私の距離が近くなった時に私は逃げる。後ろを振り返ると、ブラッディの表情が再び泣きそうな顔になって、必死に追いかけてきていた。


「お、お願い・・・だから・・・・ま、待ってよぉ・・・」


ブラッディは息を切らしており、私にかける言葉も途切れ途切れになっている。


「わかった。待つよ」


私は走るのをやめ、ブラッディの方を振り返る。


「だから、そこで止まって!」


私は右手をパーにしてブラッディに向けて前に出す。ブラッディは、その条件反射でその場で止まり、止まったときに今までの疲労が一気に来たからか「はぁ・・・はぁ・・・」と大袈裟っぽく呼吸をしている。


「なんで、私を追いかけるの?リリーに頼まれたから?」


私はブラッディの呼吸が整えるのを待ち、質問した。


「ち、違うよ。ボクの独断だよ~」


「独断?」


意外な言葉であった。てっきり、あのわがままリリーのことだから、仲間全員に私を捕まえるように言っているのかと思った。


「そうだよ。だから、大人しく捕まってよぉ」


涙ながらにブラッディは、ゆっくりと私のところに寄ってくる。私は、観念したかのように目を閉じブラッディに身を委ねようとした。

ブラッディは、それが分かったのか表情が徐々に明るくなり、私の所へとるんるん気分で迫ってきた。


「花ちゃん、捕まえた!」


前から私の腰辺りをハグするかのように、ブラッディはぎゅっと私を掴んだ。

私は、腰の所をハグしているブラッディを見てみると、私に甘えてくる小動物みたいなオーラを出していた。


しかし、この(おとこのこ)は敵である。このあと何をされるか分からない。


「今だ!」


私はそう叫ぶと、ブラッディの頭に思いっきりチョップをした。


「うわーん、うわーん!痛いよぉ!!」


ブラッディは、ぬいぐるみごと頭を抑え、その場にしゃがみこんでしまった。


そのあと、私は商店街まで休むことなく走った。間取浜商店街の看板が見えたとき、後ろを振り返りブラッディが追ってきてないか確認した。

振り返った先は、暗闇が広がっており、生き物の気配などはなかった。


普段は不気味な光景だけど、今の私はそれに安心した。どうやら、無事にブラッディから逃げられたようだ。


「ふぅー。ある意味手強い相手だった」


私は安堵のため息をつき猫の姿に戻ると、ダンボールの中へ入っていき深い眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ