30・接近
「シスター・キャット。なんで急いで帰ったんだろう?」
「ああ。ポパットは、自分のお姫様に今日の事を報告するために帰ったんだよ!」
私が呟いた疑問を、隣にいたゴンゴドラスが答えてくれた。
「お姫様って誰なの?」
「ガーッハッハッハッ!それは明日のお楽しみだな!」
ゴンゴドラスは、私の背中をバンバンと叩き、大笑いしながらどこかへと去っていった。
他の人々が自分のテリトリーに帰っている中、背中をいきなり叩かれて驚いた私だけが歩くのを止め、ゴンゴドラスが見えなくなるまで見送ったいた。
私が我に返ったのは、周りにもう誰もいなくなったときであった。
「あっ!商店街に戻らないと・・・」
私は、自分に言い聞かせるかのように独り言を言って再び歩きだした。
商店街の猫であるウェルも同じ方角なのだが、もう帰ったのかいなかった。
「はぁ~。一人だといろいろ嫌なんだよね・・・。また、リリーが現れたりして・・・」
私はリリーが出ることを、お化けがでるような感覚で言いながら歩いているときであった。
コツ・・・コツ・・・コツ・・・。
と、誰かが歩いてくる音が後ろからしたのだ。しかし、私はこの時間に人間が歩いていることも、まだ帰っていなかった他の猫が歩いていることも珍しくないので、その両方のどちらかと思っていた。
いや、不気味に思ったのでそう自分に都合のいいように考えていたのだ。
私は気にせず歩いていたのだが、その足音は早く私に追いつこうとしているようにも聞こえる。
(ここは私だけの道じゃないし、他の人が歩いていても不思議じゃないよね)
私はとても不自然に思ったけど、自分に言い聞かせ歩いていた。
しばらく歩いていると、足音が私のすぐ後ろまでやって来た。ゴクリ!と私は唾を飲む。
「あのね!」
後ろから私に声をかけたのだろうか、幼くて男の子か女の子か分からない声が聞こえた。
私はドキドキしながら後ろを振り向く。
私の後ろにいたのは、女の子であった。淡いクリーム色の髪を内巻のショートボブにしており、フリルとリボンが多く使われた白と紺のロリータ服と二段フリルのスカートの服装。手には猫のぬいぐるみを持っている。背が低く、眉毛はやや八の字でタレ目。左目が黄色で右目が緑でとても不思議な目であった。
「可愛い女の子・・・」
私はあまりにも可愛くて、思わず口に出してしまっていた。
「あのね!違うよぉ・・。ボクは男だよぉ・・・」
女の子の姿をしている男の子は、今にも泣きそうな目で私にそう言った。




