2・猫とカラス
こんにちは。
廓詞が難しいです。もし、使い方を間違えていても笑って流してください。w
リリーは身の危険を感じたのか、勢いよく私の手を取り私を自分の方に引っ張る。
「その手を離しなんし!」
和服の女性は距離からして、私とリリーを睨み付けるように見えるが、台詞からリリーのことを睨み付けているのだろう。
「そんな怖い顔をしないでよ。私達は猫だよ?あなたはなんなの?あなたも何かの動物の気配がするわ!」
リリーは警戒しながら和服の女性に言う。女性はリリーを睨み付けたまま足を止める。そして、しばらく沈黙が続いた。
「そうでありんしたか。すまんのお。そなた達も猫でありんしたか。わっちも猫でありんす」
そう言うと笑顔になり、またカラン、カランと歩み寄ってきた。和服の女性の顔は穏やかになっており、今回は敵意はないようだ。
「さあ、花とリリーとやら。こちらにおいでくんなまし」
そう言って手招きをする和服の女性。私は安心して女性の所に行こうとした。
「待ちな!」
その時、リリーは待ったをかける。
「あんた、本当に猫か?お前、本当に怪しいんだよ!」
今度はリリーが和服の女性を睨み付ける。リリーは僅に冷や汗をかいているようだ。掌も汗をかいており、それが繋いでいる手から伝わる。
しかしそれは、この状況で緊張している私の汗なのかもしれない。
「わっちは本当に猫でありんす。なんなら証拠を見せんしょ?」
そう言うとパッと女性は猫の姿になった。立派な毛並みのソマリである。女性は再び人間の姿になると。
「そっちの娘はんは猫だと分かるでありんす。そっちのヒラヒラさんはどうなんしょ?」
そう言いながら、カラン、カランと私達の方に歩いてきたのだ。
「な、なんだよ!お前はいったい、なんだよ!」
焦ったように少し言葉をかみながら、額に冷や汗をさらにかいてリリーは和服の女性に問う。
「自己紹介がまだでしたなぁ。わっちの名は『カキ』でありんす」
そう言って、カキは立ち止まり軽く頭を下げる。そして、再び歩き始めた。
「か、かか、カキだとぉ!?お、お前はあのカキなのか!?」
リリーはカキの名前を聞くと、驚き少し後退りをしてカキを指を指す。
「おやおや。お前さんのような下っぱな娘はんでも、わっちの名前は知ってるでありんすなぁ」
すごく余裕の表情を見せながらカキはリリーから目をそらさずに笑顔で言う。
「チッ!」
という悔しそうな舌打ちが聞こえ、リリーの姿が変わる。その姿は猫ではなかった。
それは夜よりも暗い黒い体に大きな翼が生えており、大きなくちばしがあるカラスであった。
「カァー!カァー!」
と大きな声で鳴き、慌てていたのか数枚羽を落として逃げるように空高くへと飛んでいった。
私は驚いた顔でカラスを目で追い、カキは『やっぱり』と言うような顔で目で追っていた。
「最近はカラスによる仔猫連れ去りが多いいのう」
とうとうカラスが見えなくなった頃、今度は私の方を見てカラン、カランと歩いてきた。
ふと、私の頭の中で危険信号が出る。
(あれ?私って自分の正体を見せていない。そして、あのカラスのリリーと一緒にいた。っということは、私もカラスと思われているのかも?ああーっ!私、どうやって人間になったり猫になったりするのか分からない!!)
そう思うと目の前のカキがとても恐く感じ始めた。私は涙目になり、足もガクガク震えている。
「あ、あの・・・・・私は・・・・カラスじゃ・・・・なく・・・」
私は恐怖のあまりやっと出た言葉はこれだけであった。
「何を言っているんしょ?そなたは猫でありんすよ?」
カキは不思議そうにそう言って自分の頭の上の方をトントンと人差し指で叩く。私はそれに気付きそっと頭の上を触ってみる。
「えっ?えっ?ええええええ!!!」
私は驚き大きな声を出してしまった。な、なんと私の頭の上には耳があったのだ。それはたぶん、ネコミミ(本物)なのだと思う。