28・フィーバータイム
「あれ?ウェル、元気になったの?」
「振られたってなんてことはない!だって、僕ちんにはミミニャンがいるんだもん!」
ウェルは、ミミニャンを見ながら私の問いに答えた。もはやウェルの目にはミミニャンしか映ってないようだ。
ミミニャンはリズムに乗るようにクルクルと数回回転した。
「フィーバータイムだにゃん!」
「うぉー!俺様もフィーバーだぜ!」
ミミニャンが猫が招くポーズをすると、ダンデーもすごい手さばきでギターを弾き始めた。
そして、それを応援する人の姿になっている猫達。カキ姉さんも楽しそうにミミニャン達を見つめている。何故だか私だけ置いてきぼりされている気分になった。
「それでは聴いてください!」
ミミニャンは可愛くデコレーションされている、『マイマイク』というのを両手で持って喋っていた。
『ああ。あれで喋っているからとても声が響くのか』と、私は気付いた。
「ミミニャン&ダンデーで、『恋はアイスレモンソーダ』!!」
ミミニャンがマイクを左手で持ち、右手を上げて手を振った。すると、不思議なことに何処からともなく音楽が鳴り響く。
ミミニャンはその曲に合わせてリズムよくステップをしている。
「♪はじめて君と出会った~。その時から炭酸弾けた!
はじめて君に近付いた~。その時から酸っぱいレモンが!
炭酸と混ざって~、とても酸っぱいジュースが出来た。
このレモンソーダは~。まるで私の心を表しているみたいに~。スパッと弾けた~。
愛、愛、アイ、アイ、アイスを乗せて、酸っぱいジュースを中和しようよ!
だい、だい、だい、だい、大丈夫だよ、私の気持ちはちゃんと伝わるんだ~。
わ~た~し~の心は。あ~ま~い~~!アイスレモンソーダ~♪」
「うおお!!マイギターの奏!マイギターの奏!」
ミミニャンが歌っている隣で、ダンデーは一生懸命にギターを弾いているのだが、残念ながら何処からともなく流れている音楽のせいで全然聴こえない。
「な、なんか知らないけど、アイドルって凄い!」
私は、ミミニャンが歌っている曲を聴いて心の底から、元気と憧れが湧いてきた。憧れの方は、私には無理だなと思い、すぐに捨てた。
「凄い!凄いよ!アイドルの歌って、とても楽しい!!」
私は思わず、周りが踊っている応援ダンス?を見ながら、ワンテンポ遅れて踊った。
ダダダダン!
ミミニャンの『恋はアイスレモンソーダ』が終わり、ミミニャンとダンデーは最後に決めポーズをした。
「わーーー!!」
「きゃああ!!」
「ヒューーー!」
1曲終えたミミニャンとダンデーに、みんなは熱い喝采を送っていた。
「みんなー!ありがとー!」
ミミニャンは再び右手を上げて、みんなに手を振った。
「では、次の曲に行きます!」
ミミニャンは両手でマイクを持ち、落ち着いた表情で言う。
「聴いてください!『あなたはダークワールド!』」
「うおおお!!俺様もギターを響かせるぜ!」
これから一時間以上、ミミニャンのライブは続いたのだが、結局最後までダンデーのギターは聴こえなかった。




