22・カラスその2
「あのね!ここで花ちゃんと思う子猫を見たんだよ!」
「そんなこと言ってもいないじゃない!ブー!本当に見たの!?」
「カラスの子リリーよ!相手は生き物だ!いつまでも同じ場所にいるわけないのだよ!」
ここは商店街から数キロ離れた場所、『間取浜公園』である。公園の茂みが深い場所でカラスの三人組、リリー、ゴメス、ブラッディはシャム猫の花を探していた。
昼の話だが、この公園の木が多い場所でブラッディが木の枝で休んでいると、土管で遊んでいた花がやって来たのだ。
(あれがリリーちゃんが言っていた花ちゃんかな?)
ブラッディはそう思いながら、「カァー!カァー!」と鳴いた。その鳴いたのが仇となったのか、花らしきシャムの子猫はピョンとジャンプをして深い茂みに消えてしまった。
見失う!と思って枝から地面に降りたのだが、時すでに遅し!そこには花の姿はなかったのだ。
そして、夜になりブラッディはとりあえず、花を見失った場所にリリーとゴメスを連れてきたのだ。
「あのね!ボクの名前はブラッディだよぉ~。」
ブラッディは少し人形を持っている手に力を入れて言った。
「我がルシファーの邪気眼を持っても子猫の気配はたどれぬ・・・・・。」
ゴメスは左手をパーにして右目に持っていき、人差指と中指の間から見るポーズをする。
「ああ、もう!なんで花を捕まえることができないのよ!!」
リリーは二回地面を蹴る。
「だいたいブー!あんたが見失うからいけないのよ!あと、ゴメス!鎖がうるさい!」
リリーはブラッディを指差し言ったあとに、ゴメスを指差し怒る。
「リリーちゃん。そんなに怒らないでよ・・・・。ほら、ミミーちゃんも怯えているよ?」
そう言ってブラッディは持っている猫のぬいぐるみを見せるようにリリーに近付ける。
しかし、ブラッディはぬいぐるみをリリーに近付けた瞬間に『あっ!またぬいぐるみを取られて投げられる!』と思ってしまったが遅かった。
「フンッ!」
リリーは腕を組み、頬を赤くしてそっぽを向いた。それを見たブラッディはぬいぐるみが投げられなくて安心したと同時に不思議そうにリリーを見る。
「カラスの子リリーよ!女神のぬいぐるみで浄化されたか!?」
「あのね!ボクは男だから女神じゃないよ!って!わっ!わっ!」
ゴメスはブラッディを後ろから抱きしめて言う。ブラッディはゴメスの発言を否定しながらも急に抱きしめられてわたわたしていた。
「ちょっと!なにしてんのよ!!」
ベチン!
「いってぇー!!」
リリーは思いっきりゴメスの頭を叩く。その痛さにゴメスはブラッディから手を離し、両手で頭を押さえていた。
「もう!」
リリーは腕を組み、そっぽを向く。
「そんなこと私がしたいわよ!」
2人に聞こえないくらいの声でリリーは言う。
「あのね!何か言ったの?リリーちゃん。」
「フッ!我、ルシファーの耳には何か聞こえた気がしたぞ!何を言ったか知らないが、何か言ってたぞ?」
聞こえないように言ったつもりだったが、聞こえていたようだ。
「ううううう~。」
リリーが顔を赤くして唸る。
「うるさい!ブーのばかぁ!!」
バフッ!ドスッ!
「ああっ!ボクのミミーちゃんがぁ!」
結局はブラッディのぬいぐるみはリリーに取られ、投げられた。ぬいぐるみは木の幹に当たり地面へと落ちるといういつものパターンになった。
もはや花の事は忘れているようだ。
「コラー!そこの暗闇で何をしている!!」
いきなり男性の大きな声が聞こえ、懐中電灯の光を当てられた。
3人はびっくりして懐中電灯の方を見る。そこには右手に懐中電灯、左手に自転車を持っている警察官が立っていた。
「お前たち!こっちに来い!」
警察官はとてもキツい口調で言う。
3人はしぶしぶと茂みから出てきた。警察官は目を細め一人一人懐中電灯を照らして確認する。
「見たところ若いな!そこで何をしていた!?」
警察官はランダムに3人を照らしながら言う。
「あのね!ボク達は探し物をしていたんだよ。」
ブラッディは拾い上げていたぬいぐるみを優しく叩きながら言った。
「探し物ってなんだ?」
「可愛い子猫ちゃんなの~。とぉ~っても可愛いんだよ。」
リリーは警察官の質問に両手の親指と人差指で細長い円を作り答えた。
「そっか。飼い猫が逃げたのだな!?悲しい気持ちは分かるが、今日は遅いから帰りなさい!」
お前たちの気持ちは痛いほど分かるぞ!というオーラを出し、少し悲しそうな顔をして警察官は言う。
「「はーい。」」
「うん。」
ゴメスとリリーはやる気無さそうに、ブラッディは頭を立てにふって答えた。そして、カラスの三人組は解散していったのであった。




