20・双子
私の前に現れた2人は双子だったが、簡単に言えば天の邪鬼を見ているようだ。
「ねえねえ、君。とても可愛いね!」
白いスーツの男性、翠玉は私の右側に座った。
「ねえねえ、君。フードを被っていて地味だね。」
黒いスーツの男性、蒼玉は私の左側に座った。
私は2人の手元をなんとなく見た。翠玉は左利きで、蒼玉は右利きだ。
「右側から見る君が素敵だね!」
翠玉は私を見てウィンクをして言う。
「左側から見る君が素敵だよ!」
蒼玉は私に近付き覗き込むように言う。
「あっ!飲み物がなくなりそうだね!」
そう言って翠玉はメニュー表を差し出した。
「ありがとう!え~っと・・・・・。」
私はメニュー表を見て悩むふりをするが、はっきり言ってウーロン茶以外の飲み物は知らなかった。
「じゃあ、ウーロン茶で。」
「かしこまりました。」
翠玉は軽く頭を下げるが、蒼玉は私のフードの上の方をツンツンとつついていた。
「お待たせしました。ウーロン茶です。」
そう言って翠玉は私のコースターの上にウーロン茶を置く。
「ありがとう。」
私はウーロン茶を取ろうとした。
「えいっ!」
バサッ!
その時、蒼玉が私のフードを取ってしまった。
「えっ!?」
油断した。私がウーロン茶に気をとられている隙にフードを取られてしまった。
翠玉と蒼玉の目の前で私の髪の毛と頭の上にある猫耳が現れた。
「おっ!」
「ふんっ!」
翠玉と蒼玉に私の猫耳を見られてしまった。
(あーもう、駄目だ!猫耳を見られちゃった。)
私はかなり絶望的な顔をした。
パフッ!
翠玉は無言でフードを被せてくれた。
「ったく!蒼玉てば、そんなことをしたらいかんでしょ?」
「いやぁ~。ごめん、ごめん。だって、フードを脱いだ方が可愛いと思ったんだよね。」
2人は何事もなかったかのようにヘラヘラと話始めた。
(あれ?もしかして私の猫耳は見られてなかったのかな?)
私はそう思いながら再びウーロン茶に手を伸ばし、口へと持っていく。
「それにしても、すっごく可愛い猫耳だよね!」
蒼玉は私のフードをツンツンして言う。
ブフッ!
私は思いっきりウーロン茶を吹き出した。やばい!バレている。
「あ、あの・・・・・これは、猫耳のおもちゃで・・・。」
「けど、本物のように見えたけど?」
「あうっ!」
私が誤魔化そうとしても蒼玉は鋭く突っ込みをいれる。もう、完全に終わった。
「まぁ、隠すことはないって!俺達、犬は別にカラスみたいに攻撃とかしないって!」
翠玉は笑いながら言う。
「はい?」
私は意外な言葉を聞いたので、間抜けな返事をしてしまった。
「えっ?えっ?犬って?」
私は左右を交互に見て聞いた。
「知らずに来たのか?ここで働いている人は全員犬なんだぜ?」
蒼玉はウィンクして言う。
「ええええええっ!!!」
っと店全体に聞こえるような声を出したのは私であった。
ーーーー(幕間)ーーーーーーー
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「5番テーブル様!そろそろお時間でございます。」
蒼玉と翠玉の2人とお話をしていたら、ダンディな男性が現れて言ってきた。たぶん、私のことだろう。
「もう、帰るのかい?」
「残念だな。また来るんだな。」
翠玉と蒼玉はなんだか淋しそうだ。
「今日はありがとう。翠玉、蒼玉。また遊びに来るよ!」
私は笑顔で2人に言うと、ダンディな男性の後を付いて戻っていった。
ダンディな男性は出入り口の前で止まる。そして、何やら機械を操作し始めた。
「お会計は7500円になります。」
「えっ!?」
文無しの私にダンディな男性はお会計を言い渡すのであった。




