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11・公園探索

私はトコトコと人間に見つからないように草むらを歩きながら私と同じ歳の人を探して移動していた。


しかし私が探している人物は見つからなかった。私が宛もなくウロウロしていると、柱時計がある広場に出た。柱時計の近くには噴水もありベンチなどもあるのだが、この時間はここには人はいないみたいだ。

私が時計を見上げると、短い針が8と9の間の9近くにあり、長い針が10のところにある。確かこれを8時50分と読むんだったっけ。もうすでに人間の姿になる時間ではなかった。

っていっても、私は今のところ人間の姿になろうとは考えてなかったので、とくには気にしなかった。


それにしても凄く広い公園だなと私は思ったのだが、もしかすると子猫だからそう感じるのかもしれない。

私は再び歩きだし、15歳の人間、出来れば15歳の女性を探してウロウロしていた。


噴水を過ぎ、茂みに入ると反対側には土がむき出しになっている、ちょっとした広場に出た。

そこには見覚えのあるコンクリートの筒、確か“土管”(とかいってたっけ?)が三本、ピラミッド状に置かれている場所に着いた。

ここは見覚えがある。そうここは昨日の夜に集会があった場所だ。

私は土管の前まで歩いていった。子猫の姿から見ればその土管はよりいっそう大きく見えた。

土管一つの高さは私の3・4倍くらいはある。私はカキ姉さんがこの土管の天辺に座っていたのを思い出した。


(あの高さからの眺めはどんなものだろう。)


私はとても興味をもった。こうなった私はもう止められない。先ずは下にある土管目掛けてジャンプをする。

子猫のジャンプは凄く高くまで飛ぶ。私の背よりも何倍もある高さも楽々なのだ。

私は華麗にジャンプをして、一段目を優雅に飛び越える。そして、二段目の土管に顔面からぶつかる。

そのあと一段目の土管の上に着地をした。

よし!痛かったが、成功だ。しかし次のジャンプが難関だ!一段目は二段目の土管に当たることで上に着地することができたが、二段目もこの方法をすると飛び越えてしまう。

つまり、ジャンプ力を制御しないといけないのだ。


私は土管の上で座り、二段目の頂上を見上げる。そしてお尻を少しあげ、フリフリとお尻を振る。後は自分を信じてジャンプをする。

ジャンプをしたのはいいが、頂上には届かなかった。私は上の方に思いっきり手を伸ばすもお腹を打ちそのまま転げ落ちるように地面に落ちていった。


「みぃ。」


私は土管のピラミッドを見上げた。ここで諦める私ではない。

私は再び土管に向かってジャンプをしたのだった。


ーーーー(幕間)ーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


シュタッ!


私は今、土管の頂上にいる。失敗をして何十回かでやっと登ることができたのだ。

土管の上から見る景色は素晴らしいと言いたいのだが、そんなことはなかった。

そこから見えるのは木と草と土、木と木の間から噴水が見えているだけであった。

しかし、私にとっては苦労して登ったという達成感からとても素晴らしく見えたのだ。


「みーーーー!!」


私は崖に立つライオンのように大きな雄叫びをあげた!


「そこにいるのは誰だ!」


雄叫びをあげたあとに土管の中から怒鳴り声が聴こえてきたので私はびっくりして頂上から飛び降りた。綺麗に着地をしたあと振り返ると、土管の中から二匹の猫が出てきたのであった。

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