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犯人は、

「それでさ? その、盗作だってメールの送り主と、おまえらに例の本を送りつけてた犯人が同一人物だったってことだよな? 誰なんだよ、そいつは」

「杏ちゃんの、元相方」

「杏の、元相方」


みごとに、千夜と里沙の声が後半ハモった。

相方って、杏は漫才でもやってたのか、と紫苑は突っ込みたかったが、とてもそんな雰囲気ではない。


「杏の、元相方……? いっしょにマンガを描いてたってことか? どんなやつ?」

「知らない。里沙は?」

「さあ。杏にメッセもらってから、イベントでいちどスペースに行って……そのとき誰かいっしょだった気もするけど。サークルをふたりでやってたってはなし自体、今日が初耳だもん。相方がいたことも、ケンカ別れしたってことも、要は今まで隠してたんじゃないの」


里沙の箸が、つんつんとハンバーグの付け合わせのにんじんのグラッセをつつく。

どうやら、にんじんがニガテなのらしい。


「隠してたかどうかは定かじゃないな。おまえたちみたいに、あえて言うことじゃないとおもって黙ってたってだけかもしれねーし」

「それはそうだけど……」

「じゃあ、ともかく。その相方と別れて、あいつはおまえたちの仲間になったんだな?」

「そういうことだねー」

「それを、その相方の方は恨んでたと?」

「……みたいだねぇ」


一転、千夜が渋い声で応える。


「言われてみれば、杏ちゃんといっしょにやるようになって、それからだよね。メッセージが送られて来だしたの」

「うん。でも、同時に、本をばんばん作るようになったから、それでだとおもってたわけ。ほら、しーちゃん。例の郵便、封筒に嘘の差出人の名前があったでしょ? あれもね、杏ちゃんがつなげて見てれば、相方の仕業だってすぐに気づけたみたいなの」

「元、相方でしょ」


真名が訂正すると、ぷっすりとにんじんに箸を突き刺した里沙がそっぽを向いて言った。


「相方に戻るかもしれないんじゃないの?」

「里沙ちゃん!」

「だって。仲間だとおもわれてなかったんだ……って、出て行ったんだよ?」

「里沙はそれでいいのか?」


紫苑の問いに、とたんに黙り込む。

答えるよりはにんじんを食べる方がマシ、とばかりに里沙は輪切りのにんじんをひとくちで口の中に押し込んだ。

しばし、沈黙が流れた。


「……よくない」

「聞こえないぞ」

「だからっ、よくないよ!」


ぎゅっ、と箸をにぎりしめて里沙がわめく。


「わかってんの。脅迫のこと、黙ってたのは悪かったけどべつに隠してたわけじゃないよ、って言えばよかったって。だってほんとに、杏の元相方の仕業だなんてわかるわけないんだし、私たちだって話題にするの避けてたくらいだもん、わざわざ言うほどのことじゃないとおもってただけなんだからっ!」

「そうだな。そう言ってれば、杏はきっと納得したとおもうぞ。実際、いっしょに住んでるのに杏にだけコソコソ隠してたわけじゃないだろ。あいつはここに居ないことの方が多い。パソコンだってそれほど扱わないのは、自分でもわかってるはずだからな」


紫苑の顔を、里沙が見つめてきた。



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