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ー前世の俺がやらかしたようでー  作者: nika
異世界編
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第五話 金髪少女帰還

すぐ側に見えていても触れられない。そんなのはよくあることだ。

次の日の朝、魔法長ことルナが帰ってきた。

出会った時と同じ格好の黒いドレス姿。

だが、そのドレスは鎧のように硬そうだ。

ルナは長い金髪を揺らしながら俺に近づいてきた。

「ただいま帰りました。」

「おつかれ…」


俺はこの人に苦手意識があった。

なにせ、俺をこの世界に連れてきた張本人だ。

状況は最悪。

学校の晒し者になった上に異世界にポイ。

苦手意識があっても仕方ないだろう。

しかし、俺はルナに聞かないといけない事があった。

「ルナ、俺が転移した後、何してた?」

少し低い声が出てしまった。ルナも少したじろいでいる。

「詳しくは話せませんが、あの世界でのご主人様の生活を探っていました」

そういうとルナは少しずつ俺の事について話し始めた。

運動、勉強ともに優れていた事。

両親は不幸になったものの、一人暮らしでやっていけていたこと。

女の子が寄り添ってくるのに全部はねのけていたこと。

最後のは耳が痛い。

まあ、告白してきたりとかはちょくちょくあった。

だが全てを拒否していた。

ちゃんとした理由はないが、多分夢の中の人を追いかけていたからなのかもしれない。

今となっては過ぎたことだ。

「ご主人様。記憶の方は戻りましたか?」

少し上目遣いで聞いてくる。

俺は高校2年。

性欲とか性欲とかが溢れている時期だ。

ヤバイ。

そのポーズはヤバイ。

ドストライクだ。

でも、あの異世界に俺をぶん投げたルナだからこそ我慢できる。

「いや、まだだ。こっちに来たからといって、戻るわけではないらしい。」

「そ、そうですか。私の事、思い出してくださいよね。」

「出来る限り努力するよ」

ルナは自分の部屋に戻っていった。

よっぽど疲れていたらしい。

(聞きたい事はあるけど、明日にしよ)

俺は一刻も早く、魔法について聞きたい。

俺も魔法使えんのかなぁ?

ワクワクとかではなく、ある目的のために。

こんな世界とっととオサラバだ。

その日はカトレアに翻訳石を買ってきて欲しいと頼んでおいた。


次の日

朝食を食べ終えたあと、俺はルナの部屋に向かった。

ドアをノックして、開けようとしたがやめた。

明らかにゴソゴソと音がなっている。

(着替え中か)

「ルナ、起きてるか。突然で悪いが俺に魔法を教えてくれないか?」

「それはいいですが、何に使うおつもりで?」

「いや、まあ、大した事じゃないんだけど、俺も魔法使えた方がカッコいいかなーって」

「ご主人はそのままでもカッコいいですが?」

(嬉しいこというじゃねえか。でもこう言われるとどう言えばいいのか分からない)

「魔法使ってみたいんですお願いします。」

「分かりました。なら先に出かける準備をして玄関で待っていてください」

_________________________________

「ご主人様、昨日頼まれたものです。」

カトレアの手の中には翻訳石の色をした板。

「あれ?これってあの?」

「はい。ご主人様が翻訳石と呼ばれているものです。」

でも、リム達が着けてる様な小さいのではなく、薄く、長方形にスライスしたもの。

確かに持ちやすいというか、携帯はしやすい。

スマホみたいに。

「ありがとう。大事にするよ」

さて、出掛ける準備だ。

(出かける準備と言われてもなぁ)

「リム、いるか?」

「はい。どうなさいましたか?」

「あーえーっと、出かける準備って出来る?」

「少々お待ちください!」

リムはパタパタ〜っと廊下を小走りで走り、部屋から着替えを持ってきてくれた。

「どうぞ!」

「ありがとう」

白いシャツに貴族が着ているようなスラリと長いズボン

(俺には似合わんなぁ)

「リム、ちょっとルナと出掛けてくるわ」

「お帰りはいつ頃になりますか?」

「そういえば聞いてないや」

「でしたらこれをお持ちになってください。」

そうして渡されたのが翻訳石に似た石ころ。色はオレンジっぽい。

「これは?」

「はい。これは持ち主同士が近づくと反応するアイテムです。」

「これまた便利な」

「私の家は魔石売りなんです。商品に出来ない小さいものを譲ってもらっているんです。まあ、小さくても効果は同じなんですけどね」

(だから俺のはスライス型なのね)

「便利な魔石があれば今度見せてくれよ」

「はい!かしこまりました!気をつけて行ってらっしゃいませ!」


とりあえず玄関で待つ。

しばらくするとルナがやってきた。

ルナは魔法使いなのに、軽装ではあるが鎧をつけていた。

ついでに剣も。

「ルナは剣も使えるの?」

「ええ、少しですが」

そう言いながらルナは玄関の戸を開きつつ俺の手を握って自分の方にたぐり寄せた。

「行きますよ」

(なんて可愛いんだ……はっ!いかん!この世界から抜け出したら、もう会えないんだぞ!そうだ!この世界はオサラバだ!)

心の中で葛藤しつつ、手を引かれるがまま外へ出た。


(魔法を覚えればこの世界でも生きていける上に帰れる望みがある。俺、頑張っちゃうぞー)

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