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ー前世の俺がやらかしたようでー  作者: nika
異世界編
2/25

第一話 金髪少女に連れられて

平凡な毎日はいつもすぐそばにあるくせに、必要な時には存在しない。

「ーーであるから、ここはーー」

俺はいつも通り授業を聞いていた。

そう、聞くだけだ。他に何もしない。他に何もする必要がない。授業なんて時間が経てば終わる。あと少し、あと少しだ。


そんな時に突然バン!という大きな音とともに教室のドアが開かれた。

そこには金髪の少女が立っていた。

少女といっても、身長はそこそこあるし、胸もある。

ただその少女は制服ではなく、どこかのファンタジーに出てくる魔法使いのような真っ黒なドレスだった。

(なんだなんだなんですか?不良な中二病か?)

周りを見ると、やはり戸惑いを隠せないようだ。

そこでさっきまで授業をしていた教師が口を出した。

「な、なんだね君は…あの…」

「黙りなさい。私は人を探しているだけだ」

「人を…?」

「ああ、ようやく見つけた」

(ほう…この教室にあいつの知り合いがいるのか。誰だ?周りはみんなオドオドしてるし…)

少女はヒールをツカツカと鳴らしながら近づいてくる。

俺に向かって。


「え?」


(いやいやいやいや、俺じゃないよね?きっと後ろのやつだよね?俺こんな痛い子知らないよ)

少女は俺の机の前に堂々と立った。

「ご主人様!今こそ元の世界に帰りましょう!」

「え?は?ん?」

周りの奴らも俺と同じような反応をしている。

「ま、まさか、記憶を失っていらっしゃるのですか?」

少女がワナワナと震える。

「あーえーえっとー…」

「今すぐ屋敷に戻ってください!」

周りも俺と少女を交互に見てヒソヒソ話したり、キョトンとしている。

「と、とにかく戻ります!付いてきてください!」

「ちょ、ちょっと……」

俺は手を引かれ、グラウンドに出た。

(体育とかやってる生徒もいるのによくやるぜ……あーあー俺の学園生活終了かなぁ)

「あ、あの!」

「なんでしょうか?」

「多分だと思うのですが…人違いとかじゃありません?」

「この私がご主人を見間違えるわけないじゃないですか!」

怒られてしまった。

「俺、あなたのこと知らないんですが…」

「おそらくこちらの世界に転生して記憶を失われただけです」

「は?転生?」

「はい。ご主人は『新しい世界が見たい』とおっしゃった後、勝手に!一人で!出て行かれたんですよ!」

何やってるんだ前世の俺…

「とにかく行きますよ!」

話しながらグラウンドを出て門に向かった。

校門の手前で少女が叫んだ。

「門よ、開け!」

(校門空いてますよ〜)

とか思ってたら、目の前に光が差し穴のようなものが空中に空いた。

少女はそこに俺を投げ入れた。

「うわぁぁぁぁ!」

「私は少しこの世界でやることがあるので先に帰っててください!主人の部屋に設定しています!」

少女の言葉を聞きながら、俺の意識はなくなった。


「う…ううん……」

俺はベッドの上で目が覚めた。

「知らない天井だ…」

冗談はさておき、目の前がボヤけてよく見えない。

ゆっくり周りを見渡すとだんだんピントが合ってきた。

(ここはどこだ?)

記憶喪失みたいだ。

ここがどこかすらも分からない。

普通に家具とかが置いてある。

でもちょっと家具がアンティークかな。

ゆっくりと部屋を左から見回していく。

ドアだ。ドアがある!監禁されてない!

……冗談はもういいか。

(とにかく出よう…)

ドアを開けると左側にのみ長い長い廊下がある。

(ここは端の部屋なのか)

俺は廊下をまっすぐ歩いた。

廊下には絵画や石像のようなものが飾られている。

廊下には等間隔にドアがある。

(ドア開けるのはちょっと怖いな…)

200mほど進んだときに半分ほど開いたドアから光が漏れていた。

部屋に入ると、窓から太陽の日差しが煌々と入り込んでいた。

(なんだかほっとするな。こうなんか、フワフワするような)

だがそんな気持ちは簡単に打ち砕かれた。

外には人がいて、馬車が走っていて、レンガ造りの家が大量に並んでいた。

(いや、これはヨーロッパかどっかだ!大丈夫、”まだ”夢の国ではない)

一つ一つ情報を整理して外を見ていたら、後ろから声をかけられた。

「ご主人さ…」

「ひっ!」

「お、お帰りになられてたんですね!」

「お、おう!」

(誰だ…?メイド?)

茶髪のロングヘアで白人のように白い肌。

少し小さめの背でメイド服を着ている。

(とにかく聞いてみよう)

「あ、あのさ…」

「はい、なんでしょう?」

「ここどこ?」

「ええと…ここは私の部屋ですが」

そうなのか…いやいや違うよ。

そうじゃなくて…

「えっと、そうじゃなくて…」

メイドは少し考えた後、俺にこういった。

「…あ、はい!ここは王都。あらゆる王と貴族のみが住むことを許された地です!」

(あ、あれ?もしかしてここって…)

「異世界…?」

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