表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風の祈り  作者: 銭屋龍一
柿木の家
7/17

6

 私は、幼い頃の記憶から、柿の木のある家の話をこれまで三度書いてきている。

 それが、なんの付帯条件もなく、そのままの私が愛されていた記憶だからだ。

 その藁クズのような記憶にすがって、荒波の世間を渡る。


 書きあげた物語の三度とも、私は、私を愛してくれた人たちのことを、引越しをしたあたらしい家、それこそが柿の木のある家なのだけど、その家を見た瞬間に忘れ、新たな世界に飛び込んでいった、と記している。


 何かを小説にするには、何が必要なのだろうか?


 同人の重鎮たる教授がよく口にした。

「これを小説にしなくてはならないので、ここで無理をしてますね」


 事実がそのまま小説になるわけではない。

 が、しかし、どれほど事実に忠実に筆記したとしても、それは本来の事実とは当然異なる。


 私は、柿の木のある家を出て、次なる世界に向かわなくてはならない。

 なぜなら、私の生には限りがあるからだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ