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いくつかの世界 1
今更だが、高校生で進んで川端康成を読むのはめずらしいらしい。
だったら、僕はそのめずらしい部類の学生だった。
サッカー部で文芸部だった。
ほとんどはグラウンドでボールを追いかけ、たまに雨で、屋内で筋力トレーニングがあるとき、サボり心が主で、文芸部に顔を出す。
僕たちのサッカー部の筋トレは半端ない。
死人がでるとまでいわれている。
もっとも、本当に死人が出たことはない。
一度だけ、階段ダッシュをしていたやつが、階段踏み外して、脳震盪を起こし、病院に運ばれたことはある。
そんな筋トレに参加するくらいなら、文芸部の活動に参加する方がよほどいい。
文芸部には一応部室がある。
美術室の手前にある、教室として使うには小さすぎる、10畳くらいの部屋だった。
ドアを開ける前に、津軽土人の声が響き渡った。




