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短編連作 ほら~www  作者: あさき夢みがち


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3/28

あの扉を開くのは、

寝てるときって電灯は全部消します?

入院して三日目の夜。時刻は午前三時を少し過ぎた頃だった。


私は大部屋の最も奥のベッドにいた。

部屋の他の患者たちは皆、深い眠りについている。


看護師が巡回する微かな足音も途絶え、病棟全体が水を打ったように静まり返っていた。


この静寂こそが、病院の夜の恐ろしさだった。



遠くの部屋で鳴る点滴の機械音や、何かの軋む音が、普段よりも何倍も大きく響く。




その静寂を破って、異変は始まった。



私の病室の扉が、


スーッと、


ごくわずかに開いたのだ。




廊下の常夜灯の薄い光が、その隙間から細い帯となって室内に差し込んでいる。


ドアのすぐそばのベッドの老人が、寝返りを打った音が聞こえたが、誰も気づかない。


私は息を殺して、その隙間を凝視した。


扉は数センチ開いたまま、ぴたりと止まっている。


風が吹いたわけではない。このフロアの窓は全て閉ざされている。


次の瞬間、開いた隙間から、何か白いものが覗いた。


私は反射的に目をつぶろうとしたが、遅かった。


その「何か」は、私から見てちょうどドアの影になる位置にいたため、顔の詳細はわからない。


だが、はっきりと見えたのは、


病衣のような白い布地と、


その上にある異様に長く垂れ下がった黒い髪だった。



それは、まるで部屋の中の様子を「覗き込んでいる」かのように、



開いた隙間を上下にゆっくりと動いた。


覗いている時間が長すぎる。


普通、人間ならこんな不自然な動作はしない。


そして、その長い髪の間から、一瞬だけ見えたものがあった。


それは、



白濁した瞳だった。



その視線が、正確に、病室の一番奥にいる私を捉えた。



私は金縛りにあったように動けない。

大声を出したいのに声が出ない。

ただ、その白い影が、ゆっくりと、私の存在を確かめるように、静かにその場に居るのを感じる。



十分、いや、それ以上経ったように感じた後、白い影はスッと消え、

病室の扉は、「カチッ」という小さな音と共に、完全に閉ざされた。



私は荒い息を整え、額の冷や汗を拭った。



安堵したのも束の間。私はある決定的な違和感に気がついた。



あの影は、病衣を着ていた。そして、あれだけ長く立って覗いていたにもかかわらず、足音、スリッパの擦れる音、呼吸音、その全てが一切聞こえなかったのだ。


そしてさらに、私は自分のベッドの足元、点滴スタンドの柱に、薄い白い紙が貼り付けられているのを見つけた。


消灯までは、なかったものだ。


私は恐る恐る、手を伸ばし、それを剥がした。


それは病院のカルテ用紙の一部だった。走り書きされた鉛筆の文字が、暗闇の中でぼんやりと読める。






『ワタシハ マダ ココ ニ イル』





実家での体験をアレンジしてみました


ちなみに実家は襖で、

スーッと襖が動き、

白くぼんやりとした輪郭がこちらを覗いていました


それ以来、襖側に背を向けて眠れなくなりましたw

ところで寝室の扉って、ちゃんと閉まってます?

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