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短編連作 ほら~www  作者: あさき夢みがち


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17/28

ウォーキング

健康診断の結果が悪く、私は一念発起して夜のウォーキングを始めた。


仕事が終わった深夜11時。



人目を避けるため、あえて街灯の少ない、寺の裏手に広がる墓地沿いの道をコースに選んでいた。



そこは平坦で、信号もなく、ペースを保つのに丁度よかったからだ。



その日も、私は墓地の横を歩いていた。



お盆が過ぎたばかりの墓地には、まだ新しい卒塔婆そとばがいくつか白く浮き上がっている。



線香の香りが、湿った夜風に混じって漂っていた。


「……2、3、4……」



不意に、墓石の並ぶ暗闇の中から、声が聞こえた気がした。



数を数えるような、低い声。(肝試しでもしてるのか?)私はイヤホンの音量を上げ、足を速めた。関わりたくない。



しかし、その夜から異変が始まった。




ウォーキング中、背中が異様に重くなるのだ。


最初は疲労だと思った。


だが、墓地の横を通過するたびに、まるで濡れた布団を背負わされたように、ズシリと体が沈み込む感覚に襲われる。



そして、耳元のイヤホン越しに、自分の足音とは微妙にズレた、



「ペタ……ペタ……」



という、裸足でアスファルトを叩くような音が聞こえるようになった。




一週間後。


私は墓地コースをやめることにした。


あまりにも体が重く、体調が優れないからだ。


「今日は、国道沿いの明るい道を歩こう」私はルートを変え、


コンビニや街灯の多い道を30分ほど歩いて帰宅した。




家に着き、シャワーを浴びてリビングで寛いでいると、手首につけていたスマートウォッチが振動した。



「本日のワークアウト結果」の通知だ。


私は何気なく画面をタップし、今日のデータを見た。



心拍数、消費カロリー、歩数。そこまではいつも通りだった。


しかし、画面をスクロールして「ルート記録(GPSログ)」の地図を見た瞬間、私は息を呑んだ。



今日のルートは、確かに「国道沿い」を示していた。



赤い線が、私の歩いた道をなぞっている。


だが、その赤い線に寄り添うように、


もう一本、「青い線」が、地図上に表示されていた。




その「青い線」のスタート地点は、「あの墓地」だった。



青い線は、墓地から一直線に伸び、私がルートを変更した地点で私の赤い線と合流している。




そして、そこからは、私の赤い線と完全に重なって、今、私がいる、この自宅のマンションまで続いていた。



(なんだこれ……バグか?誰かのログと混線したのか?)




背筋が凍るのを感じながら、私は画面の注釈を読んだ。




そのアプリには、友人やパートナーと一緒に歩いた場合、ログを共有する機能があった。そこには、こう表示されていた。



『パートナー(1名)と一緒にゴールしました』



(パートナー?俺は一人だぞ!)



その時。



リビングのソファの、私のすぐ隣。



誰もいないはずのクッションが、ゆっくりと、人の重みで沈み込んだ。



そして、耳元で、あの時の「数を数える声」が、はっきりと聞こえた。



「……2万、150歩。……ツカレタ……」



スマートウォッチの画面で、「青い線」のアイコンが、現在地(私の部屋)で、「休憩中」のステータスに変わった。

夜歩くの怖いとつくづく思ってしまいます。


街灯がもう少しあれば、、、まだ怖くないのかな?

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