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夜のコンビニと君のブラックコーヒー  作者: アキラ・ナルセ
第11章 衝撃のホワイトデー編

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第103.5話 やっぱりここ


「ありがとうございました。またお越しください」


 夜。


 期末テストが終わり、俺は久しぶりに青いエプロンを身につけて、レジに立っていた。


 ~♪


 自動ドアが開閉するたびに流れるこの軽快なBGM。

 毎日のように聞いていたはずなのに、少し間が空いただけで、なんだか懐かしく感じるものなのだ。


(……やっぱり、ここは落ち着くな)


「やーっぱり吉野くんが居てくれると助かっちゃうわ!」


 そう声をかけてきたのは、パート兼主婦の柳さんだった。


「そう言ってくださると、俺も嬉しいですよ」


「テストはどうだったの? いつも大変そうだったけど」


「まあ……ぼちぼちって感じですかね」


 曖昧に笑って返した、そのタイミングだった。


「謙遜だよ!」


 ひょい、とバックヤードから顔を出したのは店長だ。


「柳さん、吉野くんは今回、学年一位だってさ!!」


「えっ!?」


 柳さんが目を丸くする。


「そ、そうなの!? おめでとう吉野くん!」


「学年トップの学生が、うちの店から出るなんてねぇ!」


「い、いや……ここ、塾じゃないですから……」


 思わず苦笑いしながら返すと、柳さんは楽しそうに手を叩いた。


「それでもすごいことよ。あれだけ頑張ってたんだもの」


「ですね。努力はちゃんと結果に出るってことだよね」


 店長がそう言って、にこりと笑う。


 照れくさい。

 でも――悪い気はしなかった。


(……認められるのって、こんな感じなんだな)


 レジの前に、また次のお客さんが並ぶ。


「いらっしゃいませー」



 * * *



 時刻は二十一時を少し過ぎた頃。


(おっと……もうこんな時間か)


 久しぶりの立ち仕事。

 背中と腰に、じわりとした疲労が溜まり始めていた、その時――


 ~♪


「いらっしゃいませー」


 自動ドアの音に反応して、視線を向ける。


 そこにいたのは――

 “もう一つの久しぶり”だった。


 グレーのスウェットに、白いスニーカー。

 耳にイヤホン、ラフにほどかれた髪。


 昼間とは少しだけ違う、けれどもう見慣れた姿。


「大河くん」


 少しだけ控えめに、俺の名前を呼ぶ声。


「桜井さん」


 この時間、この場所で。

 こうして彼女と顔を合わせるのは、なんだか不思議な感じがした。


(ああ……戻ってきたな)


 このコンビニの夜。

 

 そして――彼女のいる風景。


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