第2章:変容
最初の変化は、4月のある火曜日に訪れた。素数が予測可能な数列の中に突然現れるように、正確で予期せぬものだった。エマは目覚めると、シーツに小さな赤い染みを見つけた。彼女の同意も理解もないまま、彼女の身体は生物学的なアルゴリズムを始動させていた。
母親はよごれたシーツを優しく効率的に処理したが、エマは自分の身体による根本的な裏切りに対して、科学的な理解だけでは自分を納得させることはできなかった。これは肉体によるカオス理論だった――小さな変化が予測不可能な変容へと連鎖していく。
「これは自然なことよ」と母親は断言したが、エマは自然の最も深い法則を長年研究してきた人間として、この混乱を単なる自然現象として受け入れることはできなかった。自然現象は予測可能な規則に従い、優美な方程式で描写することができる。これはむしろ数学的原理の侵害、彼女の整然とした世界の崩壊のように感じられた。
変化は指数関数的な効率で加速していった。直線だった場所に曲線が現れ、彼女の形の整然とした幾何学を乱していった。さらに悪いことに、これらの変化は他者、特に増加の一途をたどる男性からのいやらしい視線という反応を引き起こした。
大学の上級物理学クラスで、それまで彼女を純粋な知性として扱っていたチェン教授は、彼女が質問すると言葉につまるようになった。彼は明らかにエマの豊かになった胸を見ていた。
方程式は同じままだった――知識を求めて明快さを追求するエマ――だが、社会的な変数が彼女を次第に不快にさせる方向へとシフトしていった。
「エマ、君は美しい女性になってきているね」
ある朝、父親が保護者としての懸念を含んだ声で言った。エマは美は主観的なもので、数学的現実に基づかない文化的構築物だと論じたかったが、変化していく自分の姿という経験的証拠を否定することはできなかった。
鏡は魅惑であり敵となった。エマは科学的研究に向けるのと同じ分析的な精密さで自分の変容を観察し、まだ十分に解釈できないグラフのデータポイントのように、それぞれの変化を記録していった。鏡に映る少女は次第によそよそしく感じられ、彼女の顔を借りているが、制御不能な力によって形作られた他人のように感じられた。
彼女はよりゆったりとした服を着るようになった。まるで余分な布地で発達の方程式が自分の身体に書き込んでいくのを打ち消せるかのように。
しかし、いかなる隠蔽工作をもってしても、根本的な真実を自分自身から隠すことはできなかった。彼女は何か新しいものになりつつあった。子供時代の確実性と、確信が持てない大人の世界との、不快な空間に存在するものに。
特にわいせつな視線が最悪だった――彼女のパターン認識能力が無視できない、男性の行動における微妙な変化。かつては彼女の知性しか見ていなかった教授からの、長引く視線。彼女が通り過ぎると会話を止め、彼女の知的能力とは無関係な意図を持って目で追う大学生たちのグループ。
エマは研究に向けるのと同じ精密さでこれらの視線を分類し始めた。評価的な視線(年配の学者に多い)、捕食者的な視線(主に若い学生に見られる)、そして最悪なことに、彼女の発達する女性らしさに比例してIQポイントを差し引いていくような軽蔑的な視線があった。
「彼らにあなたを矮小化させてはダメよ」と母親は、娘の増大する不快感を見て助言した。
「あなたの心は、あなただけのものなのだから」
しかし、本当にそうだろうか? エマにはもはやそれほど確信が持てなかった。かつては水晶のように澄んでいた思考が、今では定量化できないホルモンと感情によって曇っているように思えた。かつては喜びしかもたらさなかった数学的証明に涙を流し、完全に論理的な議論に不合理な怒りを感じ、測定可能な何物とも相関関係のない、説明のつかない幸福の瞬間を経験するようになった。
エマは浴室に立ち、蒸気の晴れた鏡に映る自分自身を、実験対象として観察した。163センチの身長に対して、体重は過去3ヶ月で2.3キロ増加。骨格に対する脂肪と筋肉の比率が、思春期特有のパターンで変化していた。脂肪のついた身体は穏やかな丸みを帯びていた。彼女は冷静な目で、自分の体の変化を記録していく。
「変数が多すぎる」
彼女は小声で呟いた。乳房の膨らみを測定し、左右の非対称性をノートに記録する。生物学的な成長曲線に従っているとはいえ、この変化の予測不可能性が彼女を苛立たせた。
最も気になるのは、28日周期で訪れる生理現象だった。エマは壁に貼った周期表を見つめる。そこには過去6ヶ月分の基礎体温のグラフが記録され、ホルモン変動の波が美しい正弦曲線を描いていた。しかし、その美しさは彼女を慰めるどころか、逆に苛立たせた。
「なぜ私の思考までもが、この波に支配されなければならないの?」
彼女は先週の出来事を思い出して顔をしかめた。複素関数の講義中、突然涙が溢れ出して教室を退出せざるを得なかった。月経前症候群による感情の起伏。それは予測可能でありながら、制御不能な変数だった。
鏡に映る胸と腰のラインを、エマは幾何学的な目で分析する。黄金比に近づきつつあるその曲線は、雄を誘引するための生物学的アルゴリズムの結果に過ぎない。しかし、その認識は彼女を落ち着かせるどころか、さらなる不安を掻き立てた。
「私の脳も、結局はこの肉体と同じ有機物の塊なのか?」
彼女は自分の前頭葉に触れる。数式を操り、量子力学を理解し、純粋な論理の美しさに感動するその知性でさえ、結局は電気信号とホルモンの相互作用の産物なのだ。
カレンダーを見ると、あと4日で次の周期が始まる。すでに彼女は、集中力の低下を感じ始めていた。
「完璧な論理的思考が可能な期間が、どんどん短くなっている」
エマは額を鏡に押し付けた。冷たいガラスの感触が、彼女の混乱した思考を少しだけ整理する助けとなる。
月経周期による知性の変動を示すグラフを、彼女は何度も描いてきた。そこには明確なパターンがあった。排卵期前後の2週間は、彼女の数学的直感が最も鋭く、論理的思考が最も明晰だった。しかし、その後の2週間は次第に感情が論理を覆い始め、そして月経期には、彼女の知性は混濁した沼のように濁るのだ。
「これが、女性であることの代償なの?」
彼女は自分の反射像に問いかける。返答はない。ただ、鏡に映る少女の瞳が、怒りと諦めの入り混じった感情を湛えているのが見えた。エマは化学式を書き出し始める。エストロゲンとプロゲステロンの分子構造。これらの単純な化合物が、どうして彼女の精密な思考エンジンをこれほどまでに攪乱できるのか。
湿った髪から一滴の水が首筋を伝い落ちる。その感覚に、彼女は思わず身震いした。以前の彼女なら、こんな些細な身体感覚に意識を奪われることはなかったはずだ。今の彼女は、自分の肉体に対して過敏になりすぎている。
それは彼女の誇りを深く傷つけた。純粋な理性の園から追放され、感情と本能の迷宮に投げ込まれたような喪失感。エマは深いため息をつき、最後にもう一度自分の姿を観察する。
「これが新しい方程式なのね。解きたくもない問題だけれども……解かなければならない」
彼女はノートを閉じ、ペンを置いた。明日からは新しい周期が始まる。そして彼女は、また一ヶ月の戦いに向き合わなければならない。理性と感情、論理と本能、数学と生物学の、終わりなき綱引きの中で。