身を捧げた華
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
献花 という言葉の意味を知って、ボロボロ泣きました。
故人に向けた花なんですね。
先日は潔癖で崇高な場所で、ステンドグラスを拝見させて戴いたのです。螺旋階段の頂上の壁一面に貼られた聖書の一場面。それは血の凍る程に美しく、見惚れる程に惹き付けられました。
ええけれども、それと同時にこうも思ったので御座います。長らくこの場所に居るべきではないと。時折羽休めに訪れる事はあっても、身を捧げるべきでは無いと。それはきっと、神父様、信者様がどれ程私を歓迎なさっても、変わらぬ事実だと存じます。
ですから、ですから……私が心の底から愛すべき場所へ、帰るべき場所へ、本日は巡礼を行いたいと思うのです。
梅が花弁を萎ませて、より赤く染まる頃には、一月までに及ぶ御祭の期間は也を潜めておりました。今はただ日常の安からさだけが静かに流れております。
多くの方が舞う様を見るのも、賑やかな会話に耳を方向けながら列に並ぶのも大好きです。でもそれは、この穏やかな日常があるからだとも思うのです。
変わりゆく季節を楽しみながら、ふらりと境内に脚を踏み入れた時の事で御座います。人目を行く、二本の花木が目に入りました。
一つは薄桃色、もう一つは白色。何方も薔薇のように花弁を幾重にも重ねて、花束のように咲き誇っておりました。この時期にも、変わらず春をお届けする心意気に目を奪われながらも、その送り場所に息を呑んだのです。それはこのお社の総本社。主様が最期に眠りに着いた場所。
ふと、お隣から強く香る花の香り。隣を振り返ると、黒袴を着込んだ主様が静かに梅の花を眺めておりました。
「紅梅……」
梅香の君はしっとりと耳に染み入る蜜のような声で囁かれ、その贈られた花々をただ悲しげに、しかし満ち足りた様子でご覧になります。
「君は私が亡き後も傍に居てくれた。都を離れた後も、またこの場所に戻った時も。必ず……。そしてそれは今も続いている。……んっ」
ただ瞑想する貴方様のお邪魔になる訳には参りません。静かに存在を消そうとしたときで御座います。ふと、その切れ長の目が私を捉えました。
「……っふふ。こんにちは、渡。八百万の理とは異なる神様の庭はどうだったかな? 」
「美しい光景でした。けれども……あの場所は止まり木であっても、帰る場所では御座いません」
八百万の神々や仏様のいらっしゃる神社仏閣こそが、私の帰る場所で御座います。
「……私に仕える精の様な事を言うね。」
そう仰って、暫く私と梅の木を交互にご覧になっておりました。その目の優しさと申し上げましたら、筆舌に尽くし難く。
ちなみに本日はデータ飛びませんでした。
叱られた説が濃厚になってきたので、やはり善処致します。
教会は好きなんですが、少し苦手です。
潔癖で高潔な雰囲気故に、部外者だと知らされる気がして。
だから戻りました。
若しかしたら、神社仏閣も同じような感じになるかも知らないと思いました。杞憂でした。
実家のような安心感とはこの事。
『実家最高』と叫んだ事は忘れません。
そこで、献花見たんです。
故人に捧げる花の事を献花って言うんですが、その送り場所。
梅香の君のモデルの方の最期の場所なんです。
あるじ追い掛けて飛んで、またこの場所に戻って来たんだと思うと、感情ぐちゃぐちゃになりました。
渡は色んなところ行きますし、神社仏閣以外の場所にも綺麗故に脚を運びます。
でも多分、何処へ居ても此処に帰ってくると思うんですよ。
その様が自分の子供のような精に重なった話。
松と桜も一緒に居たら、もう動けませんでした。
追伸
此処で 紅梅 という精霊について。
史実に軽く触れながらお話でも。
三精霊のうちの一人。
生前からずっと梅香の君を慕っていた精霊。
梅香の君が都を離れる時の言葉を聞いて、都から追い掛けてきた。
オタクに分かりやすく、平たく言うなら最古参の強火。
恋慕に限りなく近い敬愛を持っていそうだなと。
梅香の君に対する覚悟はガン決まりだし、死ねと仰るなら、恍惚とした顔で、その場で散りそうな気がします。
まぁ、我が子同然の紅梅に対して、そんな事は絶対に仰らないと思いますが。
どれ程荒れていても、故郷は絶対に傷付けないところから、同胞に対する愛情は人一倍だと思うので。
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