表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソフトテニス  作者: 山西タツキ
2/55

整理

思い出深い夢を見た所で現実は何も変わらない。

さっきまで感じていた幸福感が幻だった事を知り、怒りはない。

そりゃそうだろうな、と諦めの気持ちが鼻からあった。

とっくに捨てた筈なんだ。

うだうだ考えても仕方が無い。

まだどこか喪失感の残る頭に、笑顔で本物の幸福を送る。

不思議なもので、取っ掛かりさえあれば物事は次に進む。

時刻は午前7時。

最悪なようで、実は全然良い始まりだ。

朝、動けない日もある。

でも今みたいに頭が使えている間は、何ら問題ない。


キッチンに移動し調理を始める。

余っている食材で味噌汁を作った。

半分は昼用に残しておく。

ラーメン用のお椀に具沢山で注いで、ソファベッドに腰をつく。

ワンルームで冷蔵庫の音と、窓の外では鳩が跳ねをバタつかせる音が聞こえている。

朝日に暗さは無い。

良い天気に成るだろう。

のどかな時間を感じながら、考え事を始めた。

いちばん大事なことは問題解決。

さっき見た夢、それによって感じた事を整理し、自分の考えを固めることだ。

その為には、経緯を思い出そう。

半年前まで、ソフトテニスサークルを転々としていた。

18の頃、高校を卒業して、しばらく離れていたのだが、2年ぶりにしたく成って、社会人サークルに参加した。

数度打てば、すぐにある程度の感覚が戻った。

やっぱり好きだと感じた。

球を弾く感覚も、球筋を読む集中も。

相手がいて、乱打をするだけでも楽しい、と本気で思えた。

何度か通っていたら、社会人の大会への参加を勧められた。

自分がどれだけ通用するのか試したく成った。

もしかしたら、今からでも結果さえ残せれば、高い位置に行けるのではないか?

そんな希望を抱いてしまった。

出会って2ヶ月程度の後衛と組むことに成った。

上手いとは言えないが、乱打を見る限り、ストロークやロブは普通に出来る。

彼が繋いで、俺がちゃんと決めさえすれば、十分戦えると思った。

大会当日。

コンディションは万全だった。

しっかりとした時間に寝て起きて、軽い朝食も摂った。

朝食から時間も空いている、眠気も一切ない。

学生の時は、興奮して寝られなかったり、勝てなく成ってからは、何となく寝る気に成れなかったりがほとんどだった。

今、この状態で試合をしたら、自分はどこまで行けるのか、楽しみでもあった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ