裏切
店の受付には兄が座っていた。どうだった?って聞く兄に俺は「久しぶりに来たから楽しかったよ、ありがとう。」
おう、と答える兄と店を出て家に向かって車を出す。
俺は彼女の甘い香水の匂いを思い出しながら助手席に座っているといつの間にか家に着いていた。
兄は自分の経験を語っていたがとてもどうでもよく相槌は打っていたが9割は聞いては無かった。
家に着くと兄の子供達が俺に向かってお土産ある?と聞いてきた。 そう兄には5人の子供がいた、ほとんどが年子で長女だけ奥さんの連れ子だ。
俺は子供に向かって兄貴がアイス買ってるから食べやぁ。
とだけいい自分の部屋に入り、俺は彼女の連絡先の事を思い出してすぐに連絡を取った。
今忙しい?今日はありがとうございました。いい1日になりました!とメールを送る。
彼女はやはり忙しそうにしていた。俺は彼女の事を思い出しながら深い眠りについた。
辺りが暗く、物音すらしない夜中に肩を叩く感触がする。
俺は疲れていて眠りを邪魔するのがとても嫌で触られている方を見たら兄の嫁さんが座っていた。
俺はびっくりして何してるんすか?と聞いたら嫁さんは
スマートフォンを俺に見せて言う
「何これ?説明して?」と俺は画面が明るすぎてぼやけてあまり見れなかったが内容はすぐに分かった。
それは風俗のホームページで兄は履歴を消すのを忘れてしまったらしい。
俺はそれを見て「知らんよ、兄貴に聞いてよ」と言うと
「あんたも同じこと言うんだね。最低」と肩を加減なく叩いて泣きながら部屋を出ていく嫁さんを見て眠気が覚めた。
俺も部屋を出ると正面に兄貴が立っていた。
兄と顔を合わせると困った顔をしながら苦笑いをし俺に
「バレたわ、俺に任せろ!お前は黙ってるだけでいいから何もすんな」と俺に格好つけたが俺は関係なくないか?と思いながら兄と嫁さんのところに緊張しながら階段を昇っていった。
部屋の電気をつけると誰もいなく子供だけが寝ていた、
電気を消し部屋を出るとクローゼットから鼻を啜る音が聞こえるくる。
クローゼットを開けるとそこには俺たちを他人のように見る嫁さんが泣き崩れていた。
兄は必死に謝っていた、俺も申し訳ない事をしたと思っていないが謝った。
そうしたら嫁さんは「何で裏切られないといけないの?」と声を震わせながら言った。
そうしたら兄がとんでもない事を口にし、俺は立場が無くなった。
「こいつがお前の下着を見て興奮するとか言うから
俺は止めてたけど何するかわからなかったから連れて行ったんだ。勘違いしないでほしい。なぁお前から説明しろ。」
俺はこれを聞いてこいつは正気じゃないと思った。
自分の罪を逃れる為に弟を奈落に落として何が楽しい。
俺はこの一件から兄の事を兄とは思わず並びに子供達嫁さんも好きではなくなった。
俺は嫁さんに問い詰められ言いたくもない言葉を口にした。
兄の言う通りです。申し訳ありませんでした。
嫁さんは俺の事を蔑み罵ってスッキリしたのか兄と部屋に戻った。
俺は嫁さんに本当の事を言いたかったが子供の顔が頭に駆け巡りどうする事も出来なかった。
俺は自分の部屋に戻りながら俺が何をした、悪い事をしたのか?やっぱり最初からこれが目的だったのか?
嵌められたのかと絶望とこれからどうやって生活すればいい?と考え眠れなかった、その時携帯から着信音が部屋に響いたがそれどころじゃない俺は無視して部屋の隅っこで頭を抱えながら絶望していた。
この一件から俺は家の中で空気と変わらない存在になり飯も風呂もトイレも全員が寝た時にするようにしていた。
そして冬のボーナス月に俺は家を飛び出し家から離れた漫画喫茶に入った。