19-1 三人称・足利義輝の文で、世界は揺れるのか?
「なぜだ! なぜ私を祭事に呼ばない! 外海の者どころか、三好すら呼んだくせに! なぜ!!」
「朝廷は、征夷大将軍を軽んじているのか!!」
さて、茶器の売り上げで祭事復活。からの、九州~堺における、一大勢力出現のおり。
朝廷が武士の長である自分をないがしろにし、外海から来たものたちを頼りにし始めたことに、激怒した足利義輝は。
「許せぬ! こうなれば、全国に手紙を届け! 外海の者どもと三好を討つのだ!! 足利の威光を見せてやる!!」
檄文を和の国中に、送り付けたのである。
こうして、和の国に激震が流れ……。
なかったのであった!!!
あれ?
「いや、外海の者には謎の地方病を根絶してもらった上に、銭になる果実とワインなる酒の作り方。さらには、からくり道具による時代劇なる物を作ったりで、甲斐に金を落し。皆が前より裕福に暮らせておるのだぞ。それを討てとは……話にならぬ」
甲斐の国の大名。武田信玄(虎族)は、そう言って手紙を燃やした。
この虎族の住む甲斐の国は、伝次郎たちの説得で、今は全員がプレイヤーの味方になっている。
そして、これまでにプレイヤーがしてくれた事……病の根絶や、果樹の育て方。
からくり道具による風呂屋作りや、涼しい風がでる『扇風機』『エアコン』。
食料を冷やして長持ちさせる『冷蔵庫』。
それを用いて食べれる『アイスクリーム』などを知ったら、伝次郎たちを討てるわけがない。
(というか、今の甲斐の国では、伝次郎たちによう茶器による稼ぎで、国が一気に潤ったからな。ここは内政に専念したいのが本音じゃ)
少なくとも今は、京にはいかん。伝次郎たちも、『関東や中部地方の大名が仲間になるまで、待ってほしい』と話していたしな。動かん方がいい。
そう結論付けた信玄は、『手紙はこなかったことにしろ。使者が来たら殺せ』っと、家臣たちに厳命。
それに一つも反対意見が出ないどころか、皆がノリノリな時点で。
義輝の言う足利の威光は、甲斐には届いていなかった。
「……は? 軍勢を上げて、京に入り。京、堺、中国地方、四国、九州の外海の物を討て……??? は?
なーに言ってんだ。こいつ」
駿河の国の大名・今川義元は、心底呆れかえった声を出し。
将軍からの文を、ぐしゃぐしゃに丸めて捨てた。
確かに、今川は足利一門である。将軍が動けといえば、動く義理はあるのだ。
しかし!
「そんなことより! 今はアイドル!! 今川からくり・アイドル・ランドの経営に! 姫乃たちのウイニング・ショーをプロデュース!! 新アイドルの発掘に、アトラクションのアイデア! 料理の研究!! やることは、山ほどあるぞぉぉお!!!」
「戦などしとる場合かァァあ!! アイドルを、世に広めるのじゃァァあ!!!」
「「「「「『『『『『イエーーー!!!』』』』』」」」」」
今川義元に、戦の事など全くなかったのであった。
実は、数日前。
駿河の国に、Vチューバー・アイドルの姫乃、綾香、三奈たちが来て、盛り上がり!
*シーズン3開始前に、三国ファンタジア所属Vチューバー! ファンタジア・ライバーズとなって、デビューした。
「今は戦より内政! 交易! 売れるもの作って稼いで、推しに貢のじゃあああ!!!」
「「「「「うおおお!!!」」」」
「茶器を買って、茶道! 推しのグッズで! 推しと交流できるぞぉぉお!!!」
「「「「うおおお!!!」」」」
義元は、ファンになったのである!!!
しかも、戦より内政をして稼ぎ! 姫乃たちに貢ぐ!
内政大名ファンになったのだ!!!
これには、『関東の大部分が味方になっているプレイヤーと、戦をせずに済む』っと、寿桂尼などの上層部が、ほっとしたらしい。
そして。
「うおおお~~~♡♡♡!!! お茶! 茶器! 最高じゃのおおお~~~!!! おっほおおお~~~!!!」
今川は、茶器と茶道にハマり!
『今川からくり・アイドル・ランド』が爆誕したのだ!!!
……だいたい、金を持ちまくったプレイヤーたちの遊び(ワルノリ)である。
しかし。
これが思いもよらぬ効果を発揮する!!!
「おお! ここが、今川からくり・アイドル・ランド!」
「一生に一度は来た方がいい場所! アイドルの聖地じゃ!!」
「いやァ! 九州から来てよかった! こんな素晴らしいのは見たことない!!」
「堺から来たが凄い!! 皆が勧めるのがよくわかる!!」
「越後から来たが、驚いた!! こりゃすっげえぞォ!!! えええ!!!」
そう! 今川どころか、近隣の民!
北条から、上杉! 果ては、九州の民にまで!
今川からくり・アイドル・ランドが、大流行り!!
バズリ申したのである!!!
この原因は、からくりアトラクションが面白く! 料理や土産も美味で! ショーもよかった上に!
アイドル達が侍・忍者・陰陽師となって、領地を発展させて、モンスター狩り! レベルアップしながら、バトロワし! 勝てばウイニング・ショーをする!
そんな、からくり内政&からくりバトル&からくりショーの、からくり・アイドル・バトルが!
国民の心をつかんだのだ!!!
これによって、駿河の国の内政はガンガン進み! めちゃくちゃに栄え!
同時に、からくり・アイドル・ランドも大流行り!!!
今川の長である義元が先陣を切って、運営し! 息子の氏政も、和の国・アイドル・プロデュース計画を実行して、新たなアイドルを生み出すなど! めっちゃ忙しくているのである。
そんな時に、将軍に呼び出されて西日本と戦してる余裕などなかった。
レッスンと入場料とファンサービスとショーの内容を考え、感動するほどの料理とデザートを試食し、新たな娯楽を考える。そっちの方が、戦より忙しいのである。マジで。
っと、そうやって!
東海道一の弓取りが、本気で舵取りをしている遊園地が、有名にならないわけがなく!!
「ここが、かの有名な今川からくり・アイドル・ランド、であるか」
「そうです、のぶ……吉法師様。しかし、何ゆえここに?」
「……流行りも知らぬようでは、世に置いて行かれるわ」
「ああ、なるほど」
「……」
(……将軍からの手紙で、義元はこれ幸いと上洛すると思いきや。兵を全く動かさず、このアイドル・ランド? とやらに専念しているという)
(上洛すれば、尾張は通り道。戦となる。本当に上洛する気があるのか。ないのか。奴が本腰を入れている、この場所を見て確かめねばなるまい)
(上洛をする気なら、遊戯には手を抜き、兵には殺気があろう。上洛をする気がないなら、遊戯にも本気があり。兵には、殺気がないはず)
(それを確かめるぞ、義元!!!)
「いくぞ」
「あ、はい! 皆の衆! 行くぞ! しかし、バレるなよ!」
「「「「「御意!」」」」」
流行り者好きの織田信長が、お供を連れて!
今川からくり・アイドル・ランドに、来場するのは! ある種当然のことであり!
そして!
「!!! うおおお!!! すごい! 激しい! 早い! 急旋回!! おお! 急上昇! 急降下! あああ~~~!!! 景色綺麗ぇぇえ!!! 風すっげぇぇえ!!!」
「うおおお!!!」
「おおお!!!」
「ヒューーー!!!」
「物語見ながら、急展開!! 落ちて風が気持ち良い! 景色がいい! おお! 水が気持ち良い~~~♡♡♡!!! んっほおおお~~~!!!」
「「「「「こんなの初めて! すっげ! ウイーーー!!!」」」」」
無事、絶叫系やストーリー系アトラクションにドはまりし!
「!? な、なんだこの音楽は!?」
「凄いノリノリ! 楽しい! 激しい! うおおお~~~!!!」
「体の芯まで痺れる演奏! 魂が踊る曲想! やっべえええ!!!」
「であるなァァあ!!! この曲で、敦盛決めるぞぉぉお!!! それぇぇえ!!!」
「「「「「イエーーー!!!」」」」
ヒダールとブレーメンの音楽隊も制作にかかわったアイドル・ソングや! グッズに夢中!
「!!! !!! !!!(バクバクバク!!!)」
「うまいうまい! うまいいい!!!」
「スパゲッティ! ピザ! ハンバーグ! ステーキ! 外海の料理! うっまあああ~~~!!!」
「寿司! 蕎麦! すき焼き! 鳥南蛮も最高!! しかし、この『うな重』というのが一番美味いぞぉぉお!!! おおお!!!」
「「「「「お代わりィィい!!! ヒューーー!!!」」」」」
料理をバク食いし、お土産を買いまくり!!
「何? プレイヤーというのの仲間になれば、尾張にもアイドル・ランドを作れる!? よし、分かった! 仲間となろう!! 故に、頼むぞ!! はっはっは!!!」
「「「「「大賛成!! うおおお!!!」」」」」
プレイヤーの仲間&アイドル・ファンとなったのも、ある意味当然であった!!!
……ちなみに、今川・からくりアイドル・ランドでは、普通にユーザーも配信しているのだが。
この時、信長一行のリアクションを見て、再生数爆上げ!!
うむ。普段から、和風! からくり! チャンバラ! 忍者! ってことで、めちゃくちゃ再生数が、倍率ドン! 更に倍で回り! 嬉しい悲鳴のユーザーが、多数爆誕!!!
この経験からか、小田原や、堺に京都。九州・四国にも同じような、からくり・アイドル・ランドが誕生し!
からくり・アイドル・グッズ茶器も爆誕!!
和の国全体で、からくり・アイドル・ランドが、一台ムーブメントになったのである!!!
そう言った経緯で、織田、今川、武田、北条は、無事にアイドルと遊園地にハマり! フィーバー!!!
将軍の手紙が来ても、無視するほど!!
アイドルと、茶器! 遊園地を、決めたのであった!!!
ええ(困惑)。
……しかし。
「戦だと! おお! おお! おおおお~~~!!!」
何物にも例外はある。
極寒の、越後の地!
そこに、アイドルと遊園地に、茶器も好きだが!
それと同じくらい! 戦を愛する男がいた!!
そう!
「やろう! 戦! 攻めよう西日本!! 我に続けぇ!!
毘 沙 門 天 の、 加 護 ぞ あ る !!!」
『『『『『「「「「「おおおお!!!」」」」」』』』』』
彼こそが、上杉の暴れ龍!!
上杉謙信(龍族)である!!!