17-6 Side・呪術者の反英雄、不死身のヒダール! 薩摩に行く!!
「あれが、和の国! 日ノ本の! 薩摩ァでごわす!!」
「おー! 薩摩!」
「あれが!」
「結構港栄えとるな」
「へーーー!!!」
「「「「「『『『『うおおお!!!』』』』」」」」」
秋の強い風を帆に受けて、大海原を進む。我ら、不死身の海賊団。
シャンデリア大陸や、その南の海では、大悪党として名が通っている俺たちは。今、東に東に進み!
この薩摩の地へと、降り立ったのであった。
うむ。薩摩である。
シーズン4開始のアナウンスを受け、リオン達と一緒に武士を探したところ、見つけた鬼侍。
体がデカく、頭に角が生えた、五右衛門となのる鬼侍は、薩摩からきていたようで。俺達は、薩摩に来たのだ。
しかし、彼を見た時から思っていたが、おそらく酒呑童子がいそうな気がするな。
まァ、出会った鬼侍・五右衛門は『和の国には、人族、龍族、虎族、獅子族、鬼族などがおる』と言っていたので、他の鬼族の可能性もあるが。
それでも、なにかある。
そう思わせるワクワク感が、この薩摩にはあるね! ええ!
「こちらでごわす」
「はーい!」
「馬で移動するのね。よっと」
「馬はシャンデリア大陸の馬と、あんまり変わらないわね! 乗りやすい!」
「よっと!」
「鞍持って来ててよかったぜ!」
「どうどう!」
「ひひーん!!」
そう考えながら、俺たちは海賊船団を港に泊め! 馬に乗って、移動する。
先頭を走る五右衛門の案内の元。浜から、田畑が一望できる、牧歌的な農道を走るのは気持ちがいい。
しかし。
『『『『『「「「「「!!! シャァァあ!!!」」」」」』』』』』
「!! 止まれ! 農作物モンスターぞ! 殺して収穫ばする!」
モンスターは襲ってくる!
しかも、普通のモンスターじゃない! 田畑から出てきた、野菜、芋などの! 農作物に手足が生え、鎌や鍬を持った! 武装農作物モンスターだ!
流石は薩摩。収穫期でも戦闘らしい。すごい!!
「じゃあ、ぶっ飛ばすか! それ!!」
「斬撃音波ァァあ!!! ~~~♪♪♪」
――斬斬斬!!!
「「「「「!!! ぐえええ!!!」」」」」
絡新婦型・鎌ギターをかき鳴らし! 敵を切り刻みながら!!
呪いを拡散! ヒューーー!!!
こうして、自分に一撃の刀を刺し!
「呪ィィい~~~!!!」
「「「「「『『『『『!!! ぎえええ!!!』』』』』」」」」
大量呪殺だァ!!
やっぱこれだぜぇ! ああ、気持ち良い~~~♡♡♡!!! へへへ!!!
「しゃあ! ロケラン祭り!! ぶっとべぇぇえ!!! イエーーー!!!」
――ドガガガ!!! ドドドド!!!
「「「「「『『『『『!!! ぐわあああ!!!』』』』』」」」」」
お、この爆撃は、リオンか。
ああ、リオンは得意のロケランで、大勢の農作物モンスターをぶっ飛ばし!
「行く! はァァあ!!!」
続いて、悪魔娘の黒髪ピッキーが、その長身を生かして突撃!
全身から炎を出す火炎放射に、尻尾のフルスイング!!
モンスターから鎌や鍬での攻撃を受けても、鱗のあるボン! キュッ! ボン! な、ダイナマイト・ボディは傷一つなく! むしろ、モンスターどもを跳ね返し!
そうして、無防備なモンスターどもに! リオンの課金で装備させた、二本の斧をたたきつけ!!
粉砕! 撃砕! 大殺戮!!!
敵をパワフルに、切り刻みだァァあ!!!
かっけぇぇえ!!!
「行くわよ! 診察! 見えた! 瞬殺ステップ! 乱れ斬り! っはァ!!」
「「「「「!? ぐわあああ!!!」」」」」
キャミーも、大活躍! 医者の称号を活かした、診察で! モンスターの弱点を看破したら!
盗賊技・『瞬殺ステップ』で、風のように敵の間を通り過ぎ! ナイフと蛇腹剣で、斬りまくり!!
攻撃受けたモンスターが、一撃で死にまくりだ!!!
あれは、医者スキルの手術使ってるな。クリティカル出やすくなるからね。そりゃ使うわ。ええ
っで、そんな彼女に怒った、武装農作物モンスターは! 反撃しようと、武器を振るったが、しかし!
その手に武器はなく! それどころか、体が切り裂かれ、爆破され! 一気にモンスター! 死亡!!!
『『『『『「「「「「ぎゃあああ!!!」」」」」』』』』』
「おっそいわね。あんたら。武器も悪いし。外れ外れ」
ああ、これはキャミーの悪魔娘! 盗んだ武器を見て、呆れかえってる『ハイエナのエイナ』の攻撃だ!!
武器を盗むついでに、斬撃と爆破魔法を仕込んだらしい。
しかも、診察と手術で一撃必殺だ!
やっぱ、キャミー&エイナに、医者のスキルはヤバイ!
そう確信できる、蹂躙劇だった!!
南無三!!!
「診察! 魔法調合! 食らえ!」
「ブリザード・キャノン! はァァあ!!!」
――ドッガァァァ!!! カッキィィィンンン!!!
「「「「「『『『『『!? ぎゃあああ!!!』』』』』」」」」」
そして、アスナも無双してるな!
うん! 医者の診察で、弱点を見抜き! 調合で、弱点になる魔法を調合!
全ての田畑に叩き込んで、爆撃し! 氷結させながら!!
「行くよ! バトバト!」
「OK! それ! 悪魔合体!!!」
「「破滅のブレス! はァァあ~~~♪♪♪」」
『『『『『「「「「「!!! ほっげえええ!!!」」」」」』』』』』
悪魔娘・バトバトと、合体!!
吸血鬼になって、氷漬けの武装農作物モンスターどもに、超音波を叩き込み!
爆破で、ドッカン! 皆殺し!!!
農作物モンスターを、壊滅させた!!
やるねぇぇえ!!! ウイーーー!!!
「!! つ、強い!」
「逃げろ! かなわない!」
「わあああ!!!」
おっと! あまりの強さに、生き残りが逃げてるぜ!!
だから!
「「「「「逃がすかァァあ!!! 人魚姫・大津波! 波乗り! 電撃打ち込みィィい!!!」」」」」
『『『『『バリア・モンスター! 奴らを殺せ! 俺もやる! オラァァあ!!!』』』』』
――ズガガガガ!!! ドッゴォォォ!!!
「「「「「『『『『『!?!? ぎゃあああ!!!』』』』』」」」」」
中級~下級PKたち! 総突撃で、殺しング!!!
ああ、逃げてるモンスター程殺しやすいものはないからな!!
皆一斉に、人魚姫に大波を出してもらい、波乗り!
その波で殺しながら、モンスターに追いついて! 電撃魔法や電撃射撃! 爆破!
暗殺技や、盗賊技を出して、狩りに狩りまくり!!! ヒューーー!!!
それで、反撃しようものなら! バリア・モンスターたちが横っ面を襲って、殺し!
守れば、電撃&大波に飲み込まれて、即死!
逃げれば、ロケランや黒天殺! 必殺技を撃ち込まれて、大爆殺!!
もはや、八方ふさがり!!
武装農作物モンスターに、生き残る道は! 既になかったのであった。
と、言う訳で!
「いやァ、凄いでごわすな! ここら一体、すべての農作物モンスターが集まっておったが、傷一つなく殲滅するとわ! すごい!! 儂らでも、多分怪我するレベルじゃった! ほんに助かる! ありがとう!」
俺たちは、あっという間に武装農作物モンスターを殺しまわり!
鬼侍の五右衛門でもちょっと引くくらい! 大収穫を決めたのである!
「いえいえ、五右衛門さん。お気遣いなく。これくらいなら肩慣らし程度なので」
「そうだねー。ヒダール! 実際私もピッキーも、全然疲れてないし!」
「まだまだいけるわね!」
「楽勝です!(フンス)」
「俺らもおこぼれ(追撃戦)以外に、正面からしたけど結構いけたな」
「ああ、プレイヤーやPKと比べたら! まだまだぬるいぜ!」
「お代わり希望!」
「アンコール! はい、アンコール!」
「「「「「『『『『『イエーーー!!!』』』』』」」」」」
「お、おお。そうですか……あれ、鬼侍の軍団でも、てこずる量だったんだが、ええ。マジか……」
せやな。俺らを疲れさせたいなら、あの30倍は持ってこい。
「す、すごいですなァ。頼りになりまする(ヒクヒク)。あ、そのお礼なんですが、ちょっとお金は厳しいので。その、今とった作物をいくらかで」
お! いいですね! 助かります!(大商人)
「和の国産だから、そのまま売ってもいいし! 加工してもいいね!」
「ええ、野菜は干してもいいし! ジュレにしてもいいし! 芋も調理できるわ!」
「焼きいも! 干し芋! スイートポテト! 夢が広がるわァ!」
「あと、これらモンスター素材だからな! 薬にもできそう!」
「その可能性はあるな! あとは武器かね」
「酒もええぞ! 芋焼酎や!」
「いいねぇ! カクテルも増える! 商品の幅も広がるよ!」
「「「「「『『『『『稼ぐぞぉぉお!!! うおおお!!!』』』』』」」」」」
流石は、海賊でもあり、大商人でもあるPK達!
稼ぐアイデア・手法が出まくりだ!!
また稼がせてもらおうかねぇ! へへへ!!!
「す、すごいですな。金を稼ぐ手段を、こうも思いつくとわ。やはり、外海の方がは凄い! って、おお! 着き申した! ここが、薩摩城じゃ! はいってたもんせ!」
おや、そうですか。では、失礼します。
うん。デカい城だ。石垣もしっかりしてるし、銃のための小窓もある。
見た感じ、鬼侍が結構な数がいて(五右衛門と挨拶している)、レベルも高そうだ。
戦になれば、頼もしい城・味方といえそうだな。
そう思いながら、城に上がり。
「ねぇ、ヒダール。これって、城主と挨拶する流れ? 今までのクエストでも、招待されたら地方領主とかと挨拶したし」
「まァ、そうだろな。大広間か、客間みたいなところに入るとおもうが」
「へー。そうなんだ。薩摩の城主って誰なの?」
「え、キャミー知らんの?」
「知らないよ。私、日本人じゃないもん」
「あ、そうだったな。イギリス人だっけか」
「そうだよ。ってか、アメリカのファンタジア・エルドーン・ランドで、リアルに遊んだじゃん」
「わりいわりい。翻訳で普通に話せてたから忘れてたわ」
「うん! 許す! っで、誰なの?」
「それ! 私も気になります!」
「アスナもか。えっと、俺の知る戦国知識だと、薩摩は島津四兄弟が治めてて。で、長男の島津義久が、城主。薩摩で一番のトップだったかな」
一応間違いないはず。たぶん。きっと。メイビー。
「へー。そうなんですか。強いんですか?」
「強いぞ。戦国最強の島津家だからな」
「「「「へー!!!」」」
っと、話をしながら進んでいると!
「では、この奥にお入りください。長がおりますんで」
城の、もっと奥へと通されたのだ。
ああ、そうですか。じゃって、……あれ?
今、大広間を過ぎたような……。
どこに行くんだ? 俺達。
そう思いながらも、進むと!
「む!?」
「え!?」
「これは……」
「洞窟?」
そう! そこに広がっていたのは洞窟!
城の奥に洞窟があり! もっと言うと、その奥には!
「皆さんに紹介しもす。こちらが、儂らの影の首領。島津家より上の立場で、九州全土の鬼の頭領! 酒呑童子様でごわす」
『おう~。よう来たのぉぉお!!! がっはっは!!!』
封印されし鬼! 酒呑童子が! いたのサァァあ!!!
うおおお!!! メインの敵! 来たァァあ!!!
「!!! 酒呑童子!!」
「あの、陰陽師・安倍晴明の敵の!」
「うおおお!!! 敵側の重要人物! 来たァァあ!!!」
「「「「「『『『『『フーーー!!!』』』』』」」」」」
――コメント
・うおおお!!! 出たァァあ!!! 酒呑童子だァァあ!!!
・結構デカい体なんだな!!
・デカいヒョウタン持って、酒飲んでる!
・和服も着崩して、かっけぇ!
・二本角で、筋骨隆々で、鬼って感じがすごい!
・ワイルドだなァ!
・かっけえええ!!!
・いいじゃない! こういうのでいいのよ! こういうので!
・ヒューーー!!!
リオンが配信しているのを見たが、コメントも盛り上がってるな。
まァ、気持ちは分かる! 敵側のボス!
つまりは、歴代のビリー、ジョリーと同じ! 俺らの協力者だからね! ええ!
『そうそう。俺は安倍晴明に封印されててな。外に出られんのだ。故に、お前らが暴れてくれ。和の国で暴れるほど、俺の封印は解かれ、出れる!』
『そのための力も与えよう。それ!』
そう言って、酒呑童子の体が光ると!
――酒呑童子から、サブ職! 侍・忍者・陰陽師の力を得ました! 一つ選んでください! 変更はできません!
おお! サブ職!
待ちに待ったの、来たァァあ!!!
「ついに来た!」
「うおおお!!!」
「これよこれ! これが欲しかったの!! おっほおおお~~~!!!」
『『『『『「「「「「イエーーー!!!」」」」」』』』』』
ああ、俺も待ってたよ!!
そして、選ぶのは決まっている!!
「俺は、侍だ!」
「じゃあ、私は陰陽術で! お姉ちゃんは?」
「私は忍者ね! 盗賊的に考えて!」
「なるほど。じゃ、私は侍で! スピード使ってガンガン攻めるわ!!」
俺は侍で、リオンは陰陽師! キャミー忍者で、アスナは侍!!
その他のメンバーもそれぞれ決めて! 全員、決まった。
その時!!
――ドッガァァァンンン!!!
「!? うお!?」
「爆発音!?」
「え、何!?」
凄い爆発音と揺れが起き! 洞窟が揺れ!
『この攻撃。大友か』
――大友家が戦を仕掛けてきました! 迎撃しましょう!!
そう、大友が戦争を吹っ掛けてくる!
戦クエストは始まったのだ!!