11-5 坂本翔平は、Vチューバーたちを救いたい。後半、Vチューバー・赤山姫乃は救われたい
「どうも皆さん。これからよろしくお願いします」
「「「「「『『『『『お願いしまーす』』』』』」」」」」
さて、プレイヤー領地運営の、評価がよかったおかげで!
ユーザーが、34万人から、39万人に増えた! 数日後!
俺は、指定した高級マンションのロビーで、男女数人と話し合いをしていた。
そう。
「では、業務ですが、セキュリティの強化と、ハッキングによる情報収集をメインで」
「分かりました。方法は」
「特に定めないので、やりやすい様にしてください。何かあったら、こっちから話すので」
『『『『『「「「「「おお!」」」」」』』』』』
彼女たちこそが、ホワイトハッカー集団『夜明けの黄金』の紹介で、やってきた!
会社に務めて、稼ぎたい! ホワイトハッカーたちである!!
うむ! 彼らを雇った目的は、IT系やハッキング、セキュリティ系の仕事を任せるため。
具体的には、ファンタジア・エルドーンの防御を高めつつ!
「それで今日の仕事ですが。ゼニゲバの情報をお願いします」
『『『『『「「「「「お任せください!」」」」」』』』』』
そう! 八幡信二の会社! ゼニゲバ! そこにあるヤバイ情報を、抑え!
Vチューバーである、ゼニーズたちを! 助けるためさ!!
ウイーーー!!!
ああ、これが俺からの止め。
奴の会社をぶっ倒し、奴のキャリアをぶっ殺す! フィナーレである!!
実は、あのロード・オブ・軍隊蟻で、株価暴落しててな。
もともと、マジック・キッチン爆死事件で、5000円から、500円に下落してたのが。
今回のロード・オブ・軍隊蟻で、2円に堕ちまくり!
俺は空売りで儲かったが、会社は悲惨。
会社専属Vチューバーである、彼女たちも、苦しい思いをしているのだ。
故に!
「裁判で勝てるように、お願いしますね」
『『『『『「「「「「了解です!!」」」」」』』』』』
ここで、Vチューバーの彼女たちが、ゼニゲバを訴え! 勝てば!
ゼニゲバはもう、金銭的にも、実績的にも、会社を続けられない!!!
すなわち、社長としての八幡信二は、完全に殺せる!!!
奴がどうしても得たくて得た、ゼニゲバの社長という肩書を、殺せるのだ!
その為に! 俺は、ホワイトハッカーの彼らに、依頼して!
給料未払いやパワハラの証拠集めを、させているのである!!!
ヒューーー!!!
「じゃ、あとはクライアントを動かすか。動けば、確実に勝てますよって」
美人を助けて、復讐もできる。最高の仕事だね!
そう思いながら、俺は『はい、帳簿ゲットぉ!』『パワハラの証拠みーっけ!』『あ、この金横領してね? こいつ!』『おいおいセクハラかよ! これは逮捕!!』っと、ジャンジャンデータを抑えている、ホワイトハッカーたちのマンションを後にし!
動き出したのであった!!!
* * *
「は~。これからどうしよう」
そう、私は自室のアパートでため息をつき、沈んでいた。
1週間前に、念願のVチューバーとして、スタートし。これから頑張るぞ! っと思っていた矢先。
ゲーム爆死→配信炎上。
株価もダダ下がって、会社に行っても、炎上中で仕事できないし。
誰も相談に乗ってくれない。
そんな状態が、続いているのである。
「クソゲーを実況して、購買欲を煽った! 詐欺だ! って言われても。私たちも会社から、最初の1時間しかプレイするなって言われて、それに応じただけだもん。ってか、2作目なんか、機械トラブルでゲームの宣伝できなくて、雑談で時間持たせて終わったし。そんなの言われても、困るよぉ」
契約でゲームの批評とか、口コミを調べるなって契約もされてたから。
まさか、クソゲー販売の片棒を担がされていたなんて、思いもよらなかったし。
でも、そういっても信じてもらえないんだよねぇ。はー(溜息)。
っと、泣き言を言ってるが、そんな場合でもない。
うん。このままじゃ稼げないし、好きなゲームも、配信もできない。
生きていけないんだ。
でも、どうすればいいんだろう……。
もう、Vチューバー辞めるしかないのかな?
せっかくなれたのに、やだな……。
と考えてると!
――ピピピ! 電話です! 桃華ママから!
「! 桃華ママ?」
そう、花山桃華さん!
私たちのVを描いてくれて、マジック・キッチンでも一緒に仕事した後、ゼニゲバを首になり。
転職して音信不通になっていた、桃華ママから連絡が来たのです!
何だろう? そう思って、電話に出ると!
「お久しぶりです。姫ちゃん。いきなりで驚いただろうけど、実は仕事について、いろいろと話したい事があるんです!」
「いま私が転職した職場で、姫ちゃんたちがよければ、配信者として働かないかって!」
「新しいVを私が描いて、一からのデビューになるけど。少しでも興味があれば、赤坂の高宮ホテルのレストランで待ってるから。今度の日曜のお昼にでも、昼食がてら話を」
と、言われ!
「行きます! 是非!」
っと、即答!!
もう一度、Vチューバーとしてデビューできる! それを聞いて、断る選択肢はなかった!!
っで!
「うわ、でっか。さすが高級ホテル。このレストランでいいのよね……緊張してきた」
高級ホテルである、高宮ホテル!
そのレストランに行くと!
「!? あれ、ひょっとして……姫乃!?」
「え、あ! 綾香さん! 生きてた! わあああ!!!」
元ゼニーズのメンバー!
美人系Vチューバーで、本人もマジで美女な綾香さんと再会できたんです!!
生きてたァァァ!!!
「ちょ、生きてた! はやめなさいよ!! 人聞き悪い!」
「あ、ごめんなさい! でも、結構ナーバスになってたし、電話もメールも既読つかなかったから! 心配してて!」
「あーそれはごめん。確かに、私が悪いわ。実はさ、あの炎上でちょっとヘラってて、田舎に帰るかどうか思ってたら。マジで親から電話来て、ちょっと荒れてて」
「え、大丈夫だったんですか?!」
「うん。なんとかね。説得というか、喧嘩つーか。まァ、執行猶予付きで、様子見って感じで」
「そうなんですか」
いろいろと大変みたいだ。でも、生きててよかったァ。
綾香さんとは少ない時間で、結構仲良くなったけど。
この人、精神が打たれ強くないんだよなァ。
だから炎上してからは、結構気をもんでたんだけど。無事に再開できて、なによ『!? あ! 姫ちゃん! 綾香さん!』え!?
「!! 三奈ジャン! わ、久しぶりー!」
「ホントだ! 三奈! あんたも無事だったんだね!」
!? うおおお!!! 三奈ァァあ!!!
もう一人の、メンバー! JKの三奈!
来たァァあ!!! フーーー!!!
「え? めっちゃ元気ですけど」
「いや、それなら電話出なさいよ! メールも返信なかったし!」
「あー、それはごめん! ちょっとバイト雑誌とか見て、面接行ってたんで。ほんとごめん」
「え、面接行ってたの?」
「うん。ちょっとこれ以上は続けられないと思ってねぇ。ほら、うちお母さんしかいないから
働くなら、早い方がいいと思って」
あー、そういえばそういうこと言ってたねぇ。
ライバーになったのも、稼いでお母さんに楽させたいからって。
めっちゃいい子なんですよ。三奈!
空気読めなくて、敬語できない、ギャルだけど!
いい子なんですよ!! ほんとに!!
……あ、でも、ここに来たってことは。
「バイトは落ちました! でも、そん時に桃華ママが誘ってくれたんで! こっちに全賭けて感じで!!」
「「ああー」」
そっか。
じゃあ、これからも一緒に働ける可能性はあるね!
「そっすね! いやー、また三人一緒だと楽だなァ! 知らない人と一からやると、コミュめんどくさいんで! 知ってると楽っすね!」
「いやまあ、そりゃあそうだけども。あんたはもうちょと気ィ使った方がいいわよ?」
「? そっすか?」
「そうよ」
あはは。
「後、あんたと姫乃は働くかもしんないけど、私はまだ未定だからね」
「へー、そうなんすかってえ!?」
「え!?」
決定じゃないんですか!? 綾香さん!?
「いや、そりゃあそうでしょ。就労条件とか、労働時間とか、社宅はあるのかとか、いろいろあるでしょ。
まァ、ゼニーズの時も条件だけはよかったから受けたけど。炎上やらなんやらで、まだお給料もらってないし。マジで金貰えないと、私は田舎に帰る可能性高いのよねぇ~ああ~」
「「えー!!」」
そんなァ。
また三人で、一緒にやれると思ったのに。
桃華ママ! お願いします!
いい条件で、私たちを雇ってください!!
せっかく仲良くなれた、友達なんです! 離れ離れは、いやんです! あああ~~~!!!
っと、割とマジで願いつつ!
ホテルのレストランに、入ると!
「姫乃さん、綾香さん、三奈ちゃん! こっち!」
「「「あ!」」」
そう! すっごく聞き覚えのある声!
「「「桃華さん!」」」
桃華ママが、レストランの中央にある!
白くて長いテーブルに座り! 私たちを呼び!
「こんにちわー」
「どうも」
「「「!?」」」
そんな桃華さんの、両脇に!
二人の男性がいたのです!!
うん! 一人は。
「あ、えっと、な、ナイストゥー・ミーチュー?」
「おお、良い発音ですね! でも、日本語で大丈夫ですよ!
はじめまして国際弁護士のマイケル・ダグラスです!」
っと、気さくに挨拶してくれた。
金髪の白人弁護士さん!
「あ、はじめまして」
「ど、どーも」
「日本語うっま!」
「「こら、三奈!」」
「ははは!! ありがとうございます! これでも、国際弁護士だからね! 48か国語しゃべれるよ!」
「!? すっげえええ!!!」
え、それはマジですごい!!
凄い弁護士さんだ!
はあああ!!!
っと、感心しつつ!!
「どうも。坂本翔平です。ゲーム会社三国ファンタジアと契約の、独立プロデューサーをしています」
「「「!!! は、はじめまして!!」」」
うん! 挨拶する前から、知ってた! 超有名プロデューサー!!!
全世界注目の、ファンタジア・エルドーンのミニゲームや、シーズン1~3にも関わってる凄い人で!
味覚共有システムや、バリア技術を開発した凄い人ってテレビでも言ってたし!
なにより、ゼニゲバの社長が、『あいつを超えろ! あいつを倒せ!』って、目の敵にしてた!
ファンタジア・エルドーンの坂本翔平プロデューサーが!
そこには、いたのです!
うおおおお!!!(大興奮)
「どうぞ、お座りください」
「あ、はい! 失礼します」
うわァ! あの坂本プロデューサーと話って、何だろう!?
って、待って! たしか、桃華ママの転職先で、私たちを雇いたいって話で……え?
まさか、坂本プロデューサーが私たちを雇いたいってこと?
三国ファンタジアの、専門Vチューバーに! なるってことォォお!?!?
ええええ!?!?(大歓喜)
っと、舞い上がっていたら!!
「今日は、お話があってきました。というのも、あなたたちを是非!『将来発足する、三国ファンタジア専属・Vチューバー』として、雇いたいんです。そして」
「そのためにも、ゼニゲバを訴えましょう!!」
「「「!? え!?」」」
なんか、私たちを三国ファンタジアで雇う(予想済み)って話と!
ゼニゲバを訴訟する話(予想外)の、ダブルパンチが飛び出してきたのでした!!
えええええ?!?!(困惑)




