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特殊捜査課  作者: 雄太
特殊捜査課
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決着

 

「あらら、新しいお客さんだね、今度は私を楽しませてくれるのかな、」


 その声は、新しいおもちゃを買ってもらえる子供のように弾んでる。


 そのアマンドロスはここから見えるだけでも3M近くは高さがある。


「あんたは誰だ、コイツらはどうした」


 ウドルグはエマリーたちの前に出て静かにゆっくりと問いかける。


「私?私はね、んー、レイラって呼んで、でその子たちね、その子たちは、私のご飯になったの、私ね、人間の血がないと生きていけないの、それがアマンドロスの第二世代の設定なの、だから、最初はハモンドの血で生きてたんだけどね、私の動力つまり血の供給が止まったからハモンドから離れてこうやって生きてるの、だけどこの人たち美味しくないね、ハモンドのは美味しかったよ甘かったのに、この人たちのは酸っぱいし不味い、だけど、安心してこの人達は死んでないよちょっと吸いすぎてお昼寝してるだけ、」


 レイラと名乗ったアマンドロスは聞いてもないことをペチャクチャと楽しそうにそして悲しそうに話す。


「お前が強盗事件を起こしたのか」


 ウドルグは先日起きたアンドロイドによる強盗事件について問いかける。


 レイラは、何のことかわからないという表情をしている。


「ん、強盗?そんなことしてないよ私は………」


 レイラはそう言い考えるように触手を顎に持っていく


「あっ!あの子たちね、私とハモンドの子供たちね、あの子たちは人間同様、食事が必要だからお金を稼いだのね、あぁ、そうなのね、あの血はその血ね、美味しかったわ深い甘みがあって美味しかったわ、」


 レイラは思い出したように声を弾ませする。


 それは子供の成長を嬉しく思う母のように、しかし。レイラは気づいてない、それは普通ではないと。


 ウドルグは後ろの3人を少し見て、視線をレイラに戻すそして後ろ手で合図を出す。


「お前ら、準備は出来てるな、訓練通りに」


 そう、ウドルグは言って、対アマンドロス用拳銃に手をかける。


「3、2、」


 ウドルグは安全ピンを抜き、レイラに照準を合わせる、そして一歩下がり。


「1、展開、」


 そしてエマリーが左にウドルグは正面、シンジが左に動く。


「ライラ、例のアレと、サポートと頼む」


「了解!」


 そうしてライラは数歩後ろに下がり、スーツケース型ジュラルミンケースから、ウドルグが持っている対アマンドロス用拳銃の6倍近いサイズの拳銃を地面に固定する。


「どうしたの、そんな、おもちゃで私に勝てるつもりなの、」


 レイラは余裕あるように話すがエマリー、シンジ、ウドルグからは一切目線を切らない。


 ピュン!レーザーが風を切り裂く音がレイラの耳の奥で響く。


「痛!何!この女!」


 エマリーが撃った無音銃が、レイラの触手に命中する、そしてレイラはその触手を自ら引きちぎる、その裂けた触手からは緑の体液が流れて小さい触手が伸びる。


 レイラが激昂し、エマリーに向かって走り出す。


「シンジ、追撃だ、」

「わかってる」


 ウドルグが指示を出す


 エマリーに向かって走ってるレイラにシンジが追撃をかけるがそれをレイラは避けてシンジに触手を向ける、高速で振り抜いた触手はシンジの左側から迫り来る。


「シンジ!左から高さ100」


 ウドルグがシンジに的確に指示を出す。


「了解」


 そしてシンジはウドルグの指示に躊躇なく従いしゃがむ。


 レイラの触手が地面から1Mのところを風を切り裂きながら通過する。


 ウドルグはレイラが姿勢を崩したのを見逃さず、レイラに照準を合わせる。


 ピュン!


 ウドルグが放ったレーザーが、レイラの触手に命中する


「痛ッ!なんだよ!、ちょこまかと小賢しい羽虫が!」


 激昂したレイラが触手を所構わず振り回す、そのせいで天井が崩れ落ちる。


「瓦礫の煙幕か、こいつは埃があると性能が悪くなる、この短時間で見切ったか」


 ウドルグはレイラから目線を切らず、ずっと照準を合わせるが瓦礫が厄介そうだ。


 レイラがウドルグに向かって走り出す。


 ウドルグは、それを右に避けるが触手が前から別の触手が迫る。


 エマリーがその触手に対アマンドロス用拳銃を発射する。触手に命中してウドルグの頭の上を触手は通過する。


 レイラの注意がエマリーに向いた瞬間、今度はウドルグが攻勢に入る。


 ウドルグが囮となり、エマリーとシンジが着実にダメージを与えていく。


 そんな攻防が10分以上続いた頃、ライラに動きがある


「ライラ、例のものは準備できたな」


 ウドルグが振り向くこともなく、ライラに確認をする


「出来てるわ、いつでも動けるよよ」


 ライラの声とほぼ同時にレイラの動きが触手の鈍くなる。


「何よコレ!腕が動かない、何した!」


 レイラが触手を動かそうとするが思ってるようには動かない、その事に対しライラは激昂するが既に遅し、


 ウドルグが放ったのは麻酔効果のある特製銃である


「それが、対アンドロイド用、特製銃、

 電子回路をショートさせるそうだ、だから当たれば致命傷てな訳だ、」


 当たった瞬間に決着してたって訳だ、だか思ったより時間がかかったな

 と付け加える 


 長官には後で問い詰めウフンウフン、恫喝・・・話をしないとな、うん。


「ライラ、やっちまえ!」


 ウドルグがニヤリと笑みを浮かべて5歩程度右に動くと、ライラが通常サイズの5倍サイズの対アマンドロス用銃のレバー思っ切り引く。


『要求電力量確認』

『防御プロコトル確認』

『目標 アマンドロス 視認』

『各安全装置 確認』


 機械音声が響く。


 機械音声と同時に銃身が光を放しエネルギーが収縮されている、光が黄色から赤に変化する、


 その瞬間。


「死ね!」


 ライラがそう叫ぶと銃が放たれ、レイラの胴体に命中しスパークが身体中を走る。


「ガァゃゃゃぁゃゃゃや!!!」


 レイラはその衝撃か後ろに吹っ飛ぶ、壁に激突し天井付近から瓦礫が崩れ落ちるがゆっくりと瓦礫が持ち上がる


「あのバケモン、まだ動くか、だが、これで終わりだ」


 レイラに照準を合わせたままのウドルグは埃が落ち着いた瞬間、引き金を引く。


 その弾丸はレイラに向かって最短、最速で向かって行く、レイラの目にはその弾丸が捉えられて走馬灯のようにゆっくりと向かってくると錯覚する。


 弾丸はレイラの眉間を正確に打ち抜き、レイラは後ろの壁に倒れるように寄りかかり、譫言を呟く、その目には生気はない。


「ハモンド、私……貴方がいないと……生きていけないみたい、ハモンド、貴方を私と、子供達はずっと愛し続けるからね」


 レイラの体には電撃が走り、スパークが出る、そして、身体から黒煙が噴き上がり警報音の後、消火栓が作動する。


『火災を確認、消火プログラムを行います』


 レイラは崩れ落ち、触手がだらーと伸びる


「にん、げん、私の敵!」


 触手が振られるが力無く床に叩きつけられる、埃が舞う、完全な動かなくなる、そして触手からは艶が急速に消えてく。



「子供たちか、まだ続くのか、この惨劇が」


 ウドルグはゆっくり歩きながら振り返りながら呟く。


「シンジ、ライラ、お前ら外に出て本部と連絡を取れ」


『了解!』


 ライラ達は外へ向かい走り出す。



    ●



 その後。長官率いる警察本部の警察官500名以上が研究所内部に一斉に立ち入る。


「ウドルグくんお疲れ様、」


 後ろからやつれ疲れた声が聞こえる気がする。


「今まで長官はどこで何してたのですか、お姿を一切拝見していませんでしたが」


「ウドルグ君、急にそんな良い人ぶると怖いよ、それと相変わらず手厳しな君は、私は事後処理で酷い目にあった、ここで倒れてたうちの10人程度は助からなかったよ、血を失いすぎたみたいだ」


「そうですか」


「けど仕方ないことだ、戦いでは必ず人は血を流す。それは避けては通れないと」


 いつの時代も、時代が変わる時は血が流れるもんさ、と長官は研究所を見上げながら呟く。


 その目には夕陽が差し込む。


「どうしても、だ、それで、事件は終わったのか」


 長官は良い答えを期待しているようだから、残念ながら、ウドルグの言葉にがっかりするら。


「いいえ。長官、まだ始まったばかりです、」


 ウドルグの衝撃の告白に長官のやつれた目がさらにやつれて、原型がわからなくなり、疲れたようにため息をつく。


「そうか。話は聞いていたが本人からもう一度、聞くよ」


 まるでウドルグがこう言うとわかっていたかのように呟き、次の発言を促す。


「そうですか、では大まかに

 まずこの研究所内部はかなりいじられています、古典的な罠ですが、落とし穴があり、先行した部隊は落とし穴に嵌まったみたいです、その後、我々がその落とし穴に落ち、レイラと名乗るアマンドロスと戦闘行為に発展。レイラはハモンドが売ったものではなく別物でしたレイラは人の血を動力源にしていました


 そして、レイラの子供を名乗る2体のアマンドロスと思われるアンドロイドが例の強盗殺人の犯人みたいです。それは人の血が動力源ではなく人に化け、食事を必要とするようです。」


 ウドルグの報告を全てを諦めたような表情で黙って聞いてる。


「そうか、やはり、研究所は乗っ取られていたか、初期型のアマンドロスは本来、電気で動いている、人の血は必要ない、と言うことは内部をいじられているな、まだ他にも2体アマンドロスと思われる物がいると、それは人に化けて。街中に居る、か……」


 そこまで言い長官は溜息を吐く。


「また厄介な、わかった、ウドルグくんそしてみんなも協力感謝する、みんなには休暇を与える少しばかし休め、」


 そう言い残し長官は足早に去る


「じゃ俺たちも帰りますか」


 ウドルグ達も研究所を後にする。

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