ラスボスのド変態
今回はラスボスのド変態の話です。
「ダイアル様、起きて下さい」
「うるさいわよ。何時だと思っているのよ」
「一大事なんですよ。扉を開けて下さい」
仕方なく扉を開けたら、カグヤが駆け込んできた。
「これを読んで下さい」
「王宮新聞?この新聞がどうかしたの」
「早く読んで下さい」
『国王陛下が遂に新たな王妃様をお迎えになると公に宣言した。先の王妃様がお亡くなりになられて八年が過ぎて、やっと新たな王妃様をお迎える決心をなされた。お相手はカシワ公爵家令嬢ダイアル様。十四歳の令嬢だ。国王陛下は四十六歳だから三十二歳違いだ。既にカシワ公爵の承認は得ており、お二人の婚約は時間の問題・・・・』
「なんじゃ、こりゃあああ」
国王陛下が王妃を迎える?相手はカシワ公爵家令嬢ダイアル?つまり私?もしかして新手のドッキリなの?訳が分からない。
取り敢えず実家に帰り、父に説明してもらおう。
「ダイアル様は王妃になられるつもりなのですか」
「そんな事知らないわよ。私だって初耳なんだから。取り敢えず父上を問い質す為に実家に帰るわ。詳しい説明は寮に戻ってからにしてくれる」
「・・・・分かりました」
「はぁ、陛下から私を王妃として王宮に迎え入れるという要請をされた。断固お断りします」
私は父から説明を受けて、激昂した。
王妃なんて絶対に無理よ。
陛下は何を考えているのよ。
もしかしてボケてしまわれたのか。
「絶対に嫌です。王妃になるくらいなら、修道院で生涯を過ごします」
「ダイアル、落ち着きなさい。今すぐ王妃になる訳ではなく、婚約するだけだ。王妃になるのはお前が学園を卒業してからの話だ。それに陛下直々の要請だ。拒否は出来ない」
「・・・・そうですか。分かりました。まだ納得出来ませんが、取り敢えず前向きに検討します。そう陛下に返答しておいて下さい
「本当にすまない」
「・・・・」
父が謝罪の言葉を述べたが、私は無言で寮に戻った。
「ダイアル様、説明をして頂けますか」
「陛下との婚約は本当ですか」
「婚約なんて酷すぎます」
「嘘ですよね」
「デタラメだと言って下さい」
「五人共、落ち着きなさい。確かに陛下から王妃に迎え入れたいという要請はありましたが、今は婚約だけです。そして陛下からの直々の要請ですから、拒否は認められませんでした。取り敢えず前向きに検討するとだけ返答しました。しかし私は納得していません。実際の成婚は卒業してからです。その前に何とか婚約解消してもらうようにするつもりです」
カグヤ達に問い詰められたので、今の状況を説明した。
「納得はされていないのですよね」
「本当ですか」
「嘘じゃないですよね」
「信じて良いのですね」
「安心しました」
どうにか落ち着いてくれたみたいだ。
「皆も婚約解消させる名案を考えてよ」
「難しいですね」
「陛下は意外と我が儘ですからね」
「生半可な手段では婚約解消しませんよね」
「いっそ暗殺するのはどうですか」
「暗殺するなら毒殺が良いですよ」
「却下します」
余りにも危険な意見が出たので、慌てて却下した。
「陛下、この新聞記事は何ですか」
私はこの国の宰相のショウサイ。
国王陛下が私に相談もせずに、こんな重大な事を公にするなんて、あり得ない。
遂にボケてしまわれたのか。
「宰相、落ち着け。ダイアル嬢の周囲の外堀を埋めただけだ」
「はぁ、こんなロリコン国王に目をつけられるなんて、ダイアル様もお気の毒に」
「ロリコン国王とは言い過ぎだろう」
「事実でしょう。四十六歳のクセに十四歳の令嬢を妃に迎えようとするんですから」
「うるさい。既に賽は投げられたのだ。それに実際に王妃に迎え入れるのは一年以上後だ。その時は十五歳になっておる」
「十四歳も十五歳も同じですよ。三十二歳違いに変わりありません」
「これだけ公になったのだから、撤回は絶対にしない。王家の威信の為にもだ」
「・・・・分かりました。私も腹を括ります」
「こんな馬鹿な話があるか。父上のロリコンオヤジ」
ジゼル元王太子の叫び声が辺境伯の領地に轟いた。
「国王陛下がダイアル様を王妃として王宮に迎え入れるですって」
「何なのよ。この新聞記事は」
この新聞記事でネアンナとショコラの企ては実行前に崩れさった。