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ショートショート6月〜3回目

そこにいる理由

作者: たかさば

 …ふと、視界に違和感を感じた。 


 赤信号の向こう側、住宅と住宅の間にあるフェンスの前に、見慣れないものがあったのだ。


 道端に……、靴が、落ちている。


 少し離れた位置から望んでいるので、はっきりとは確認できないが、おそらく、男物の、ハイカットスニーカー。


 なんであんなところに?


 …干している?


 そのわりには、日当たりが悪いような。


 …置いていった?


 そのわりには、無造作に放置してあるような。


 …忘れていった?


 そのわりには、人の立ち寄りそうな気配がない。


 …捨てて行った?


 そのわりには、きちんと揃えられている。


 …もしかしてなんかのオブジェ?


 こんな片田舎の誰も通らないような場所で?


 スニーカーがあの場にたたずんでいる理由を探していたら……、信号が変わった。


 一歩、二歩、三歩……。


 スニーカーに、近づいていく。


 四歩、五歩、六歩……。


 スニーカーが、近くなる。


 七歩、八歩、九歩……。


 スニーカーを、近くで望む。


 信号を渡りきり、スニーカーと、すれ違う。


 …わりと、新しいな。


 右の靴紐がほどけている、少々ガニ股、靴底は厚めで、つま先が少し赤土で汚れている、ブラックカラーなのにタンの部分がオレンジ色なのか…スリムタイプのジーパンにわりとよく映えるな……って。


 ……なんだ、履いてるのか。


 私は、スニーカーから目を逸らさずに下を向いたまま…、半透明な人の横を通り過ぎたのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] なんだ、怖いやつじゃないですか。 実際に道端に落ちてたら、近づきたくないやつですやん。
[一言] ああ〜知ってる知ってる!。そのスニーカーの名は確かアレですよね、空気冗談。(は置いといて。) 車道に揃えられ、捨てられて居るスニーカーを思い出しました。 (私まだ履けるよ?まだ歩けるよ?ここ…
[良い点]  コ レ は ………………うーん。 サラっと「スニーカーの爪先部分のみが見えていて、其処に注視して意識も絞られていたので気づけなかった」と読むべきなのでしょうが…………何気にそこはかと…
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