-part40-違う
・・・信じられない。
ただ、その一言しか出てこなかった。
晴人から聞いた、咲良さんは全くの別人だろと思うほどに、違うかった。
「じゃあ、あそこでおどおどしているのは?」
「そういう作戦なんだろ。大体、俺の家に泊まっている話をわざわざしなくてもよかったのに」
何処か呆れた様子の晴人。
「あっ。祐翔がもし、俺の家に泊まりたいって言うならいつでも好きな時に来てくれ。準備は出来てるからな」
「何の準備だよ!!」
・・・今、こっちを睨んできた?
「祐翔。ごめん。すぐに来れなくて。ちょっと教室の女子がうるさくて」
そう言って来たのは、芽里さんだ。
芽里さんも別の教室だと言うのに、休憩時間の度に毎時間ここに来ている。
「別に祐翔は、呼んでもないから、謝らなくてもいいだろ」
「来て悪かったかな?」
「全然、悪くないが」
「だったら、どうしてそんなに不機嫌なんだい?」
「社交辞令って知っているか?」
「質問に質問を返すのは、ボクはどうかと思うよ」
ここ最近、分かった。この二人、仲良くない。
前は、芽里さんが晴人の気を引こうとして、男装を始めたのかと思っていたが、顔を合わせると口論が始まる。
「「俺と芽里。祐翔はどっちが正しいと思う?」」
最終的、俺に結論を求めるのをやめてほしい。
二人の答えを適当に流しながら考える。
晴人の気を引く為に、芽里さんは男装を始めた訳でない。なら、なんで男装を始めたんだ?