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-part35-助け舟

 「ちょっと、いいかな?」


 「何よ。今、咲良さんに質問をって誰このイケメン」


 芽里さんが咲良さんを囲んでいた輪の中に入り、咲良さんの壁になるように間に立った。


 「咲良さん。学校の案内がまだじゃないかな」


 「え。あ。いえ。昨日、先生に一通り学校を案内してもらいました」


 せっかく芽里さんが助け舟を出したのに、咲良さんはその助け舟を蹴った。

 

 「・・・・あっ」


 少し経って、咲良さんが申し訳なさそうな顔をした。

 おそらく、自分が助け舟を蹴ってしまった事に気づいたのだろう。


 「そうだね。でも、学生しか知らない事だってあるから、どうかな?」


 もう一度、芽里さんは咲良さんに助け舟を出した。


 「・・・はい。すいません。お願いします」


 「じゃあ、行こうか」


 囲っていたみんなにごめんと謝りつつ、芽里さんは人の輪を押しのけて俺の所に、咲良さんを連れてきた。

 

 ・・・・えっ。なんで?

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