-part19-叶わない
放課後。
学校が終わり放課後になった。
特に部活に入ってない俺は、すぐに家に帰宅するのだが、教室の前には沢山の女子。
目的は恐らく、俺だ。果たし状を無視して帰らないように先回りをして待っているのだろう。
その証拠に、俺に対しての熱い目線。絶対に逃がさないという意思を感じる。
「祐翔。一緒に帰ろう」
「ちょ、今は俺は教室を出れない」
教室を出た瞬間に、連れて行かれそうだ。
「・・・分かった」
晴人は教室の出口に行き、一言女子たちに、「そこを通るからどいてくれないか」とお願いすると、左右に女子が割れて道が出来た。
海を二つに割ったモーセの子孫なのか?
「よし、行こう」
「え、あ」
手を引かれながら、女子の間を通り抜けていく。
「きゃー」
「ちょっと、何あれ。マジありえないんですけど」
「やっぱり、第二夫人でもいいかも」
黄色い叫び声や怒っている小声などが、聞こえる。
そんな中で晴人は俺に向かっていう。
「誰がなんと言おうとも、俺は祐翔お前の事を・・・」
「「「きゃー!!」」」
叫び声で最後の方が聞き取れなかった。
晴人がなんて言ったのか予想が出来る。けど、それは叶わないものだと、いつ分かってくれるのだろう。