-part17-助っ人
「「「ドッスコーイ!!」」」
壁がこっちに押し寄せて来る。
引き返そうにも、後ろからはヨーヨー使いの真紀が迫っている。
絶対絶命。
そんなピンチに助っ人が来てくれた。
「祐翔さん」
エンジンを響かせ、バイクに乗った奈留が俺の横に止まった。
「奈留!」
「これに乗って逃げてください」
バイクを降りて、ハンドルを俺に渡して来た。が、俺はバイクの免許は持ってない。
「俺、バイクの免許持ってないんだけど」
「大丈夫です。これ自転車ですから」
え?!じゃあ、このエンジン音はなんだ?
音が鳴る方をよく見ると、スピーカーが自転車に括り付けられており、そこからエンジン音が鳴っていた。
「かっこいいでしょ」
自慢げに胸を張る奈留。
正直に言おう、ダサい。
だが、今は気にしてる場合じゃない。
「二人乗りは良くないので、一人で早く乗って下さい。ここは僕が食い止めますから」
「あぁ」
エンジン音が鳴る自転車に跨った。
さぁ、出発・・・?
「奈留。どうして、敬語なんだ?」
さっきから奈留が俺に対して敬語を使っている。
「それは、僕は祐翔さんの舎弟になる事にしたんです」
「はぁ?!どういうことなんだよ?」
「訳は後で話します。今は逃げてください」
奈留に急かされ、エンジン音を響かせながら自転車を発進させた。