-part9-ピンチ
コンビニから出てきた、親子が過ぎ去り、少しの沈黙の後、バイクに乗っていた人が口を開いた。
「お前、まさか。俺が族を立ち上げようと知って、仲間になりに来たのか?」
初対面+初耳である。
だが、この流れに乗る事にした。
「そうです。是非、仲間に入れて下さい」
「おう。いいぞ。俺が族長でお前が副長だ」
俺の手を握り、仲間になる事を認めてくれた。
「(やったー。俺に仲間が一人増えた)」
頭の中で、仲間になった時にBGMが流れる。
「俺の名前は、谷木祐翔」
「おう。祐翔、よろくな。俺は、六本木 奈留。敬語は不要。上でも、下でも好きな方の名前で呼んでくれ」
「分かった。奈留、よろしく」
「よし、それじゃあ、記念すべき族の立ち上げだ。コンビニでいろいろ買って、パーっとやろうじゃないか!」
奈留がそう言って、コンビニ入ろうとすると、コンビニから出てきた、スキンヘッドの怖い人にぶつかってしまった。
「痛ぇな。おい、こら。お前どこ見て歩いてんだよ?」
「す、すいません」
奈留の襟を掴んで、コンビニの外へと出た。
「あぁ、折れてるよ。これ。腕、折れちゃったじゃないか」
自分の腕を摩る怖い人。さっきまで、その腕で奈留の襟を掴んで、引っ張っていたので折れているはずがない。
「慰謝料百万円くらい貰わんと割に合わんわ。それと、お前も同じ目に合わせてやるよ。歯、食いしばれ」
折れているはずの腕で、奈留に殴りかかる怖い人。
「ちょっと、待って!」
慌てて、間に入り込んだ。
一瞬、拳が止まったが。
「何だ。お前、仲間か。なら仲良くやってやるよ」
再び、拳を繰り出して来た。
今度は、奈留にではなく、俺めがけてだ。