力の片鱗
片鱗って言葉カッコよくないですか?
あ、別にどうでもいいですかそうですか…
「おっはよー」
「ああ、おはよう」
教室に入ると、日菜が挨拶をしてきた。
信じられるか?この僕が登校早々異性と挨拶を交わしたんだぞ?これはもう記念すべき日だね。
まあ、異性だろうと同性だろうと挨拶を交わすような仲の友人なんていなかったけどさ…
言ってて悲しくなってきたからこの話題はよそう。僕の心を抉る。
「あ、おはよう…」
桜井は…相変わらず眠そう(なフリ)をしてるな。
「九条くん、私は本当に眠いから…寝たふりとかじゃないから」
「風花さん…多分みんな気づいてると思うよ?」
「…へ?」
「ほんとにバレてないと思ってたんだ…」
桜井、お主意外と天然だな?
「なんか、私ばっかり責められてる気がする…」
「責めるって…」
「九条くんも何か弱みを私に教えないと不公平だと思う」
「絶対に教えないぞ?」
そういうことをすると碌なことにならない。これは紫音との関わりで十分に把握している。
「そういえばさ、日菜って僕に触れないよね」
「ん?なに、触って欲しいの?」
「いや、性格的に無闇矢鱈とボディータッチしてきそうだなと」
「君には僕がどう見えてるの⁉︎」
これは完全な偏見だが、こういう元気ハツラツ明るい系女子は、取り敢えず明るく大きな声出して、いい感じに
場づくりしてる印象。
「実はね…僕力の制御ができないの」
「ん?というと…」
「つまり、常時怪力なわけ」
「それ…日常生活に支障でないか?」
「普段は相当抑えてるの。けど、他人。しかも男の人に触るとなると緊張して…」
「ほう?日菜にもそういう可愛いところがあったんだ?」
意外と心は乙女って感じか?こう言う面を見せられると弄りたくなるよなぁ。
「も、もぅ!」
「うわっ!」
急に体が押されたと思ったら…教室の端まで吹っ飛ばされた。
「僕は謝らないからね?」
「いや、そんな自信満々に言われても…」
「今のは九条くんが悪いと思う。普通にセクハラ」
「嘘だろ…」
よくニュースでコメンテーターが「最近はセクハラなのなんだのが厳しくなってきている」って言ってるのを見
るが、正直オーバー気味に言ってるだけだと思ってた。マジかよ、これもダメなんか。
ちなみに、その後体育があったんだが…日菜、よく見たらめっちゃ晴れやかな顔してた。つまりボールに対して
素の力を出してるわけだ。つくづく思うけど、実用性のある能力欲しいなぁ…
お疲れ様です。
是非、是非‼︎評価とブクマよろしくお願いします。
ちなみに、この最速は10話ぐらいまでは続けようかなと。