オカルト界隈の沼は深い vol1
あ、新作は闇に葬りましたので、週末以外毎日投稿に戻ります。
「九条くん、町外れに大きな屋敷があるじゃん」
「知らない」
「ええ…地元民ならだいたい知ってると思うんだけど」
「僕はそういうのに興味ない」
あと、この話の先はとてつもなく嫌な予感がする。
「そこに幽霊の目撃情報が出たんだけど、一緒に行かない?」
「絶対に嫌だ」
「なに、もしかして怖いの?」
ニチャァって効果音が必要だろう、早急に。
「そういうオカルト系は信じ始めたら終わりだと思うんだ」
そもそも僕は幽霊、というか非科学的減少否定派だ。ただ、この超能力界隈に片
足を突っ込んでからは、一概に「ありえない」と一層できなくなっているのも
事実。目を向けたくない現実だ。
「じゃあ行こ?」
コテン、と小首をかしげる。可愛いなこいつ。
「ふふ…もうその手には引っかからないぞ」
「まあ行くか。ささっと嘘だと確認するだけだし」
あくまで否定的立場を貫く。僕の知人にオカルト沼にハマって日常的に変なこと
をブツブツ言い出した人がいる。とか言っておけば説得力上がると思ったけど、
そういや僕に知人なんていませんでした。
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「手を出したらいけない界隈だろうに…」
「九条くん、好奇心とかないの?」
「風花だけにはそれを言われたくなかった」
ちなみにその噂の屋敷、ちゃんと国の管理下に入ってるらしく、超能力持ちじゃ
ないと入れないようになっている。逆に言えば、どんな能力であろうと何かしら
持っていたら簡単に入れるということだ。一般人が入って事故になることは避け
たいが、できることなら通りすがりの超人にでも問題を解決してもらいたい。こ
れが国の本音だろう。
「入るよ」
「頼むから嘘でありますように…」
これで本当に幽霊など出てこようものなら、僕のオカルト否定論は崩れてしま
う。その結果、僕はテレビに出ているオカルト系の人を無視できなくなり、深す
ぎる沼をもつオカルト界隈に足を踏み入れることとなるのだ…
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「パット見普通の屋敷だな」
「おかしい…今度こそ怖がる九条くんが見られると思ったのに…」
「風花…前回のことまだ根に持ってたのか」
「普段落ち着いてる人の感情を動かしたくなるのは人間の性」
「人間とはなんて酷い生物なんだろうか…」
あ、僕も人間だったわ。
「うーん…」
「今なにか喋った?」
「え?てっきり今の気の抜けた声は風花かと」
「九条くん、バカにしてるでしょ」
「うん、少しだけ」
「むぅ…」
なんて言い合っていると。
「うるさいですね…ここに人が来たのなんて何年ぶりでしょうか…」
おい幽霊、空気読めや!(魂の叫び)
どうでもいいけど、最後の(魂の叫び)を「魂」まで打ったら予測変換に「魂のルフラン」があって一人で笑ってました。




