この時期初対面がコミュ障プロ
「おい、あいつはまた暴発してるのか?」
「そうみたいですねー」
授業中、数学教師の問いかけに日菜が答える。あいつって誰だよ、あと暴発ってなによ?空気が不穏すぎるん
よ。
「風花、あいつって誰だ?」
「九条くん、本当に他人に興味ないね…」
「別に興味がないわけじゃ…」
「はいはい、けど、もうすぐ帰ってくると思うよ?」
「帰ってくるって…うおゎ!」
僕の目の前にいきなり人が現れた。そう言えば目の前の席の人いつもいないなと思ってたけど…
「ひゃああ‼︎ゴメン!驚かせちゃった?」
「いや…大丈夫」
「そっか、よかったー」
「君の能力、もしかしてテレポート?」
「そうだけど…」
「そうなのか、実は僕もそうなんだ」
「ホント?じゃあお揃いだね!」
第一印象は正統派美少女って感じかな。少し茶色気味の髪に、校則ギリギリのスカート丈、日菜とはまた違った
タイプであり、風花とは正反対だな。
「九条くん、それは私が暗いって言いたいのかな?」
「別に、そういうわけじゃない…かもしれない…わけで…」
「九条君、であってる?優柔不断な男は嫌われるよ?」
「…ヨーシ、ジュギョウニシュウチュウシナイトナー」
「話を逸らしたよこの男」
別にこいつらと話すのが以後ごち悪いわけじゃない。ただな?数学教師がすごい形相でこちらを睨んでいるん
だ。「早く話を切り上げて授業に集中しろ」という念をひしひしと感じる。それに素直に答えてあげる僕なんで
すわぁ。
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「日菜、昼食食べないのか?」
「ちょっと部活の集まりがあってね…」
「そうか、じゃあ風花と食べるか…」
「九条君、クラスの女の子二人を呼び捨てなんてもしかしてヤり手?」
「やめろ、変な噂が立つだろ」
「もう手遅れでは?」
「…僕に現実を突きつけるのはやめてくれ」
この子、初対面で結構踏み込んでくるな?まあこの時点で初対面という事実がおかしいのかもしれないが。
「私もご一緒していい?」
「いいけど、能力について教えてもらえるか?」
「分かった。桜井さんもいいかな?」
「(コクリ)」
風花、コミュ障発動。
「コミュ障じゃない。話すのが面倒だっただけ…」
「そう言うことにしておくよ」
「むぅ…」
この子、頬を膨らませた姿が可愛いんだよな。刺さる人には刺さりそう。
「ねえ、本当に付き合ってないの?」
「付き合ってるわけないだろ?」
「でも、今の掛け合いはどう考えてもお似合いとしか…」
そうなのか?風花との会話なんてだいたいこんなものだと思うんだが…
「斉藤さん、あなたは良い人…!」
「アハハ、そう言う感じか…あと、芽衣で良いよ?」
「分かった」
「そろそろ聞かせてもらえないか?斎藤の能力について」
ちなみに斉藤という名は当然今知った。けれど、ここであたかも前から覚えてましたよという顔をするのがプロ
だ。
「私のは九条君同様テレポートなんだけど…発動の自由が効かないんだ」
「は?」
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斉藤 芽衣
超能力:空間転移 『テレポート』




